ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

戦争と正義 -2 ( 国民に事実を語らない、保守層の人々 )

2019-06-18 22:02:19 | 徒然の記
 この本は興味深い書で、予想しない方向から氏が語りますので、考えていなかった事実が見えてきました。
 
  ・アメリカの保守層 ( 政治家・軍人・一般白人 ) は、「素晴らしいアメリカ」「偉大なアメリカ」の歴史を誇りにしている。
 
  ・アメリカの保守層は、アメリカの歴史を損なうような思考に、断固として反対している。
 
  ・エノラ・ゲイを客観的事実として展示しようとする人間たちは、アメリカの保守層から見ると、反アメリカ・売国奴に見える。
 
  ・ アメリカの保守層にとって、日本は悪の国であり、ドイツとともに叩き潰すべき人類の敵である ( あった? )。
 
  ・日本の中にいる反日左翼勢力は、日本を悪の国として攻撃しているから、アメリカにとっては味方だ。
 
 氏の意見を整理すると、こういう荒っぽい図式が現れてきます。同時に著者たちのスタンスも、だいぶ分かってきました。彼らは、素晴らしいアメリカという虚構の神話を守ろうとする米国の保守層を批判し、同時に、日本を素晴らしいと考えている日本の保守層も、同じ穴の狢 ( ムジナ ) と批判しています。
 
  著者たちは日本の反日左翼勢力が、アメリカの保守層の味方とは述べていません。彼らの意見は、「頑迷固陋な保守主義者への批判」ですから、島田氏のような説明は生まれません。
 
 反日左翼の人間が教条主義的な型にハマった意見しか言わないように、保守の中にも独りよがりの愛国者がいます。本来の保守は、自分たちが国を愛するように、他国の人々が国を愛することを肯定します。愛国者には共通の寛容精神があり、変な理屈で無闇に他国を攻撃しません。翻訳者の氏は、著者たちを理解していないだけでなく、曲解した軽薄な意見を述べています。
 
 日本の保守と呼ばれる人々の中にも、バカな人間がいますが、アメリカの中のバカな保守にしか注目しない氏も、バカの仲間としか言いようがありません。
 
 本を出版した朝日新聞にしても、翻訳者の島田三蔵氏にしても、日本を思う気持ちがあるのなら、アメリカ自身が抱えている深刻な病、アメリカ国内の保守と左翼の対立、これが日本に及ぼしている大きな影響など、いくらでも問題提起ができます。
 
 それとも朝日新聞社と島田氏は、これに気づかない愚か者なのでしょうか。・・そうでなく、事実を語ると作り上げて来た嘘がバレるから、故意に事実を語らないのです。敗戦後の日本は、こうして劣化していきます。
 
 国民が「東京裁判史観」で汚染され、「一億総お花畑」状態になっている事実を、知っていても語らない保守政治家、思想家、学者、官僚たちがいます。国民の役に立たないという面から見ますと、騒いでいる反日左翼の人間とどこが違うのでしょう。
 
 島田氏の著作のくだらなさが反面教師となり、何も語らない保守の人々の不甲斐なさを教えました。
 
 本日は、入り口の部分でスペースがなくなりました。明日から書評を始めます。
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日本人の誇り (ハブグレジュンタのマミー)
2019-06-18 23:10:32
いつも知的そして、浅はかな私には、‟勉強しているのだな~”と感心させられるブログ、ありがとうございます。
アメリカ生活42年間は、‟アメリカを知る、日本を知る”機会を十分与えてくれました。
敗戦と言う現実が、日本文化(恥の文化)とうまくかみ合わさり(アメリカ、中国、韓国、ロシア等の諸国にとって)、そして東京裁判と言う、不平等なリンチ的裁判により、日本のそして、日本人としての誇りをずたずたにしたと思います。でもどうにもできないあの焼け野原から、75年でこれだけ進歩させたのも日本人です。私はアメリカ人は‟賢くない”と言う表現を使いますが、いやになるくらい‟単純、浅知恵”の人が多いです。先日アメリカの1%が、いや実質的にはアメリカの0.1%の人口がアメリカの経済を握っていることを紹介しましたが、知的人口を考えれば、つまり、社会的歴史的事実を把握している人たちは10%にも満たないと思います。さらには大戦に関しては、日本が当時置かれた立場を知る人なんか歴史学者しかいないのでは。それだけ、アメリカは‟利己主義的”、つまり自分たちにとって都合がいいように物事を考える国民です。でもそれが国民の国民たる由縁かもしれませんが、日本を除いては。日本人ぐらい、自虐的感覚要素を備えた国民はいないのでは。長くなったので、私のブログに続きを書こうかしら、と思っています。
アメリカと日本 (onecat01)
2019-06-18 23:55:40
ハブグレジュンタのマミーさん。

 お久しぶりです。エノラ・ゲイ論争・・今頃こんな話かと、アメリカにいる貴方には、片腹痛いのでしょうが。

 日本にいて、日本のマスコミの与える情報しか見ていませんと、私のような単純な驚きとなります。色々偉そうに言っていますが、「お花畑」とは、私自身のことであったかと、怒りを覚えています。

 私は私なりに、息子たちに事実を伝えるため、明日から、この問題に取り組みます。今後とも、よろしくご指導をお願いいたします。

 いつの世でも、どこの世界でも、金と武力を持つ国は、自由勝手に振舞います。現在は、アメリカがそれですから、国民の多くが愚かしいとしても、10%の利口なアメリカ人たちに、日本の指導者たちは、ひれ伏してしまいます。日清戦争後に、三国干渉を受け、「臥薪嘗胆」で妥協したご先祖様のように、心の中で怒りをこらえ、アメリカに対処しているのなら希望が持てますが、本気でひれ伏しているようですから、自民党の議員も、保守の名を汚す腰抜けばかりのようですね。

 明日からも、貴方の、男らしい、明快なブログに、期待いたします。コメントを感謝します。

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