東アジア歴史文化研究会

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香港の覆面武闘集団の正体は依然不明だが 戦闘方法が変わった。少数部隊が分散し、同時多発型に(宮崎正弘国際ニュース早読み)

2019-10-16 | 中国の歴史・中国情勢
毛沢東は「革命とは宴席で呑みながら政権構想を語るのではなく、インテリどもが理想郷を描くばかりのものでもなく、暴力である。革命政権は鉄砲から生まれるのだ」と言った。政治の本質がゲバルトであることを毛沢東は知っていた。

香港の反政府抗議集団の最大の合意は、「反送法撤回」「覆面禁止法反対」だが、「香港独立」か「完全自治の達成」、もしくは「普通選挙法獲得」かで各派の意見は明確に分かれる。もちろん大多数は穏健派で、暴力の行使には反対だが、表だって武闘派を非難する声もあまり聞かれない。

火焔瓶を投げ、警官隊と衝突し、地下鉄を破壊する行動隊は、それなら何が目的なのか?

参加者の答えはバラバラである。なかには「雨傘革命の失敗は、実力行使をせずに平和的デモ行進だけで終わったからだ。今度は命を賭けた戦いであり、失敗すれば死をまつしかないのだ」と悲壮な決意を述べる若者もかなりいる。

『マタイ伝』第五章第十説はいう。「義のために迫害される人々は幸せである。天の国は、その人たちのためのものである」(日本聖書協会訳)。

日本の分析では、武闘派の見方がおよそ三つに別れた。

第一は、マニアックなオタク部隊という、珍妙な解釈である。破壊に喜びを見出しているのが動機とするものだ。日頃、ネットに興じて、友人との付き合いがなく、そのわりに想像力が豊かであり、彼らが夢想するのは破壊への衝動である。

第二は、習失脚を狙う江沢民派の逆襲が濃厚に絡むとする権力闘争分析で、中国共産党の歴史を研究する人に多いし、たしかにその側面がある。

第三が、警察暴力に反対するために、闘争か、死かという悲壮な決意に馳せ参じたのだとする抗議側の立場に近い解釈である。

香港のメディアは「勇武隊」と呼ぶところもあれば、親中派メディアは「暴徒」。なかには「黒衣隊」と命名したところもある。ただし、黒衣隊は火焔瓶止まりで、爆弾を行使するという次のレベルに行かないのは、軍人の協力がないと作り方も、使用方法もわからないからだと言われている。日本赤軍やドイツの過激派がつかったような爆弾闘争、殺傷をともなう武力闘争になれば、中国人民解放軍が間違いなく介入するという計算がさきにあるようだ。
 
▲かれらが爆弾を使い始めると香港はレバノン化するだろう

同時にこれらの分析には迷惑顔の市民 とりわけ日本のビジネスマンが「営業活動に悪影響、デモに反対」という立場が多きことも、客観的事実として書いている。以上の三派がときに共闘し、複合的に錯綜しながらも、戦術が集団別の単独行動に変化して、各個撃破、同時多発のゲリラ活動を展開し、警察力を分散させることによって抗議側の行動に自由度が高まるという計算に基づく。

これら三つの分析は、じつは全てが正しいのである。それぞれがグループを形成し、別個に行動しているからだ。

まず親中派の店舗を狙うのは、香港の商店街の親中派店舗を地図に明記したアプリが出回っている。サイバー支援部隊があって、様々な情報を、各派の独自の情報網にあげているからだ。

つぎに火焔瓶の作り方がSNSで出回っていて、破壊力が弱く、火焔力も弱いものが即席でつくられている。投擲部隊は野球のピッチャーか、砲丸投げの選手かと思われるような屈強な男性が、集団のなかから選ばれているようである。

爆弾もSNSのレシピが出回っていて、作り方は簡単だろう。だが、香港のレバノン化、すなわち近代的なビルも廃墟と化して、瓦礫の山をなることまで武闘派が夢想しているとはとても思えない。

問題は介入の口実に、中国軍が自作自演をやらかさない限りにおいてであるが。

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