設計監理業務に対する適切な対価とは? | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
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こんにちは! 廣田信子です。

 

管理組合が、透明性の確保と競争原理を入れるために、

設計コンサルタントを公募等で複数の中から選択する…

ということが一般的になってきました。

 

そこに落とし穴があって、

 

ある設計コンサルタントが極端な安値で応募し、

選ばれて受注する。

 

施工業者選定に当たって談合を誘導し、

裏で多額のバックマージンを受け取る

ということが問題となっているのですが、

 

そもそも、改修における設計監理業務の適正な報酬って

どうやって判断するの?

 

という疑問が生じます。

 

12月1日のシンポジウムでは、

 

改修設計コンサルタント業務の報酬についても、

話が出ました。

 

建築士の業務報酬については、

 

「建築士法第25条」で下記のように定められています。

 

…………………………………………

国土交通大臣は、中央建築士審査会の同意を得て、

建築士事務所の開設者が

その業務に関して請求することのできる報酬の基準を定め、

これを勧告することができる。

…………………………………………

 

この規定に基づき、

建築士事務所の業務報酬基準が

「国土交通省告示第15号」で示されています。

 

このような規定があるのは、

過剰な価格競争によって、

法律で定められた建築士の重要な業務の質を

落とすことがないようにという

趣旨によるものです。

 

一般に、マンション改修の設計監理は、

建築士事務所が行いますが、

 

マンション改修の設計監理は、新築の建物の設計と違い、

一級建築士の独占業務という訳ではありません。

 

したがって、

「国土交通省告示第15号」、その解説書の中でも、

改修の設計監理業務に関する業務報酬の基準になるものは、

ほとんど示されていない…というのが実情のようです。

 

唯一、耐震改修の関する業務については、

独占業務のため報酬基準があると言います。

 

ですから、

どのくらいの設計コンサル料が適正か、

どのように算出するかがあいまいなところが

あるのです。

 

CCUの柴田会長は、

基本的には、資格や業務経験による

A(8,000円/h)~F(3,114円/h)という

技術者の区分による単価と、

 

業務を行うのにかかる時間(人工)を掛け合わせた直接人件費に

経費や技術料が加わる…と。

 

どのくらいのスキルの人が、その業務遂行するのに

どのくらいの時間を要するか

ということが基本で、

業務経験から、おのずから適正な金額がはじき出される…と。

 

新築の場合の報酬基準をそのまま適用すると、

管理組合にとっては高額になり過ぎるので、

一定の調整をされているのだと思います…が、

 

やはり、管理組合には分かりにくい部分だと思います。

 

 

ここからは、シンポジウムとは無関係の

私の独り言ですが…

 

マンションの改修工事の設計監理業務には、

建築に関する一定の知識が不可欠である上に、

改修ならではの専門知識と経験が必要です。

 

しかし、新築の設計のように、

法律で規定された独占業務ではないので、

この業務に対する専門性に対する考え方が、

まちまちだということではないか…と。

 

本来、専門的知識と経験が求められる業務は、

価格競争に馴染まないのですが、

 

安い方がいいという価値判断に引っ張られ、

 

「この地域で初めての仕事になるので、

思い切って安くやらせてもらう」

といくような

営業トークにころっといくことが起こるのです。

 

言う側にも、それを受ける側にも、

専門的な知識や経験に対しての対価だという感覚はありません。

 

その一方で、

改修設計コンサルタントの業務は多岐にわたっています。

 

劣化診断や長期修繕計画の作成、資金計画まで、

その業務範囲に入ってきます。

 

さらに、管理組合が相手ですので、

合意形成のサポートも重要になります。

場合によっては、規約改正に関する助言も必要になります。

 

そして、これが一番問題になるのですが、

施工業者選定の補助業務が入ってきます。

 

これらの業務の中には、

必ずしも建築士としての専門分野ではない業務も含まれます。

 

一連の業務を、

すべて同じ建築士事務所が行う場合でも、

業務によって、必要な専門性や対価が違うことも

当然あると思います。

 

大規模修繕工事のコンサルにマンション管理士等が入って、

業務を分担するケールも見られるようになってきましたが、

業務区分が必ずしも明確ではないので、

円滑にいかないこともあります。

 

改めて、改修設計監理を行う上で、

技術料を当然払うべき専門性が不可欠な分野は

どこまでなのか…を

整理する必要はあるのではないか…と感じました。

 

そうしないと、

適切な対価も分からないのでは…と。

 

かってに独り言を発展させてすみません。

 

 

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