駒込にある東洋文庫は、東洋に関する学問の図書館。
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私は大学で東洋哲学を学んでいましたが、東洋哲学などというものは、戦争が始まれば真っ先に取り潰される学問だといわれます。
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東洋といえば、まずインド。
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全裸の体に灰を塗り手繰って逆立ちをしているインドのサドゥー(ヨガ行者)の写真を見ると、東洋哲学とはキワモノであると思われても仕方ないでしょう。
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東洋という概念もあいまいなもので、日本ではおおよそのところ仏教が伝搬した地域かと思われていますが、西洋人から見れば、東洋とはトルコから中東までの地域も含まれますし、少し極端だと思いますが、アフリカ大陸を含めて東洋と考える場合もあるのです。

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それはそれとしても、インドは今もカオスの世界。
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善と悪、清と濁、陰と陽、世俗と聖なるもの、苦行と快楽、人と動物、ローテクとハイテク…様々なものが入り交じるワンダーランドです。
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迷信、まやかし、インチキも横行するが、その中に本物もあるのかも…
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ヒンドゥー教のインド六派哲学における悟りとは何かというようなことについて、若手の東洋哲学の先生の講義があったので東洋文庫に行ってみました。
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個人の本質は、アートマンというものだといわれますが、さらに、アートマンを超えるものとして、パラアートマンというものがあるらしい。さらにモナドだとかいうものも?

印哲の世界はつかみきれません。
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「インド哲学は西洋哲学的な論理的思考に瞑想や修行による直観やインスピレーションの類を付け加えたものですか?」という質問を講師の先生にしてみたのですが…
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「西洋の哲学書はほとんど日本語で読めるようになりましたが、印哲の本はまだあまり和訳はされていません。文献がある程度揃わないと、西洋哲学との比較も難しいかと思います」という学者らしい回答でした。
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写真は東洋文庫内の「モリソン文庫」
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三菱財閥の三代目の岩崎久弥が中華民国の総督府の顧問をしていたモリソンという人から買い取ったものとのこと。
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明治以降、考古学とともに西洋の文献学によって、東洋の研究が盛んになったのです。

しかし、インド人は想像を絶する驚異的な記憶力をもっているようで、文字によらずに、マハーバーラタのような超長編の物語(なんと聖書の四倍あるらしい)も一字一句違えず口頭伝承によって受け継がれてきたという伝統があります。

インドは今後も神秘の世界のままということになるのでしょうか…


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