ねこ庭の独り言

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南京事件の総括 - 9 ( 北方領土不法占拠の原点、 その他 )

2019-01-17 07:56:18 | 徒然の記

  書評の9回目になります。東京裁判の内情が説明されています。

 「この裁判は、偽証罪は問わない、検証もしないという、中世の魔女狩りに似た裁判だった。」「日本軍の不法や暴虐、非人間的犯罪行為については、たとえ伝聞であれ、噂話であれ、創作であれすべて提訴せよと促し、」「裁判所はこれらを検証なしで採択するという、およそ文明国の規範をはずれた裁判であった。」

 氏の叙述が極端なので、読む人は誰も信じないと思います。そんなバカな話があるはずがないと、思うからです。

 「これに反し、連合国の行為は戦時国際法に違反していても、条約違反でも、」「ウェッブ裁判長の、次の一言で退けられた。」「この裁判は日本を裁く裁判で、連合国軍の行為とは無関係である。」

 裁判に関係のないことなら取り上げられなくて当然だろうと、おそらく読者は思います。ウエッブ裁判長が退けた事実を、氏が具体的述べ出すと、次第に氏の気持が伝わってきます。ウエッブ裁判長が拒絶したものは、次の通りです。

   1. 米国による、広島、長崎への原爆投下 ( 広島の死者20万人、長崎の死者14万人)

   2. ソ連による、日ソ中立条約の一方的な破棄

   3. ソ連による、満州、南樺太における開拓民を含む約25万人の日本人虐殺

   4. ソ連による、57万5千人の日本人将兵の不法なシベリア連行と、10年余にわたる強制労働

   5. 日本が武装解除した8月15日以降になされた、ソ連による北方四島の不法占拠

  戦争犯罪を裁く法廷なら、日本側から出された事実について、なぜ取り上げないのかという疑問が生まれます。日本を裁いている当事者への疑問であれば、却下する理由を説明するのが裁判長の仕事です。それをしないのなら、犯罪者が犯罪者を裁く裁判となり、そう言う場所を法廷とは言いません。

 日本側の弁護団が異議申し立ての最後に、おずおずと出した「北方四島の不法占拠は、安倍総理がプーチン大統領とやろうとしている「北方領土返還交渉」の原因となる事実です。

 ここで私は昨年読んだ、笹本俊二氏著の『第二次大戦下のヨーロッパ』を思い出しました。昭和20年にヤルタで行われた、ルーズベルトとスターリンの会談記録です。話が横道へそれますが、笹本氏の意見を紹介します。

 「ポーランド戦で大攻勢に転じたソビエト軍は勢いに乗じて、ドイツ領深く攻め込み、首都ベルリンまで60キロの地点に迫っていた。」「しかし米英軍はやっと進軍を開始したばかりで、ベルリンまでの距離は、400キロもあった。」 

 「ソビエト軍のあげた大戦果は、米英軍に強いショックを与えたが、それは政治的にも、強い圧力を意味した。」「スターリンが、ちょうどこの時期に、ルーズベルトとの会談に応じたのは、十分に計算した上での、ことだった。」

 突然の紹介なので、戸惑っている人もいると思いますが、もう少し読むと事情が分かります。

 「アメリカはまだ、対日戦争に明るい見通しを立てることができなかった。」「米国の首脳部は、日本との戦争はドイツを倒した後、18ヶ月は続くと、判断していた。」「日本本土に上陸作戦をやるとすれば、50万の死傷者を出すと計算していた。」

 「その上日本は満州に強大な兵力を持っているので、」「これを掃討するのも大仕事だと考えていた。」「アメリカとしては対独戦線終結次第、ソビエト軍の対日参戦がどうしても必要だと、考えざるを得なかった。」

 原爆実験の成功は5ヶ月先の見通しでしたから、慎重な当時のアメリカは関東軍の戦力を過大評価していました。ヤルタ会談に臨んだルーズベルトにとって最大の課題は、スターリンから、なんとかして対日参戦の確約を取り付けることでした。

 私がこれまで聞いていたのは、次のような話です。

 「スターリンは日本との同盟を破り、戦争末期のどさくさで、卑怯な攻撃を仕掛けてきた。」「火事場泥棒のように、日本の領土を奪った。」

 独裁者スターリンが、突然攻撃をしてきたと思っていましたが、実際はルーズベルトからの強い要請でした。笹本氏はこの時のルーズベルトを、次のように説明しています。

 「それで日本を降伏させることができれば、米兵50万の犠牲を出さずに済み、」「その代償ならある程度の譲歩はやむを得ないと言うのが、ルーズベルトの考え方だったのであろう。」

  この経緯を知れば、北方領土の返還交渉の困難さが分かります。安倍総理がプーチン大統領と個人的に親しくても、他の政治家がうんと言いません。
 
 スターリンは余力を持って対日参戦したのでなく、ドイツとの最終戦を終わるまで内実は薄氷の戦いをしていました。ヤルタで余裕を見せルーズベルトと会談したのは、政治家特有の「騙し合い」でした。北方領土は、ロシアがドイツとの戦いで流した血の代償に、奪ったものとも言えます。ましてアメリカの同意のもとでの領有なら、日露の話し合いだけで終わると思えません。

 総理が、北方四島の返還をロシアに同意させたとすれば、日本史に特筆される快挙です。

 息子たちに言います。国際政治の現実や大国のエゴイズムについて、戦後の日本は語らなくなりました。政府だけでなくマスコミも、現実を伝える役目を放棄しています。

 「日本は、平和を愛する諸国の公正と信義を信頼し、すべての問題を、話し合いで解決します。」とマスコミが合唱し、学校でもそのように教えます。北方領土が話し合いで解決されるような、楽天的な期待を抱かせます。

 息子たちに言います。父の世代の人間は、政府とマスコミ騙されて生きてきましたが、その過ちをお前たちにさせたくありません。よく読んでください。マスコミの使う言葉は現行憲法の前文そのままです。彼らの思考の根底にあるのは、「日本否定の断罪思想」です。綺麗な言葉で語られていても、底あるのは、日本人の心から「愛国心」を消し去ってしまうという、連合国軍の意図です。

  現行の憲法は、日本人の手で改正されなければなりません。反日左翼が跋扈する現在が困難なら、お前たちの世代を超え、バカな右翼と左翼が死に絶え、普通の日本人が増えた時、その時の日本人が作り替えればいいのかもしれません。

 田中氏は松井大将の名誉を回復するため、後世の国民に希望を託しこの著書を出版しています。父も息子や孫や、後世の子孫に願いを託しブログを遺しています。願いは、大げさなものではありません。

  ・ 自分の生まれた国を愛し、大切にする人間になる

  ・ ご先祖様を大切にし、おろそかにしない人間になる

 そんな国民が多数を占めるようになった時、つまり日本が普通の国になった時、日本の名誉が回復されます。これを阻む巨大な堤防が「現行憲法」です。反日左翼とお花畑のバカ者たちが、「平和憲法」と崇めているこの憲法が、日本否定の大元です。

 本日は、堤防の穴をどこまで掘ったのやら。田中氏から少し離れ、別の穴を掘ったような、気もしますが・・

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