秋も深くなり、肌の乾燥が特に気になる季節になりましたね。いつもの保湿クリームでは物足りなくなり、保湿成分の高いものに変えました。
ウェブマガジンでは若さを保つための化粧品、ボディエクササイズや服装などがたくさん紹介されていますが、お金をかけて維持してきた美とはまた違う類の美しさを持つ人もいます。
今回は、私が出会った中で一番印象に残っていて、とびきり美しいと感じた方の話です。
その女性を仮に美楚姫(みそぎ)ちゃんということにします。
美楚姫ちゃんとはたった1回しかお会いしていないのですが、今でも忘れられない美しい人でした。まぁ、実際にお会いした時から大分経っているので、私の頭の中で理想化されているのではありますが。
美楚姫ちゃんとは数年前、あるリトリートでお会いしました。
私はそのリトリートにいくのは2回目で、最初のリトリートで数人と顔見知りになりました。
私は一人でリトリート先に現地集合し、荷物を置きに宿泊施設に向かう途中で、たまたま私の後ろにいた美楚姫ちゃんに声をかけました。美楚姫ちゃんは今回初めて参加したらしく、知り合いの人もいないとのことでした。
美楚姫ちゃんはその落ち着きぶりと話し方から、私よりもかなり年上のように感じましたが、(実際そうでした)、素直な少女らしさがまだ残っている奇跡のような人でした。色で例えると真っ白。自分を飾りもしないし、弱くも強くも見せたりしない人でした。正直、よくこんなにも純粋で生き延びてこられたなぁ、と感心してしまいました。
人の本当の美しさは、美容や自信からくるものではないのかもしれません。
一年の中で最も寒い時期、山奥のリトリートに一人で来るということは、何か深い事情を抱えていると察しました。私自身もこの時、精神的に参っていたので自分の事情を聞いて欲しくなかったし、他人の問題を聞くこともしたくありませんでした。
宿泊施設にたどり着き、受付で手続きをとる事になりました。受付では、今回のリトリート主催者さんの世話人の方々が業務をしてくださっていて、その世話人の方に、美楚姫ちゃんは今回初めての参加であることを伝えました。
そうすることで、世話人の方が何かと気にかけてくださることは1回目の体験で知っていたので、美楚姫ちゃんが何かあったら世話人さんが助けてくれるだろうと思いました。
リトリートの最初のプログラムの後、参加者同士が交流する機会がありました。私は顔見知りの人を見つけておしゃべりをし、美楚姫ちゃんは美楚姫ちゃんで、近くにいた人と話していました。
リトリートの主催者はその当時、割と有名な方らしく、主催者の周りはいつも賑やかでしたが、その雰囲気からお世話人たちと仲良くないと主催者とは話せないような感じがしました。
みんな言葉にはしないけれど、時間もお金もかけて、せっかく会えたのだから主催者に自分の話を聞いてほしかったはずです。私がこの時、何もかもに疲れ果ててはいなくて元気だったら、きっと主催者とお話しする機会を伺っていたと思います。
美楚姫ちゃんはたくさんの人と交流していた様子でしたが、移動時や座席を決める時は、毎回子犬のように私のそばにいました。
お世話人たちや、このリトリートのコミュニティでは名が売れている人たちは美楚姫ちゃんに声をかけてくれたようだったので、主催者やコミュニティ内の有名人と親しくなるには良い機会なのに、と不思議に思いました。もしかしたら、そんな方達と仲良く話したいけれどなかなか積極的に行けないタイプなのかもしれないなと思いました。
その日のすべてのプログラムを終え、夕食の時間になりました。美楚姫ちゃんはこの時も私のそばにいて一緒に会場に向かう事になりました。
夕食時は、各々が好きな席に座ります。私はわざと美楚姫ちゃんを一人にして、別の参加者と一緒の席に着きました。そうすることで、世話人の方が一人初参加者の美楚姫ちゃんを主催者さんのそばに座らせてくれるよう取り計ってくれることを知っていたからです。
狙った通り、世話人の方の計らいで美楚姫ちゃんは主催者さんのすぐそばに座りました。しばらくして主催者さんが座っている方を見ると、美楚姫ちゃんが涙ながらに心の内を話している様子がうかがえました。
翌日の朝、美楚姫ちゃんは主催者さんに特別セッションを受ける事になりました。その間、私を含む他の参加者は、瞑想したり軽いハイキングをしたりと自由に過ごしました。
セッションが終わり、美楚姫ちゃんが皆が集合している場に戻ってくると、昨日とは打って変わってすっきりとした雰囲気になっていました。
その上、笑顔にキラキラ感が出て、自ら発光しているようでした。何もかもを主催者さんに打ち明けて心が落ち着いたというよりは、完全に一皮剥けて進化したようで、全く違った人物になっていました。
美楚姫ちゃんは他の参加者からどんなセッションだったのかを聞かれ、受けた内容を話し始めました。話をしている間、なぜか私のそばにいてくれていました。
美楚姫ちゃんは愛する人を前の年に亡くしたそうです。それから、ずっとその痛みを抱えており、このリトリートで痛みを断ち切ろうと決意したのだそうです。
セッションでは、主催者さんから愛する人はずっとそばにいることを教えてもらったそうで、主催者さんからその言葉を聞いた時、再び涙したそうです。
美楚姫ちゃんが泣き止むと、愛する人の言葉が直接頭に聞こえてきました。その瞬間、本当に愛する人が自分のそばにいることを実感したそうです。一年ぶりにきいた愛する人の言葉に心の底から癒されたと話す姿は本当に綺麗で思わず見惚れてしまいました。
昼食の時間になり、皆が会場に移動し始めました。美楚姫ちゃんは、やっぱり私のそばにいて、一緒に行く事になりました。
その時、美楚姫ちゃんが突然、私が誰にも話していないことを言ってきました。私はびっくりして、どうしてわかったの?と尋ねました。
美楚姫ちゃんは「リトリートについて受付に向かったとき、私と同じものを持つ人が目の前を歩いてた。そしたら、そしたら、あなたは私の方を振り返って、「このリトリートは初めてですか?」って聞いてきたじゃない。だから、あなたも私を見つけてくれたと思ったの。」
私はたまたま後ろにいた人に声をかけただけで、美楚姫ちゃんが持つような能力を持ち合わせてはいないことを説明すると、彼女はこう言いました。
「あなたがわからなくても、相手はちゃんと見つけるわ。
言葉を交わさなくてもわかるから・・・私のような御使いは・・・。」
Photo by Briana Tozour on Unsplash