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日本人の英会話講師:ハリス先生にインタビュー


大学で英米文学、大学院で13世紀から16世紀の古い英語を発音・文法、そして現代英語への変化を研究。

高校・大手進学塾講師、そして英会話教室経営など、英語教育に携わって13年。コミュニケーションの手段としての言語の変遷に着目したハリス先生の視点は、英会話学習にもとても参考になります。

先生のお名前ハリス先生ですが・・・

Harris tweed と同じスペルで同じ苗字です。 ファーストネームはみほです。みほ・ハリスです。国際結婚をしているため、苗字が片仮名になりました。

そうだったんですね、お二人は普段はどのようにコミュニケーションを図っていますか?

夫は日本語が流暢ではないので、私達は普段は英語で会話をしています。特に、夫が 学んだ日本語を英文の中に加えてコミュニケーションを楽しんでいます。
例えば、「
How are you? I m good. 」 を「 I m genki ( 元気 」と応えたり、「 Thank you for
your help. 」を「 Arigato ( ありがとう ) for your 」と言ったりします。

では質問を聞いていきたいと思います。
Q1:わたしの英会話習得法(過去・現在)
中学生の時にニュージーランドにホームステイに行かれたとのことですが..

はい、夏休みに初めて行ったんですけど、How are you? I’m fine. Thank you. という状態で行きました。ニュージーランドの英語は発音が聞き取りづらく、何を言っているのか本当にわからなかったんですが、ホストファミリーがノートを一冊用意してくれて、自分達が言ったことを全て書き出してくれたんです。一字一句全部。そのノートが1ヶ月でこーんなに(厚く)なるんです。話しながら書いてくれるんですね。

それで、単語単語でも、なんとなく言ってることはわかるんだなっていうことに気づきました。そこからですね。ちょっと勉強してみようかなと思いだしたのは。

そのノートは今?

もちろん、そのノートは一緒に帰国時に持って帰ってきて、今でも持っています。時々それを見て・・・私こんな程度だったんだなあって(笑)思い出しています。

ホストファミリーとしてはとても当たりのご家族だったんじゃないでしょうか?

そうですね、ホームステイするとそれぞれ何かしらインパクトであったり影響を受けられると思うので、1週間であれ2週間であれ行ってみると良い経験になると思います。

ニュージーランド英語でスタート、ということですね。それから大学、大学院と進学されて、その時はどうですか?

そうですね、それこそ高校生だった時も机に向かって勉強することが大嫌いで・・・塾も行ったことがなかったんです。塾もいや、 勉強もいや。高校の先生には「英語に興味があるのはわかるけど、勉強しろ。まぁ勉強しないよなー」と言われるほどでした。文法も全くわからなかったんです。

でも普段家に帰って、当時(アメリカのドラマの)フルハウスがすごく人気でそれを字幕にして見たりだとか、 好きな歌手の英語の歌詞を一つずつ、辞書で調べて見たり。わからないなりに、好きなことだけをやっていました。

英語が好きではなかったんですけど、ニュージーランドのホストファミリーとは月に一度、文通での交流を続けていて、英作文をしないといけないとわかっていたので、わからないところは先生に聞いていました。先生には「宿題はしないのになぜ英文手紙は書くんだ!」と言われていました。

すごく大事ですよね、ホストファミリーのお手紙に返事を書くっていうことが頑張ろうって、モチベーションにつながりますよね?

そうですね、本当に好きなことだけをしていたように思います。大学は英米文学科に合格したんですが、当時の担任が英語の先生で、「お前なんでこれで受かったんだ! 奇跡としか言いようがない。今までいろんな生徒を見てきたけれど、お前の合格に一番驚いた」と言われました。とても恥ずかしかったのを覚えています。入試も、自分では解けたとは思わなかったですね。合格した時、「あれ??合格したの、あれで」と思ったくらいでした。そして大学に入るとネイティブの先生の授業も増えてきて・・・でも何を言っているのかさっぱりわからなかったです。

その時点では全然話せなかったんですか?

