謎の果物はグァバだった | 無精庵徒然草

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無聊をかこつ生活に憧れてるので、タイトルが無聊庵にしたい…けど、当面は従前通り「無精庵徒然草」とします。なんでも日記サイトです。08年、富山に帰郷。富山情報が増える…はず。

 

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← 須藤 斎【著】『海と陸をつなぐ進化論 気候変動と微生物がもたらした驚きの共進化』(ブルーバックス) 「約3390万年前、南極の環境が激変したことを契機に、生存に不利な時期を「休眠」戦略で生き延びた微生物が大繁栄した。やがてクジラやアシカ、ペンギンなど、海洋生物の体構造や種数の進化を促したその生物は、陸上で暮らす馬や植物とも共進化を遂げていた ! ?」 

 

 夕方近く、東の空に(ほぼ)満月が。まだ明るい空に煌々と。そんな月を右手に久しぶりの銭湯へ。やはり、気持ちいい!

 

 本書須藤 斎著の『海と陸をつなぐ進化論 気候変動と微生物がもたらした驚きの共進化』は今日、買ってきた本の一冊。明日の車中での待機中に読むつもりだったが、我慢できず、手を出してしまった。

 

「食物連鎖」という用語はもはや歴史的学術用語となりつつある。生物間のつながり全体を示す「食物網」という概念のほうが、より現実的なものとして重視されるようになっているとか。
 いろいろ、最先端の知見をおしえてくれそう。


 宇宙論も政治も、何もかもが認識に於いて大変貌を遂げつつある。生物学も例外にあらず。全てとは言わないが、かなりの学問分野でパラダイムシフトが進行しつつあると感じる。

 

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→ 昨日、謎の果物としていたこれ、グァバだったようだ。似たような果物がもう一個あり、同じかなと思ったら、違う。どうやら、マンゴーのよう。どちらも、噂には聞くが、実物を目にし、食べたのは初めて。どちらも異次元の美味さ。

 

 今日は、年に二度の検診の日。前日の夜九時以降、何も食べない。お茶や水は構わない。
 困るのは、内科医院に通っていて、薬を3種類服用中。朝食後30分以内に呑むべし。
 今日のような検診の日は、朝食は食べられないし、となると薬はどうする? 帰宅して、昼食後か。


 検診を受けた病院から書店が(自宅から向かうよりは)近いので、帰りに書店へ。

 書店で本を物色するのは楽しい。でも、鬼門でもある。目移りして困る。数冊購入し、十数冊予約した。


 我輩が古典重視なのは、古典が大事だからじゃなくて、目移り防止のためじゃないかと、思われてならない今日この頃。

 

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← ゴーゴリ【作】『外套・鼻 (改版)』(平井 肇【訳】 岩波文庫) 「小役人アカーキュウィッチにとって,外套を新調することは生涯の大事件である.彼の心は裁縫師の一針一針に怪しく燃え上った.運命に辱められた不幸な人々への憐憫の情溢れる『外套』.ある日突然顔から脱け出し,歩き廻り出した自分の鼻を追って狂奔する下級役人を描く幻想的な物語『鼻』」。画像は、アマゾンより。

 

「外套」はやはり傑作。改めて、本作が小説(の主人公)の転換期を画すことを確認。市井の(他人には)全く目立つことのない人物。ただただ、浄書という地味な仕事を愛し、上司からの出世の計らいを断ってまでも、愛する仕事を続ける。そんな彼にも脚光を浴びる日がやってきた。外套を新調したのだ。職場の皆が目出度いとばかりに、祝宴の場を設ける。ただ、それだけのことだったのに……。「狂人日記」では、市井の人たまが、まだ貶められていても、己れの高いプライドを持て余し狂気に至る人物が主役。

 

「外套」に至って、まさにありふれた市民が主役となる。ただし、とるに足りない人物というのがミソ。どんな(他人には)地味な、面白みのなさそうな人物にも葛藤がありドラマがある。誰もがその人なりに日々を、一回限りの人生を生きている! プルーストの「失われた時を求めて」は素晴らしい作品だ。が、主人公も含め、描かれるのは貴族の世界。さすがに、プルーストは、貴族たちであっても色と欲と見栄とに齷齪する、市井の人々と変わらぬ人間たちに他ならないことをえげつないまでに細密描写してくれる。

 

「鼻」は、初期の作品。ある朝目覚めると、なんと鼻が綺麗に無くなっていることに気付く。しかも、なんと鼻は、主人公より上役になって街を闊歩しているではないか。ある朝、目覚めたら、自分が異形の姿に成り果てていることを発見し、そこからドラマが始まる、なんて小説というと、カフカの「変身」を想起する。「変身」は、悲劇だが、「鼻」は、喜劇。リアルな描写が肝のゴーゴリのタッチで、一気に読ませる。もしも、「外套」や「死せる魂」の時期に、「鼻」を発想したら、どんな悲劇を現出させただろう、なんて妄想するのも面白い。