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身近な生き物:淡雪の如く消えた虫

2018-11-14 06:30:32 | 日記
初めて姿を現す

 名前は知っていたけれど、実物を見たのは多分初めて。
それは10月の中頃のことでした。
薄曇りの空の下ウォーキングをしていると、何かが宙を舞っています。
 ハエの様に素早い動きでは無く、蚊の様に耳障りな羽音はさせず、ユスリカの
様にしつこくまとわりつく事も無く、舞うというよりは漂うといった感じでした。
 小さ過ぎるので老眼には荷が重いけれど、それでも薄青色をした虫だとは判別
が付きました。
何だかふんわりした質感です。
これこそが雪が降る季節になると姿を見せるユキムシでした。
 でも期待していた程には、舞い落ちる雪を思わせてはくれません。
 コトバンクには<北海道や東北地方で雪の降りだす季節に現れる小さな昆虫。>
と書かれています。
実際には関東圏や中部圏にも生息していますが、<長野県では余りメジャーな存在
ではない。>(長野県山岳総合センターblog より)ので、ほとんど話題にはなりません。

 その正体はアブラムシ。
<白腺物質を分泌する腺を持つものの通称。
5mm前後の全身が綿で包まれた様になる。
分泌腺からは炭化水素などを成分とする糸状の蝋物質を大量に分泌する。
飛ぶ力が弱いので風になびいてしまい雪の様に見える。
熱に弱く、人間の体温でも衰弱する。>(Wikipedia より)
 さようにかなりか弱い生き物ではありますが、雪降る時期に姿を見せるのですから
しぶとさも兼ね備えています。
 この虫の一年の暮らしはこんな風。
春に卵から孵った幼虫は、5月には成虫となってメスの卵を産み付けます。
孵った幼虫はトドマツの根に移動し単為生殖で増殖していきます。
秋になると翅を持った個体が出現しますが、これがユキムシです。
雄雌で交尾をして産卵、冬を越した卵は再び春になると孵化します。(LIFE Trends より)

一瞬で姿を消す
 
 漂っているユキムシ目掛けて宙を掴んだら、簡単に捕まえられました。
それを指先で摘まんでルーペで覗きこみましたが、何しろ小さな生き物なので大変です。
青白い毛の様な物がびっしりと生えているのは見えましたが、指の肉が邪魔をして
細部まで観察ができません。
 そこで掌に移してもう一度ルーペをかざしました。
その刹那、鼻がむず痒くなって危うくくしゃみが出そうになり懸命にこらえました。
何とか抑え込めたのでほっとして軽く息を吐くと、そんな微細な空気の流れにユキムシ
はさらわれてしまいました。
 まるで舞い落ちたものを掌で受け止めた途端に、消えてなくなった雪の様でした。
到底雪には見えなかったユキムシですが、この時だけは雪そのものに見えました。
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