今回は、母の日にちなんでどうしても紹介したい写真集を紹介します。
当院にはさまざまなご病気の方が来院されます。
今まで大して宣伝などせずに口コミ中心でやってきて、現在、関西一円はもちろんのこと、遠くは九州や関東からも来院されており、有難いという思いとともにその方の生死に関わらせていただいていると思うと身の引き締まる思いでもあります。
そしてここ数年、当院においては特に癌の患者さんが増えています。
癌に関しては東洋医学もかなり研究がすすみ、医師が驚くほどの成果を収めることも多くはなってきていますが、残念ながらお亡くなりになられる方も多いのが実情です。癌に罹患される方のなかには若い方も多く、まだ小さいお子様をお持ちの方もおられます。
そんな時に私自身が、亡くなられる当人そしてご家族の方の気持ちをどこまで理解できているのか、全てを出し切って全身全霊で治療に当たったのか、まだ出来ることがあったのではないか……などいろいろな思いが胸をよぎります……。
子どもを残して逝かれる方はもちろん、残されたまだ幼い子供さんの気持ちはどうなのか……そんな時につい手にとってみたくなるのがこの本なのです。
『おかあさんのばか』 (写真 細江英公、被写体と詩 古田幸 窓社)
おかあさんのばか―細江英公人間写真集
4,980円
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この本の出版は2004年なのですが、実際に作られたのは昭和39年。
細江英公氏の写真集です。
被写体は小学6年生(当時)の古田幸ちゃんです。
幸ちゃんは、大好きなお母さんを脳出血で亡くしました。
学校の先生をしているお父さんと中学生のお兄ちゃんとの3人の生活が始まります。
そんな中での幸ちゃんの写真と詩が収められています。
この本の中から今日は、『母の日』と題された詩を紹介します。
母の日
雨のふる日おかあさん
きょうは母の日ですよ。
きょねんのきょうは
おかあさんに
エプロンとカーネーションを
あげたわね。
ことしはね
おかあさんの写真のまわりを
赤いカーネーションで
いっぱいかざるの。
おかあさん
いいアイデアと思わない。
この詩に、お父さんの古田茂美さんはこのような言葉を添えておられます。
●幸や私どもにとって、今年の「母の日」くらいざんこくな日はなかった。幸はおそらく「母の日」なんてなくなってしまえばよい、と思ったことだろう。赤いカーネーションで母の写真のまわりをいっぱいにしたいというアイデアは、少しやけぎみからのようにも思える。たまらなくなった幸は、この日から何でもいいたいことを、詩にして母に報告するようになったが、毎日を「母の日」にしたいと思ったのであろう。 (父)
三島由紀夫を被写体とした写真集『薔薇刑』(と言っても最近の若い方はご存じないでしょうが……)でも知られる細江氏の写真はどれも素晴らしく、昭和30年代生まれの私にとっては、なつかしい昭和の風景が見られます。
巻末には、その40年後の幸さんの手記が添えられていて、
「------その父も、六年前に他界いたしました。現在、理解ある夫と二人の子供と幸せに暮らしています。------」
と書かれています。
母親の有り難さが心に沁みるとともに、
40年という時間の流れと人生の移り変わりを感じます。
ある著名な方が仰っていました。
「大切な人をなくした悲しみを癒してくれるのは、流れていく時ではなくて、まわりにいる人だ」と。
……でも、やはり時の流れもだいじだと私は思うのです。
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