確信犯?
妻はなんだか疲れ気味だった
「焼き鳥が食べたい」
と言う。
―よし、鶏のいろんな部位を買って、下処理して、串を打って、炭火で…
なんてことはできないので、
自宅から徒歩15分ほどのところに、
テイクアウト専門のおいしい焼き鳥屋がある。
ウォーキングついでに買ってくることに。
1時間半歩いてたどりついた夕方の焼き鳥店。
なんと、シャッターが…。
定休日を調べなかったボーンヘッド。
◆◇◆
手ぶらで帰宅する、情けない父。
変わらない焼き鳥モード。
―チャリで駅前の焼き鳥屋に行って買ってくるよ。
定休日の店ほどではないが、そこもまあまあ。
青じそ入りのつくねはけっこうおいしい店だ。
帰宅していた娘にも、オーダーを聞く。
「んっとね、ボンジリとキツネ」
―キツネ???
「あ、つくねだった!」
相変わらずの天然ボケである。
―じゃあ、キツネとタヌキ買ってくるわ。
「それじゃあ、うどんじゃん」
家族3人ともボケかツッコミかと言われればボケである。
ボケにはボケで返して、今度は自転車で出動した。
◆◇◆
駅前の焼き鳥店。
3人ほど並んでいた。
ソーシャルディスタンスで、
間隔は広めに空いている。
最後尾に並んでいると、
おばあさんが2人前のところにスッと入って、
注文し始めた。
おいおい、横入り。
直前に並ぶ女性と目が合ったが、
お互いに、まぁいいか、という感じのアイコンタクト。
おばあさん、手慣れた感じで注文して、
スタンプカードを出して押してもらっている。
常連さん。
多分、横入りも確信犯だな。
◆◇◆
3人分、20数本買って帰宅。
―キツネ、売ってなかったよ
と伝えると、
娘は顔にショックの色を浮かべた。
―つくねなら売ってたけどね。
ぼんじり8本、つくね5本、手羽にネギまに鶏軟骨…
たわいもない会話でビールが進んだ夜。