2020.9.7 さよなら DD14形ロータリー式除雪用ディーゼル機関車
DD14形除雪用ディーゼル機関車(ロータリー式)は、国鉄時代に製造された2両ワンセットの除雪車両で、愛称は、その姿から「ザリガニ」「赤ザリガニ」。
国鉄分割民営化後は、JR北海道、JR東日本、JR西日本が保有。
DD14形ロータリー式除雪車は主に「特雪」と呼ばれる積雪量が特に多いときの除雪作業用として運転。
運転されるのは大雪が降り止み天候が回復した時だけ。降雪時はラッセル車による除雪で列車の運行確保を行い、その後、ラッセル車が線路の路端(両脇)に寄せた雪が線路内に崩れ落ちないよう、DD14形ロータリー式除雪車が、路端に寄せた雪を飛ばす除雪作業を担う。
近年は降雪量の減少や除雪用モーターカー(ENR-1000形投排雪用保守用車など)の運行開始等により、DD14形ロータリー式除雪車の運転回数は減少し、一年のうち冬季に数回運転される程度だった。
そのため、いつ運転されるか直前まで分からない神出鬼没の車両であった。
活躍する姿を見に行くためには、信越本線の除雪運休日、運休区間、運休時間、天候などを総合的に勘案し、一か八かで現地に行くしかなく、運がよいと稀に出会える程度だった。
JRでは、JR東日本長岡車両センター所属の2両(DD14-327号機、DD14-332号機)が一番最後まで現役で活躍し、信越本線直江津〜妙高高原間の「特雪」運用で使用。
しかし、2015年(平成27年)3月のJR北陸新幹線金沢開業により、信越本線がJR東日本から経営分離され第三セクター化されたことにより、DD14形ロータリー式除雪車は運用離脱した。
運用離脱した長岡車両センター所属の最後の2両(DD14-327号機、DD14-332号機)のうち、332号機は、2015年(平成27年)に新津鉄道資料館(新潟県新潟市)に運ばれ静態保存・展示。
残っていた327号機も、2020年(令和2年)9月7日、ついに廃車され、同年9月7日(月)〜8日(火)にかけて秋田総合車両センターへ廃車配給輸送。ロータリーヘッドは長岡車両センターで取り外され、同センター敷地内に放置されている。327号機が長岡から秋田へ輸送された際は、車体に貼られた回送表に「常在戦場で新潟の冬を守り抜きました。44年間お疲れ様でした」と労いのメッセージが掲げられた。
なお、現在DD14形ロータリー式除雪車で車籍を有しているのは、JR東日本盛岡車両センターに長年放置されている310号機のみだそう。稼働実績は当分なく、廃車のときを待つだけ。