全然話せませんでした。とても印象に残っているイギリス人の先生がいます。その先生は、授業のはじめに「まず白い紙を出せ。ノートでもなんでもいいよ。」と。そして、「5分間、今あたまにある英単語、書けたら英文でもいいから、書いてごらん。アップルだったらApple、ハッピーだったらHappyと思ったことを書いてごらん。」と。そういうことをさせられたんです。1年間ずっと。

そしてある時は、Eric Claptonの音楽を流して、「歌詞を聞き取って書くのではなくて、歌から感じたことを英単語や英文で表現してみなさい」と言われました。どうしてそんなことをさせられてるのか、私たち生徒は理由を聞かされなかったんですね。1年間それをさせられて、みんな「何これ、なんの意味があるの??」と言いながらずっとやっていて、すごく退屈な時間だったんですけれど、最後の授業で先生がおっしゃったことが、

「日本人が英語を話せない理由は、Iから言うのかな?動詞から言うのかな?と、正しい語順で話さなければいけないと思っているからだよ。文を正確に組み立てないといけないと思っていて、それが出来ないから自信をなくして話せなくなる。でもまず言いたいことを一番最初に言えばいいんだよ。頭の中に浮かんだ単語をそのまま。その訓練をするために、そして自信をつけるために、5分間、自由に頭の中で英単語を思い浮かべて作ってもらうようにしてきたんだよ。」と。

いい先生ですね!

それを聞いた時に、「ああ!それいいんだ。自分の言いたいこと、文が組み立てられなくても、まずそこから入っていかないとダメなんだな」と。

それは今のレッスンにも繋がっていますか?

そうですね。今の生徒さんがよく言われるのは、

「それぞれの単語はわかるんだけれども、それを文に組み立てられないんです」と。そういう方がやはり多くて、「パッと言葉が出てこない」。でもgreatとか単語だけは出てくるんです。文をつくるには、一番自分が言いたいことを言わないと行けない。それだけでもコミュニケーションになるので、まずは「話せない」ではなくて、言いたいことを先に言う。単語単語でいいんです。私のレッスンでは、まず文を組み立てるのが苦手な生徒さんには、自分が一番伝えたい単語を言ってもらう。それから私が内容を推測して、それを出来る限り英文にしています。そうやって自信をつけていくのがいいと思います。

最初に先生にそう言ってもらえると、生徒さんは「ああ、これでいいんだ」と安心できますね。

それでいいと思います。そうしていくと、今度はもっと文にしてみたいとなっていくんです。この文法はどういう表現で使うのかな?と興味も湧いていくので、最初は自由に。

Q2:どんな生徒さんが多いですか?

現在は主にオンラインで教えているんですが、教室をしていた時は、2歳から70代、80代の方まで幅広くいらしていました。

お子さんはあまり(英語に対して)疑問を持たないんです。伝えたことをそのまま受け入れてくれるんです。大人になると、ここのtheはどうして??とか、なぜここにtheがあるのにここにはtheがないの?とかいろんな細かいところに疑問が出てくるんです。やはりそれで話せなくなってくるんです。私がいつも生徒さんにいうのは、ある程度基本的なルールはありますが、それだけではないところもあるんですね。

例えば、during summer vacation 夏休みのあいだじゅうに。この文があるとします。

summer  vacationは名詞なのに、この表現にはtheがないんですよね。それで、「どうして?」となるんですよね・・・「これ名詞だからいるんじゃないの?特定だよね?」と疑問になるんです。

ネイティブの方に聞くと、theは要らないと。疑問があると、私自身もネイティブの講師に聞くんですけど、ある人は「日本人はね、私はとかあなたはとかっていう言葉を日本語で会話する時に使わないことが多い。主語を省略するでしょう?昨日○○行ったんですよ、とか、昨日大変だったわ、とか。それと同じで、このtheもめんどくさいから言わなくなったんだよ。」 と。

