ラツィオ州北部「モンテフィアスコーネ」、ボルセーナ湖を望む法王ゆかりの村

ラツィオ州北部、トスカーナ州とウンブリア州との3州の境にあるのがボルセーナ湖。ボルセーナと並んで代表的な村が、このモンテフィアスコーネです。元々ボルセーナ湖は、コラボしているドライバーの友人・ジョヴァンニが勧めてくれたのですが、彼らがいつも滞在するのがモンテフィアスコーネなので、とっても気になっていた村でした。それまでは全く知らなかったのですが、まず、標高590mという高さ、そして見どころの多さにビックリ!村の歴史は古く、紀元前のエトルリア時代から、名前の由来はMonte = 山、Fiascone = Falisci =ローマ時代のローマ北東地域名とされています。

大きな見どころは2つありますが、要塞好きの私はまず、町のてっぺんにある「法王たちの要塞(開館時間などはリンクへ)」へ。ここは標高633mの高さにあり、要塞前にある庭園からボルセーナ湖の素晴らしい眺めが見られます。

法王たちの要塞は12世紀末、モンテフィアスコーネの村を守るためにインノケンティウス3世の命により建てられたもの。その後、13世紀末のパオロ3世まで、歴代全ての法王が拡張工事に着手していることにより、法王たちの要塞、と複数形でと呼ばれているんですね。

そしてアヴィニオン捕囚時、教皇ウルバヌス5世の夏の滞在場所もここだったとか。まさにその時期、ここは教皇領の重要地で政治的な事柄を扱う中心であったそうです。15世紀には戦術の変更から改築が行われ、16世紀、ユリウス2世そしてレオ10世により大規模な改修が命じられます。しかし、その後は大砲を別の要塞に移動させるなど、要塞としての衰退がはじまり、1600年代末には要塞に使われた資材を持ち出されたり、退廃の道をたどります。

入場料はオーディオガイド(ただしイタリア語のみ)込み、また各パネルで跡地の解説を読むことができます。左奥は唯一残った塔で、こちらは近代に追加された階段で上まで上ることができ、望遠鏡でボルセーナ湖や遠くウンブリアやトスカーナの方まで見渡せるようになっていますよ。現存する建物の中は、ユリウス2世に改築のプロジェクトを任された建築家アントニオ・ダ・サンガッロの計画など、当時の建築についての博物館となっています。

そこから階段を下り、モンテフィアスコーネの旧市街へ。そしてもう1つの見どころであるサンタ・マルゲリータ教会へ行ってみましょう。

モンテフィアスコーネに向かう道からも、法王たちの要塞からも、どこからでも見える大きなクーポラを持つ大聖堂~イタリア国内ではなんと10番目の大きさ!今では小さな村ですが、教皇領当時のこの地の重要性が分かりますね。建設は上述の教皇ウルバヌス5世に命によりますが、金銭的な問題もあり当初の計画通りには行われなかったとか。現在のクーポラは、火事で損傷した後に1674年に再建されたものです。

8角形の内部は、各辺に祭壇と礼拝堂が置かれた華やかなもの。クーポラ上から入る光によって美しく浮かび上がります。後になって知ったのですが、教会裏側から地下礼拝堂にも行けるようなので、気になる方はそちらも訪問してみて下さいね。

そこからもと来た道を戻ると、もう1つ別の教会が。こちらはサンタ・マルゲリータとは裏腹に、中も外も質素なサンタンドレア・イン・カンポ教会。モンテフィアスコーネの教会でも最も古いものの1つで、853年の記録にすでに登場しています。積み重ねた石が見える後陣や柱、また柱頭の彫刻など、ロマネスク様式の特徴が分かります。

サンタンドレア・インカンポ教会を向かって左側のアーチを抜けると、村の中心となる広場、そしてその先には商店などが集まるメインストリート・カヴール通りがあります。一方、サンタンドレア・インカンポ教会を右側に見てまっすぐのアーチを超えると、カスティ通り、そこからピエーヴェ通りへ。私たちはこの先、法王たちの要塞下に駐車していたので、情緒あふれる落ち着いたこの通りを歩き、モンテフィアスコーネ観光を終えました。

私たちはいけませんでしたが、旧市街外にあるサン・フラヴィアーノ大聖堂、またご当地DOC白ワインEST!EST!!EST!!!など、見どころや特産物もあるモンテフィアスコーネ。まだまだメジャーな観光地ではありませんが、ボルセーナ湖周りは素敵な村、自然が多くてホントに魅力的!ラツィオ州ですが、南トスカーナのオルチャ渓谷・アミアータ山(シエナ側グロッセート側)・マレンマ地方からのアクセスも良く、ウンブリア州ではオルヴィエートも至近。湖水浴もできるので、夏ならゆったり滞在されるのもおススメですよ。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Proloco Montefiascone(観光協会)

【行き方】
最寄り駅はラツィオ州のMontefiascone駅で、ローマ・テルミニ駅から直通または乗り換えで約1時間半。そこからCOTRAL社のバスが出ています。時刻表はこちら、駅(Stazione FF.SS)→旧市街至近のローマ広場(P.le Roma)はLINEA2/ZEPPONAMIです。電車についてはこちら、バスの乗り方などについてはこちらをご覧下さい。

湖沿いの村の他、人気の「死にゆく町」チヴィタ・ディ・バーニョレージョ、オルヴィエート、またトスカーナの凝灰岩の村、ピティリアーノソラーノソヴァーナなどと合わせて車で周るのもおススメです。

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