クールな生活

日々の雑感と意見

実効支配されている北方四島をどうやって取り戻すか

2018-09-18 10:01:18 | 時事問題 政治
首相安倍はロシアの実効支配の現状をよく知っているのだろう。昨日9月17日にフジテレビのニュースで放映された、自民党総裁選挙での石破との対戦で、現在北方領土に住んでいるロシア人をどうするかについて言及した。北方領土返還を叫びながら、ロシア人のことを話題にするとは、まさにお人好しと呼ばれよう。日本は北方四島を返還してもらっても住む人がいないであろうという実態が背景にあることが頭にあるから、あのような発言が出たのかとも推察する。旧島民が今願っているのは、気楽に墓参できることであり、周辺の道民が希うことは漁ができることであるといわれる。この辺りを十分調査しておくべきである。ロシアに実効支配されている、北方四島に日本が税金を投入する意義は、今住んでいるロシア人を救うことになるわけで、うがった見方をして首相安倍にそんな思いがあったのか思うと、とんでもないことと言いたくなる。

先日ウラジオストクで行われた、ロシア主催の東方フォーラムで、ロシア大統領プーチンが多くの聴衆の前で、日本首相安倍のわれわれの手で日ロ平和条約をこれまでと違ったアプローチで進めたい旨の発言を受けた形でと称して、条件なしで年末までに平和条約を結ぼうと呼びかけ、満場の拍手を得た。日本首相安倍は、何も答えずに苦笑いをしていただけであった。この首相安倍の反応に、日本の野党や自民党総裁候補の石破がノーを突きつけている。首相安倍にすれば、これまでロシア大統領プーチンと何回か話し合って平行線であった内容を大勢の前でプーチンが発言したので、またか、という思いであったのであろう。一般大衆は、日本の野党も含めて、安倍―プーチン会談の内容の全貌を知らないから、せいぜい、条件無しはないよとか、日本は北方四島の帰属がなければ平和条約締結はしないのですよとか、年末まではどうやっても無理だよとかの返しくらいはやってほしかったと思う。特に、狡賢いロシアが相手であるから、黙っていただけでは、異論はないんだなと解釈されてしまう恐れは十分にある。

第二次世界大戦時のアメリア大統領ルーズベルトとイギリス首相チャーチルと当時のソビエト最高指導者書記長スターリンの三人で行われたヤルタ会談で、米英の二人はスターリンに押しまくられて、欧州におけるソビエトの領土拡大と共産主義政権を許してしまっている。ソビエトの対日戦争でも、ほとんど講和にしたいという日本の意向を知っていながら、日ソ中立条約を破棄して、原爆投下の後、樺太と千島に進軍した。樺太と千島を自分らの領土として確定させるためである。ソビエトの狡猾さが読み取れる。日本は戦争に負けた。いわゆる南千島の北方領土四島はソビエト領土にはなるかは解釈が明確でなかったこともあり、日本は返還を要求した。ソビエトは、歯舞・色丹の二島のみの返還で決着させようとし、日ソ共同宣言を行った。1956年である。その後も日本は四島の返還交渉を行っているが進展はない。

2000年に入ってから、国が変わったロシアの南千島の実効支配が進んでいる。日本の外務省が四島への渡航を許可しない方針なので、日本人が渡航する機会が少ない。鈴木宗男がムネオハウスと呼ばれるくらいの実力をある時期に見せたが、しぼんでしまった。テレビで時折択捉や国後の現状を映してくれることがあるのを見ると、今やほとんどロシア領土という様相である。ロシアは、歯舞・色丹にまで手を伸ばしている。ロシアにとっては千島列島は、対アメリカの太平洋に面する基地として軍事的に重要の地勢で手放せなくなっている。日本では担当大臣が島名を読めないのまでいた始末である。日本に必死さがない。

実効支配されている北方領土を取り返すには、戦争に訴えることになる。軍事による戦争か、経済封鎖という手段の戦争かである。今の日本のできる戦争は後者しかないが、日本が再軍備すると宣言するだけでも相応のインパクトは出るだろう。竹島についてもいえる。日本はもっと強く態度を示すことが必要である。1956年の日ソ共同宣言の履行を決めれば、漁業権もある程度確保されるから、戦争をしないですむ。それが精一杯の所であろう。それすら危うい事態ではあるが。

アメリカは、ロシアの択捉、国後の軍事基地化に難色を示してはいるのだろうが、表立って日本になにか言ってきているのであろうか。アメリカ大統領トランプは、おそらく事情をよく分かっていないであろうから、ロシアの危険まで予知していないだろう。話しても日本のことだから日本が決めることだというだけだろう。そうなれば、日本が頑張る理由は弱くなる。首相安倍の苦笑いが、ロシア大統領プーチンにやり込められないことを祈るしかない。


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