魔性~曼珠沙華、その気高く美しき花へ~フォトダイアリー☆☆ | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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一瞬一瞬、1日1日を大切に精一杯生きることを心がけています。
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「魔性~曼珠沙華、その気高く美しき花へ~」

 

 

細やかな花心を秋のゆるやかな風が
そうっと撫でて通り過ぎる
花心の周囲を縁取るのは細やかな花びらたち
まるで繊細な―職人が丹精こめて少しずつ彫り上げたようなその姿
気品と多少のもの悲しさと儚さを秘めた花
その花たちが咲く一角だけ紅蓮の炎が燃え立つようにさえ見える

 

 

曼珠沙華という美しい名を持ちながらも
「死人花」と忌まれるある花
何故 そのような禍々しい響きを持つ異名を与えられたのか
墓場で見かけることが多いからだと聞いた
花ひらく季節ゆえに彼岸花と呼ばれるのかまだ理解できるが
「死人花」は どうにもいただけない

 

けれども 間近でしげしげと眺め入ってみると
その花の纏う少し妖しげな雰囲気に気づく
まるで清楚で無垢な少女が時折見せる危うい色香のような
ハッとするほどの艶やかさを秘めている
もしかしたら
その控えめな妖艶さにほんの少しの畏怖を込めて
不吉な二つ名が与えられたのかもしれない―
もちろん 私の勝手な解釈にすぎないけれども
この自然が作り上げた世にも繊細で気高い花には
そんな摩訶不思議な物語にも似合いそうな気がする

 

 

ふっと現実に立ち返る瞬間
気が付けば我を忘れて庭に立ち尽くす
見つめていたのは庭の片隅に咲く曼珠沙華の花たち
やはり 何かしらの魔性を秘めた美しき花なのか
物想いを振り払うかのように小さく首を振り
咲き誇る炎のような花たちの側を
足早に通り過ぎる

 

 

私の背後で

妖しき花が身を震わせた

花は気まぐれな秋の風が通りすぎるたびに

かすかに花心を揺らす

まるで男の手のひらに白き肌を愛撫された

汚れなき乙女が恥じらうかのように-