そしてまたある人は、「summer vacationって1年に1度あるだけでしょ?だから、theをわざわざつけて言わなくてもいいんだよ。」と答えてくださいました。日本人が主語を言わずに話すことと同じで、おそらくこのtheも説明出来ないんですよね。説明できることと出来ないことがあるので、説明できないものはそのまま覚える。

例えば、I go to schoolのschoolの前にも冠詞いらないですね。

これは説明ができて、go to schoolも go to churchも生活の一部になっているから、theが要らないんです。でもduring summer vacationは説明がつかない!そのまま覚えろと言われたんです。英文法には、もっと臨機応変に、頭を柔らかくして「こうなんだ」と覚えるものがあるのだと思います。

説明がつくところは、私も一つ一つ説明します。

100年前は使っていたけれど、もう今は使っていないものもあったり。[幾分]のsomewhat of〜 これは150年前の文献を見てみると、幾分どうだったよというofがついていたんですね。最近はこのofを使っていない文もよく見かけます。もちろんあってもいいし、なくてもいい。口語だとほぼ言わない。

13〜16世紀の古い英語、昔から今に繋がる言葉の変化を学ばれていましたね?

そうなんです。その変化がわかると、自分にとって英語がもっと身近なものになるのではないかと思ったんです。こうなってるからこう変化してきた、こう変わったというのを研究すると、自分で納得いくかなと思ったんですね。

特に修士課程で研究したのが、【動名詞】ですね。動名詞は昔は純粋な名詞として使われていたんです。theが必ずついていて、the speaking of〜とか。I like speaking.なんかもtheがついていたんです。

名詞として使われていたのが、だんだんとtheが無くなってきて、動詞的な役割をもつようになり、今は動詞と名詞の役割がある。それを見てきた時に、やっぱり言葉も変化するので、それに応じて覚えていくしかないのだなと感じました。日本人はそれを突き詰めて、ここはこうじゃないとっていう国民性もあるので、それはすごくわかるんですけど、私もそうでしたし。ひとつ文法つまずくと、もうダメ・・・ってなりますね。

ディクテーションがありますよね。会話や長文を聞いて、聞き取ったままを書く。それはある程度上級の方やTOEICでもものすごく点が取れているネイティブに近い方がするのは役に立つのかもしれない。

でも初級、中級の方がリスニング強化のためにディクテーションをすると、aだったり theだったりが聞き取れなかったら、聞けないところにこだわってしまう。それで「私はもうリスニング出来ない、全部聞けないとだめだ」と落ち込んでしまう。

夫とやってきた英会話教室で生徒さんを見てきて、ディクテーションをする生徒さんは自分の語学力の上達に気付かず、出来なかった箇所にこだわりすぎて落ち込むことのほうが多いように感じました。

「ある程度話せるかも」と自信がついてからディクテーションをされることをおすすめします。

リスニング強化はどんなことをしたら良いですか?

例えば、Do you have a pen?と言われた時に、おそらくaが聞けないことが多いのではないでしょうか。youも聞けずに、ヤのように聞こえて。それで答え合わせをしてみて、aが聞けなかった・・・もうダメだーとなる。日本人みんな真面目なんです。でも、このaなんてそこまで大切じゃないんです。

どこが大切か?haveとpenですよね。pen持ってるかって聞いているんかな?だいたい意味が把握出来たらいいんです。コミュニケーションではスムーズなやり取りが求められるので、それをしようと思ったらhaveとpenが聴ければいい。

そして上級者になってくると、そこにaがあると、聞こえなくても推測できるようになるんです。

だんだんコツがつかめてくるので、最初はリスニングでもディクテーションでも一字一句を聴くのではなくて、大まかに意味がわかればいいんです。それが気になるならば、テキストをちょっと見て、ここにaがあるんだなと確認する程度でこだわらずに。

英語学習者は真面目にコツコツ、こう(まっすぐ)なりすぎてしまいますね。わからないところもなんでだろう?と、前に進まないこともあります。

例えば、よくあるWe areの短縮形が、We’reです。これが聴けない。どうしてかと言うとこれがWe areと思ってるんですね。これは何と発音がほぼ一緒かと言うと、「どこに」のwhere、「着る」のwearです。

We are.

