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日本の危機 - 解決への助走 -11 ( 桜井氏の戦後教育批判論 )

2019-11-18 19:08:28 | 徒然の記
 「隔靴掻痒」 (かっか そうよう)、と言う言葉があります。辞書を引きますと、「 かゆいところに手が届かないように、はがゆくもどかしいこと。」「 物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと。」と、説明しています。
 
 氏の著書を通じ、私が感じるのはまさにこれです。最初に戻り、目次を並べてみました。
 
 第1章 学校教育が招いた「学級崩壊」  
 第2章 変わった子供と、変わった親が増えている
 第3章 教育を荒廃させる文部官僚たち
 第4章 子供たちの学力低下は何故おきたか
 第5章 幼児虐待の悲劇が止まらない
 第6章 少年犯罪大国を招いた少年法の理不尽
 
 陰湿で無慈悲ないじめや、子供を虐待し、死に至らしめる親、あるいは凶悪化する少年犯罪など、提起されているテーマは、現在も大きな社会問題です。子と孫を持つ者として、いつも辛い気持ちでニュースに接しています。
 
 氏の著書の目次を見た時、どの様な解決策が語られるのだろうと、期待しました。一気に読みましたが、「隔靴掻痒」の感のままでした。各章の結論部分にある、氏の意見を拾い出し、紹介します。
 
 第1章 学校教育が招いた「学級崩壊」 
  「自由と権利と平等を、かぎりなく拡大解釈し、曲解し、」「教育現場に持ち込んだ、戦後日本のいびつな民主主義が、」「問題の根っこにある。」「このような子供達を生んだ、社会病理の根は、」「むしろ親たちにある。」「問題解決のためには、その親の世代からの立て直しが必要である。」
 
 第2章 変わった子供と、変わった親が増えている
  「愛情あふれる子育てをしつつ、人間育成には、」「規範、規律が必要だと認識していた、かっての現実主義を、」「徹底的に砕いたのが、戦後教育である。」「人間の表層しか見ることなく、」「形としての教育を整えることに、かまけてきた、戦後教育を、」「徹底して正していくことから、改革が始まる。」「それこそが、子供も大人も、満ち足りた、」「幸せな表情をしていた、かっての社会を、再現する手がかりとなるのではないか。」
 
 第3章 教育を荒廃させる文部官僚たち
  「文部行政は、子供そっちのけで、」「中央集権に、こだわってきた。」「その結果、青白くて覇気がなく、知識水ぶくれで」「しかも、自分を愛することのできない子供たちが、」「出現した。」「戦後半世紀の文部行政が、失敗だったことの、証左である。」「ならば文部省は、もはや教育の場から退くべきだ。」「教育の現場から、生きる力を蘇らせるには、」「文部省の、官僚主義の排除が肝要だ。」
 
 第4章 子供たちの学力低下は何故おきたか
  「日本が、情報面でも、経営面でも、科学技術面でも、」「自立していくためには、国家として、」「ある部分をエリート化していかなければ、全体が大きな損失を被ることになる。」「悪平等と、何でも許されるリベラリズムは、」「往時の欧米を席巻した。」「しかし彼らは、踏みとどまった。」「エリート層を守り、ひいては国民全体を守った。」
 
 「知的後退は、経済、外交活動の劣化を誘うだけでなく、」「個々人と、社会全体の誇りをも奪っていく。」「エリートという言葉を嫌悪する、悪平等の体質から脱出し、」「エリートとともに、一般社会の未来を守っていく、」「という発想が必要だ。」
 
 第5章 幼児虐待の悲劇が止まらない
 「厚生省のような、消極的な行政のもとで、」「幼児虐待が深刻化していく。」「戦後私たちは、核家族化や女性の自立、より多くの自由など、」「新しい価値観を手に入れた。」「だがその背後で、救いを求める、弱い子供たちには、」「十分な注意を払ってこなかった。」「先に立つのは、親のエゴでないのか。」「幼児虐待の悲劇を止めるためにも、法整備を含めた、」「積極的な対応を、急がなくてならない。」
 
 第6章 少年犯罪大国を招いた少年法の理不尽
  アメリカ、イギリス、フランス、ドイツとの比較で、日本の少年法の特異性が説明されます。他国は厳罰主義を取り、未成年でも刑事罰を課しますが、日本はどこまでも未成年を守ります。正しく少年を導くためには、厳罰主義で臨むべきで、ほとんど無視されている被害者や、その家族への配慮がないと批判しています。
 
 氏自身の言葉でなく、他の学者の意見の紹介が主となっていますので、中身は省略しました。
 
 70ページ以上の内容を、乱暴に割愛しての紹介ですから、「都合の良い部分だけを、切り取った」との批判も、あるだろうと思います。氏の意見は、間違いではなく、一つの見識です。息子や、訪問された方々が、氏の意見を読み、どのように感じられるのか分かりませんが、私には、「隔靴掻痒」という印象しかありませんでした。
 
 次回は、具体的に説明いたします。
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2 コメント

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教育の荒廃は、戦後の積み重ねが間違っていたから (HAKASE(jnkt32))
2019-11-18 21:20:35
今晩は。先般の神戸にての 不良教師らによる対教師
いじめが問題化したばかりですが、これも戦後教育の
荒廃が招いた事象と心得ます。

今回の貴記事「教育の荒廃」の件につきまして、拙者
は櫻井見解を概ね支持するものであります。そも戦後
教育はご存知の様に、基礎からの積み重ねが不良た
った為に、学校内荒廃や児童虐待などの深甚な事象
に繋がっていると心得ます。GHQの息がかかった旧教
育基本法の呪縛かせ抜け出られていない訳ですね。

功利に走った文部省→文部科学省、大事な子供達へ
の基礎教育を蔑ろにし、政治闘争に走った全教と日教
組の罪責も重いでしょう。これら組合の中には、北鮮の
「主体思想」研究組織まであるらしいとの話も聞きまし
た。こんな事で、双方にまともな学校教育など無理とい
うのが拙印象です。

櫻井さんの表現は、確かに貴指摘通りの「隔靴掻痒」
的な所もある様な気がしますが、優れた所は称え、至
らぬ所は是々非々で臨みたいと改めて思う所。勿論
、同女史のご見解は、左派系の「変な有識者」よりは
健全というのが拙印象です。
比較の問題でないと思います。 (onecat01)
2019-11-18 22:47:48
 HAKASEさん。

 貴方にとって、このブログは、不愉快なばかりでなく、怒りすら感じられているのだろうと、推察いたします。

 戦後教育の荒廃に関し、貴方は国を大切にする国民の一人として、「GHQの息のかかった教育基本法」や、政治闘争に走った、「全教と日教組」について語っておられます。

 しかし貴方のような知識を持たない人物が、氏の著作を読み、「GHQ」や「全教・日教組」のような、根本原因 ( 元凶 ) を理解することができるでしょうか。私が指摘しているのは、この点なのです。

 保守言論人の先頭に立つ氏が、「左派系の変な有識者よりは、健全」というのでは、むしろ氏に対し、失礼な気がいたします。私のブログは、変な有識者との比較で、氏を語ることは致しません。

 不愉快であろうとは思いつつ、私の意見を述べました。次回のブログで、櫻井氏の「隔靴掻痒」につき、説明いたします。氏を誹謗中傷するためにブログを綴っているのでなく、氏への期待の大きさから、躊躇いながら、苦言を吐露しているつもりです。もしそのように受け取れないとしましたら、それはもう、私の文章力のなさと、人間性の未熟さからくるものだと、観念いたします。

 真摯なコメントに、感謝いたします。

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