耐震改修をあきらめないで | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
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こんにちは! 廣田信子です。

 

旧耐震基準のマンションでは、

耐震改修工事を実施するかどうかが大問題です。

 

耐震診断を実施すると、

その結果を、

売買時の重要事項説明書に記載しなければならないことから、

 

耐震診断すら拒んでいるマンションも少なくありません。

 

耐震診断をすれば、

耐震改修が必要という結果になるだろうが、

そうなっても、とてもそんな大金は出せないから。

 

耐震改修の実施例の金額を見て、

高齢化が進んでいるうちのマンションでは合意形成は無理…と

あきらめているのです。

 

今のところ、

耐震性に不安がある高経年マンションでも、立地がいいと、

それなりの価格がついていて、賃貸物件としても家賃がとれている…

という実情もあります。

 

前向きに、

耐震診断、耐震改修設計に歩を進めたマンションでも、

耐震改修にかかる費用の見積り金額を見て、

たとえ、補助金があっても、とてもそんな費用は出せないと

耐震改修をあきらめているマンションもあります。

 

費用面だけでなく、耐震改修によって

眺めが阻害される等の影響を受ける専有部分があることから、

合意形成ができないマンションもあります。

 

耐震改修にこんなに費用が掛かるなら、

いっそう建替える方がいいのでは…と建替えの費用を算定。

 

その数字を見て、これもとても合意形成はできない…と

八方ふさがりで、

もう考えるのをやめた…というマンションもあります。

 

でも、耐震改修をあきらめないでほしいのです。

 

なぜなら、耐震改修技術も日進月歩です。

どんどん新しい工法が出てきています。

 

昨日、お話を伺った事例では、

 

3年前に、専門家に耐震改修工事の設計を依頼したところ、

費用は、8億円と算定されました。

戸当たり180万円。影響をうける専有部分もあります。

 

とても無理とあきらめたものの、

建替えも難しく、これからどうなるのか不安で、

長寿命化に力を入れている管理会社にざっくばらんに相談。

 

最初からずっと管理をしてきたマンションを何とかしたいと、

管理会社の技術部門が手を尽くし、

新たな耐震改修技術を取り入れ設計をし直したところ、

 

1億5千万円で、

しかも、専有部分に影響なく改修工事ができることになりました。

 

戸当たり33万円です。

これなら、修繕積立金と借り入れで、何とかできる…ということで、

耐震改修工事の合意形成が一気に進み、

無事に工事も完成したというのです。

 

新しい工法は、

バルコニーを全部撤去し、その壁面を鉄板で補強し、

その後バルコニーを新たに付けるという画期的なものです。

 

工事はたいへんですが、

完成後は、外観もほとんどかわりません。

 

耐震性が確保されたことで、

暮らしている方々の安心の確保はもちろん、

市場価格もすでに、投資金額を超えて上がっています。

 

新ためて、

耐震改修の方法はいろいろあり、常に進化しているので、

1度の設計・見積りであきらめないでほしい…と思いました。

 

で、目を閉じて見ないようにしていないで、

しっかり現実と未来を見てほしい…と。

 

このマンションでも、

いろいろな方法を模索してきた歴史があり、

それでもあきらめずに、方策を探し続けてきたことで、

この工法に巡り合ったのです。

 

他の方法の困難さをよく知っていたからこそ、

今回の耐震改修工事の価値がよくわかり、

反対もなく円滑に合意形成ができたのです。

 

そして…

ずっと付き合ってきた管理会社との連携が、

最後、このマンションの再生につながったのです。

 

この耐震改修工事は管理会社が元受けとなって、

全責任をもって、社を上げてサポートしました。

 

たぶん、利益はほんとうに少なかったと思います。

 

でも、管理会社にとって、このマンションは、

長年、信頼して付き合ってくれた顧客であり、

今後も長く付き合いたい顧客です。

 

長期的に寄り添うパートナーであるという

管理会社の矜持を感じました。

 

私は、管理会社に

管理組合のパートナーとして、

短期的な利益だけでなく、

長期的な展望をもった提案をしていってほしい…

 

とよく話しますが、

このお話は、そのよい事例だと思います。

 

で、管理会社の担当者は、

このマンションが、自主的に考え、

自分たちで判断、合意形成をする力を持っていたから、

自分たちも全力で後押しできた…と。

 

合意形成ができないところを助けようがないのです。

 

自ら動くところに、道は開けるのです。

 

ですから、他の高経年マンションにも、

あきらめないで未来の道を探り続けてほしい…

と改めて思いました。

 

この事例の改修方法の詳細については、

しっかり学んでからお知らせできれば…と思っています。

 

 

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