We’re = where = wear

役に立つ便利なところはこんな風にセットで覚えるといいと思います。私はネィティブではないですし、今も自分が勉強することもたくさんありますね。

普段の勉強法は?

イギリスの音楽が好きなので、今でもYoutubeを流して、字幕の歌詞を見たりして聴いています。好きな作家の本も読みます。新しい単語、未知の単語というのが現在でもたくさんあって、最近読んだ本に、brosephという単語がありました。自分の仲間のことをBrotherやBroという言い方をするので、Brotherから推測はできたんですけど、辞書を見ても載ってない。こんな単語あるの?!と。これ名詞なんです、これイコールBrotherだったんです。

造語ですか?ほかの方も使っているんですか?

それが気になって、アメリカの知人に聞いたんです。そうしたら確かに使うと。びっくりしました。

あとよく見るのが、インスタグラムやフェイスブック等のソーシャルメディアですね。

インスタグラムの英語っていうのは書き言葉、テキストには載っていないような最近みなさんが生で使っている表現や英語がたくさんあるんです。例えば、カンマもピリオドも使わない。文の最初も大文字ではなく、小文字で書いたりします

例えば、あなたはのYou areもみんな面倒くさくなってyourになってるんです。you’reもアポストロフィを打つのが面倒になってるんですよ。文脈や意味を捉えるのにとても勉強になっているんです。どこからどこまでが一文で、このyourはyou’re なのか本当にyourなのか?

中学1年生の初めに習う、一人称二人称のyou your you yoursの文法ですよね?

そうなんです、それがもうぐっちゃになってて(笑)

5〜6年前は、 フェイスブックで誰かがYou’reをyourと書くとコメント欄で、これ違うでしょう?と文句を言う人が何人かいたんです。ネィティブ同士で、ですよ。でも最近はみんながそうし始めているので誰も言う人はいなくなりました。それが普通になってきてるんです。それも言葉の変化かなと思っています。

まさかのインスタグラムからの英語の情報を得ていたとは!

Q3:Q2に対して、どのようなレッスンを行っていますか

そうですね。私はジャスティン・ビーバーのインスタグラムをフォローしてるんですけれども、特に印象に残ったのが、ジャスティンが自分の苦悩を、自分は有名になってお金もあるけれど、心のなかでは泣いているんだという正直な気持ちを、すごく長い文で句読点もなくツラツラと書いていたんです。それを読んでいて、単語も勉強になりましたし、それこそ今まさに活躍している若い人たちの英語というのを、ジャスティン・ビーバーのインスタグラムから英語を学んでいます。

高校生の女の子を教えているんですが、その子と一緒にこれを読んでいます。とても役に立ちます。破天荒で世間を賑わしているセレブリティというイメージがありましたけど、最後うるうるっと来ました。

注)https://front-row.jp/_ct/17299722

Q4:英会話学習者へのアドバイス・メッセージ

英語はコミュニケーションなので、英会話という視点からアドバイスをすると【予習は必要ない】です。

ニュース記事などを基に英会話のクラスをする場合、単語がわからなかったらWhat does this word mean?と講師に聞けばいいと思います。それだけで、一つ英語を話したんです。

わからなかったらその度に、What do you mean? What does this word mean?と聞いてください。

そして【復習】のほうが大事かな。レッスンではわからないことは英語を駆使して、日本語でもいい、聞いてくださいね。

オンライン英会話[大人の英会話倶楽部]の日本人講師:ハリス先生のプロフィールはこちら
https://www.english-dialogclub.com/wte/prfdtlfrm/1190