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嵌められた日本 ( 期待させる本 ? )

2020-07-03 17:29:52 | 徒然の記

 馬野周二氏著『嵌められた日本』( 平成元年刊 プレジデント社 )を、読んでいます。現在まだ20ページです。書名が週刊誌的軽薄さなので、本棚に長く放置していました。

 氏は大正10 年生まれですから、存命なら99才です。反日・左翼も、戦前の日本も、手厳しく批判します。思想的立場が不明ですが、夢中にさせるものがあります。

 自信たっぷりな語り口が、田中英道氏を彷彿とさせ、なぜか魅かされます。読み始めたばかりで賞めると、後で後悔した経験が何度もあり、要注意ですが、久しぶりに読み応えのある本に出会った気持ちです。

 どういう人物なのか、氏の経歴を紹介します。

 「馬野周二 ( うまの しゅうじ ) は、日本の技術者、工学博士、著作家」「専門分野( 化学  )の論文、報告書の他、」「国際政治や、国際経済についての著書を、多数執筆した。」「父親は、内務省官僚であり、朝鮮総督府の高官であった。」

 「山口県に、生まれる。」「昭和6年、小学校四年生時に、父親の退官に伴い、」「朝鮮半島より、愛媛県松山に戻る。」「旧制松山中学校(現・愛媛県立松山東高等学校)を経て、」「昭和21年、慶應大学工学部応用化学科卒業。」「昭和24年、通商産業省に技官として入省。」

 「昭和36年、通商産業省(課長)を退任後、ニューヨーク工科大学教授に就任。」「アメリカ政府の、技術開発に携わる。」

 内務省官僚、朝鮮総督府と、昔の日本の匂いがする言葉です。氏の叙述の一徹さには、どんな日本を語ってくれるのか、正座して読みたい気配があります。

 「本書では、科学研究者としての手法で経済、社会、歴史を分析した場合に、」「ことの本質がどう見えるか、あるいは如何に見えるか、」「を述べているのである。」
 
 「そういう立場から、世の中を眺めると、これは何とも浮薄な、」「誤った、さらに意識的に、世を誤らせる言説が、氾濫していることか。」
 
 「世の常識からすれば、本書は、あるいは異常視されるところがあるかも知れないが、」「しかしそれは、日本の現状の方が、異常なのではなかろうか。」「とまれ読者が、他の本にない感興を本書に持たれ、」「さらに自身で、世の常識を再考するようになるなれば、」「本書を世に出す意義が、あろうかというものだ。」

 「はじめに」の言葉です。私はこの本を、後世の子孫に残した氏の「遺訓」と受け止めました。氏のことを知っている人から見れば、私の言葉がどのように感じられるのか。妥当なのか、見当違いなのか。

 最後まで、失望せずに読めたらと期待しています。

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