どうすれば高齢者の身体機能を向上させることができるのか?① | 進撃の理学療法士

進撃の理学療法士

藤田晋さんに憧れています。
介護分野で会社を立ち上げ、小さな通所介護施設を運営しています。
『全ての人が生きがいを持って生活できる社会を作る』
これを私の会社のミッションステートメントとし、バリバリ働きます!!

仕事がら、いつも題名にあげたことを考えています。

 

 

 

私は通所介護施設の管理者をしていますが、その社会的役割は

「要支援、要介護者の身体機能を維持改善し、できる限り在宅生活を安全に、且つ長く送ることができるようにすること」

 

 

と認識しています。

 

 

そのために必要なこととは何か?

まずはその方の生活上のリスクを把握することであると思います。

 

 

特に重要なのは転倒リスクです。

これは必ずしも運動能力が高ければよいというものではありません。

 

 

どういうことかというと、例えばバランス能力が非常に低い方でも、寝たきりに近い生活をしていれば転倒はしません。逆に、農作業などレベルの高い動作を日常的にされる方は片足立ちが1分できても転ぶときは転びます。

 

 

なので、必要なのはその方の身体機能は当然として、生活環境の把握が重要になります。

この点において、例えば身体の状態が良くなり、歩行能力が改善した際などに逆に転倒リスクが上昇してしまう魔の期間が存在してしまいます。

 

 

これは例えば痛みについても同じことが言えます。

実際にあった例なのですが、長年膝の痛みに悩まれていた利用者さんが、からだはうすに通われるようになり膝の痛みが消失しました。

 

 

痛みがなくなることそれ自体は非常に良いことですが、その方は痛みがなく歩けることがうれしくて、長年気になっていた庭の木を脚立に上り切るという非常に危険なことをされてしまいました。

 

 

結果としてその方は脚立から転落し、ろっ骨を骨折するという最悪の結果となってしまいました。

 

 

今回の題名である、「どうすれば高齢者の身体機能を向上させることができるのか?」というものには矛盾してしまいますが、継続的に良い身体機能を維持するためには、身体機能の改善に伴う生活動作の変化、活動範囲の変化がむしろマイナスの方向に働くこともあります。

 

 

つまり、高齢者の身体機能を向上させる際にはその後の変化も考慮しなくてはならないということです。ただ良くすればよいというものではありません。

 

 

この点においてケアマネージャーさんとの連携は欠かせません。基本的には改善を目指しアクセルを踏んでいく立場ですが、時にはブレーキ役に回ることもあります。

 

 

それを踏まえたうえで、どのように高齢者の身体機能を改善していくか?これは非常に難しいことです。

 

 

70歳以上の高齢者における1日あたりの目標歩数

 

 

1日の平均歩数を男性6,700歩、女性5,900歩程度、これを維持することができれば自立レベルに近づくことができます。しかしこれは非常に難しいです。高齢者にとって1,300歩は約15分の歩行時間に相当し、距離としては650~800mとなる。とのことなので、まずは5分程度の連続歩行。400~500歩を目指します。

 

 

からだはうすでは油圧マシンによる筋力測定を6種、体力測定としてTUGテスト、開眼片脚立位時間、ファンクショナルリーチ、握力などを定期的に測定していますが、やはり長年身体機能を維持できている方は歩行機会が多いです。

 

 

ご自身で屋外歩行が不可の方で、身体機能を維持できているケースの多くは週3回以上通われ、運動量を確保しているケースが多いことからも、やはり運動量をいかに安全に確保するかが重要な指標であると考えられます。

 

 

運動量を減少させる要因は多岐にわたります。これは次回にまとめようと思います。

 

 

続く