自転車スマホ死亡事故 禁固と執行猶予、破廉恥罪の意味 | 世界一わかりやすい法律の授業を目指すブログ

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弁護士武山茂樹が、わかりにくい法律の世界を、わかりやすく伝えるブログです。「世界一わかりやすい法律の授業」を目標にしております。

スマホを使いながら電動自転車を運転して、被害者の方を死亡させてしまったケース。
 
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/自転車スマホ死亡事故で有罪判決-元女子大生に「自覚欠く」/ar-BBMubbF?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp
 
 
過失は重大ですし(スマホを使用せずに前方を見ていれば容易に事故は防げた)、死亡結果も重大ですが、
飲酒等の他の違反がない限り、執行猶予付禁固判決は相場なのかなあと。
 
もちろん、ご遺族の方の悲しみは言葉に尽くしがたいものがあるでしょうが。
 
禁固とは、刑務所に行くが、刑務作業(労働)はしなくてよい刑罰です。
刑務作業(労働)を強制されるのが懲役。
 
禁固は軽いんじゃないか?との声もありましょうが、
交通事故など、わざとやったのではない過失犯や政治犯には、伝統的に禁固刑が科せられます。
専門用語では、非破廉恥罪(「ひはれんちざい」)といいます。破廉恥って、わいせつのことではないんですね。
 
一方、殺人や強盗などわざとやった系の犯罪は、破廉恥罪といいます。こちらは懲役刑が科せられます。
 
ただ、懲役か禁固かというのは、あくまで伝統的な分類で、必ずこのように分かれるわけではありません。

ここで気になったのは「執行猶予4年」。
執行猶予期間が満了すれば、刑の言い渡しは効力を失いますので、この方は判決の確定から4年間罪を犯さなければ、刑務所に行かなくてよくなります。
 
通常、禁固2年だと、執行猶予期間は3年となることが多いです。
そこを「執行猶予4年」にしたということは、裁判官が通常よりも、若干悪質な事案と考えたのでしょう。
 
 

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

 

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