醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  889号  白井一道

2018-10-23 11:44:22 | 随筆・小説


  トランプアメリカ大統領の対日政策は変わったのか


 先日テレビを見ていたらコメンテーターに宮家邦彦氏が出演していた。テレビでは北朝鮮問題を取り上げていた。
「朝鮮戦争の終結宣言について、宮家さんはどのように考えておりますか」と司会者が質問した。「トランプ大統領が何を考えているかは、分かりませんが私は朝鮮戦争の終結宣言については良くないと思っています。朝鮮戦争が終結し、韓国に駐留米軍がいなくなるような事態になったら大変なことになる。東アジアの状況に悪い影響がでてくると考えています」とこのような発言をしていた。
 私は宮家氏の発言を聞いて驚いた。正々堂々と朝鮮戦争の終結に反対だと述べる人間がいることに驚いた。戦争を支持する人間が知識人として公共の電波であるテレビで発言する時代になっていることを確認した。70年間も休戦状態が続いていることを一刻も早く終わらせようというのが平和を願う外交官のすることじゃないかと私は考えている。
 宮家氏の発言を聞き、日本の指導層の中には、戦争態勢を準備しておくことが日本の安全保障だと真面目に考えている人々がいることを知った。
 国々が互いに平和友好条約を結び、政治的、経済的、文化的交流を深めることによって平和を実現しようとしている人々が外交官だと私は考えていた。
 諸国の中に平和友好が実現しないと考える理由は敵がいるということなのであろう。日本にとっての敵とは北朝鮮、中国、ロシアということなのだろうか。このように考える理由はこれらの国々が社会主義国、または元社会主義国ということなのであろう。現実的に北朝鮮や中国、ロシアは日本国に対して敵対的な行為をしているのだろうか。これらの国によって日本は侵略されているのだろうか。北朝鮮は確かに日本人を非合法的に拉致した。この不幸な出来事は朝鮮戦争が休戦状態、半ば戦争状態が続いているからだと私は考えている。朝鮮戦争が終結し、日本との間に平和友好条約が結ばれていたならば、このような不幸な出来事は起きなかったのではないかと考えている。日本国民を拉致する。このような「犯罪」を行うのが戦争である。戦争は人殺しだ。戦争を終わらせる。これが一番大事なことだ。朝鮮戦争を終わらせることが最終的に日本人拉致問題の解決になる。北朝鮮に戦争状態を強いることによって、どうして拉致問題が解決するのだろうか。北朝鮮は小国だ。世界最大の軍事大国アメリカに脅されて震えている。最貧国、北朝鮮は自国の存続を願っている。軍事的にも経済的にも豊かなアメリカ合衆国にテロ支援国家として名指しされ、攻撃される恐怖に70年間曝されている。この緊張感はきっと想像を絶するものがあったのではないだろうか。北朝鮮は自国の安全確保のために核兵器の開発をしている。核兵器をもつことが戦争を阻止する。安全を確保すると北朝鮮政府も国民も考えている。朝鮮戦争の終戦宣言をすることが北朝鮮の非核化を実現する。なぜ宮家氏はそのように考えないのか、北朝鮮の脅威を日本政府は必要としていると考えているようだ。
 だから日本政府もまた北朝鮮への圧力を強化することによって北朝鮮の非核化が実現できるかのような発言を安倍総理はしていた。宮家氏も北朝鮮への圧力強化には賛成していたようだ。北朝鮮の脅威を日本政府は必要としている。そのようにしか考えられない。北朝鮮の脅威は必要だが、現実に北朝鮮と戦端を開くことには反対のようだった。宮家氏の意見も北朝鮮と戦争をすることには反対のようだ。
 北朝鮮情勢は目まぐるしく変化している。トランプアメリカ大統領はアメリカの世界支配体制を維持するということではなく、自分自身のへのアメリカ国民の支持を高めること、次期アメリカ大統領再選を確保するための外交、政治を行っている。だからなのだろう。宮家氏もトランプ氏が何を考えているのか、分からないと発言している。
 パックスアメリカーナ、アメリカを中心にした世界支配体制を維持存続していく。アメリカの強力な軍事力によって世界を秩序する。このような政策をアメリカ政府はしていないのでトランプ氏は何を考えているのか分からないと宮家氏は言っているのかなとテレビを見ていて思った。
 トランプ氏は東アジアから軍事力の撤退を考えている。なぜならお金がかかってしょうがない。日本にはアメリカからの武器を買ってもらって独自に自国の安全保障をしてもらいたい。今までアメリカは日本のためにアメリカ国民の税金を使ってきたのだから、これからはアメリカ国民のために日本はアメリカの軍需品を中心にいろいろな物資を購入し、アメリカ国民のためにお金を使ってもらいたいと考えているようだ。
 孫崎享さんの話を聞いているとアメリカは中国とことを構える気持ちはないようだ。中国を攻めてアメリカを滅ぼすような愚かなことをするはずがないと孫崎さんの話を聞いて思った。米中貿易戦争はアメリカ政府にとってはマイナスかもしれないがアメリカ国民のトランプ氏への支持は高まるようだ。
 アメリカファーストということは、アメリカはアメリカだけの利益を求めて行くということであり、パックスアメリカーナとは大きく違っているということだ。アメリカは同盟国の盟主として世界を支配していくというのが今までのアメリカだった。このような外交政策をトランプ大統領はやめたということなんだと思う。

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