tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

産業革新投資機構の混乱に見る「官民ファンドの問題点」

2018年12月11日 18時33分52秒 | 経営
産業革新投資機構の混乱に見る「官民ファンドの問題点」
 今日、世耕経済産業大臣が産業革新投資機構への来年度予算案で求めていた1600億円を取り下げる意向を示したことで、マスコミを賑わせた今回の「官民ファンド」問題については当面終息という事になるようです。

 官民ファンドについては十分な情報が無く良く解らないのですが、会計検査院によれば(30年4月)、「16法人のうち、把握可能な14法人については殆どが赤字で、多くは純資産が資本金等を下回る」などと書かれています。

 「官民」と言っても殆どの資金は「官」から出されていうようで、運営は「民」でも、スタッフは官OBなど多いようです。

 今回問題になった産業革新投資機構(JIC)は、アベノミクスの第3の矢の目玉でしょうか、日本における先端技術開発の積極化に貢献する企業に出資して応援し、その企業の発展で多額のリターンを得、資金量を増やし、収益サイクルの好循環で、さらなる日本経済の発展を実現しようという、バラ色の夢を乗せて発足という事だったのでしょう。

 カネは「官」、知恵は「民」という理想の組み合わせでという構想だったのでしょうが、スタート時点で挫折してしまいました。

 典型的には、先端技術のベンチャー企業に出資し、その企業が発展拡大して上場すれば、巨大な投資収益が期待できるという形でしょうが、それだけではなく、所謂マネーゲームでキャピタルゲインも稼ごうという狙いもあったようです。

 というわけで、海外の投資銀行の経験などで鍛え上げた金融のプロを経営陣にという人員配置だったのでしょう。
 国際的にはそういう人たちはメーカー大企業なのの経営者とは比較にならない高額な報酬でスカウトされるのですが、資金を出す財務省は、公務員トップやサラリーマン社長並みの報酬でなければと考えていたようです。

 所轄の経産省のほうは、OBに村上ファンドの経営者などもいるわけで、それなりの高い報酬という意識もあり、固定給は安くても、成功報酬で日本に400人程度しか居ない年収1億円以上も可能といった数字を提示していたそうです。

 スカウトされたトップの方は、やはり日本人ですね。たとえ報酬が1円でも「やりましょう」という事だったとのことです。
 それに甘えたのかどうか知りませんが、財務省は高級公務員なみでないとを押し通したようです。

 そんなことで、JICの経営陣への就任をOKした民間出身の方々は、政府の中で余りにも認識が違うような仕事は出来かねるという事になったのでしょう。総退陣という事になって、結果は出発点で挫折という事になったのでしょう。

 問題はいろいろあるでしょうが、カネは国民からの税金や借金(財投含む)で出し、経営(運用)は 民間のプロの愛国心や犠牲的精神に頼ろうとした政府の意識や感覚のズレ、また政府内でのそれらのズレの大きさ、さらには、そうしてカネを当てにしないと財政がもたないという認識をを持っている「(株)日本国」のトップ経営者たちの思惑のすれ違い、空回りがこんな騒動を生んだのでしょう。何か情けないですね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