内なるもの 600/1000

 

杉本健吉という画家を知れば知るほど

すごいエネルギーと

その内なるものの熱を感じます。

 

「杉本健吉の世界」について

武蔵野美術大学教授の桑原住雄先生が

書かれたものに

大変心惹かれる文章がある

少し長いけれど、一部を引用したいと思います。

 

杉本健吉のデッサン展があった。
そのカタログに杉本はこう書いた。
「私は作り絵は好みません。生まれる絵をあこがれます。
生まれるということは、夢中になることです。夢中になれる
ことは、それだけで感激が大きいことになります。私は、
そういう状態で絵のできることを望んでいます。いつに
なったら、一発必中の仕事が出来ることやら、永い道中です。」
何かを意図した、構えた絵のことを杉本は作り絵という。
そういう作り絵は嫌いだというのである。それよりも、
成るべくして成った絵、自然に生まれた絵でありたいと
願っている。言いかえれば「内的必然」によって生まれて
くる絵でありたいと考えている。地上で、あるいは土中で
実が稔るように、技術の巧拙を超えて成る絵でありたいと
望んでいるのだ。
それには「夢中になること」が必要だと杉本はいう。
夢中になっている状態からのみ、いい絵は生まれる。
白熱した芸術感情は絵づくりの計算を吹き飛ばし、
計算の次元を超えたものを生む。昂った火の塊りに
なって、身体ごとぶつかる状態から本ものの絵が
生まれる。そうなるために、画家は内的必然に従わな
ければいけない。これが杉本の美学なのである。

 

 

この美学が油絵や墨絵とういう枠を超えて

自分の絵を追求した杉本健吉の

絵に一貫して貫く精神で、絵をみた人を

魅了する理由なのだと思います。

素人の私の絵手紙も夢中になって描いた

この「内的必然」から生まれるものでありたいと

常々思うのです。

 

 

ホームページ  

 

yoshie's gallery

https://kazu-moto.amebaownd.com/

 

絵手紙ランキング 

友の会07-20(2020年度)