佐藤健太郎の本。

まず一言。やはり炭素は偉大だった。

ああ、さて。
この著者の本を読むのは三冊目だが、なかなかに飛ばしてくれると毎回感心する。
今回は材料について色々と解説されている本だったが、言われるまで気がつかないことが本当に多かった。
例えばレコードとか、球技に使う玉とか、その他様々な材料に囲まれて生きていることをすっかりと失念していた。

そもそも人類というのは、様々な材料を組み合わせて使うことが出来る、地球上唯一の動物らしい。(ずいぶん前に何かで読んだ気がする)
そう考えると、材料を使いこなすことこそが人間の証明なのかもしれない。
それを改めて気づかせてくれた。

それ以上に驚いたのは、現代社会を動かしている、材料のかなりの部分に、日本人の研究者が関わって、成果を上げていたことだ。
真珠の養殖や磁石なんかは知っていたが、それ以上だった。

とは言え、地道な努力が大好きな日本人の活躍で、材料が進歩し続けてきた時代はそろそろ終わるのでは無いかという著者の意見に、かなり不安を感じたのも事実だ。
ケイ素で出来た脳が炭素で出来た脳を、一部とは言え凌駕し始めたという認識には、同意せざる終えない。
そして、そのケイ素の脳を使う分野で、日本はかなり後れを取っているらしいことも書かれていた。
移民の受け入れがどうとかで国会が騒がしいが、ほかのことでも色々と騒がしくなりそうだ。

さてこの本にケチをつけよう。
表題には素材と書かれている。
そして俺はここで材料と書き続けてきた。
この本の後書きに素材と材料について書かれていたが、これは最初に書いておいて欲しかった。
意識してやっているのか間違っているのかさっぱり分からなかったからだ。

もう一つケチをつけるとすると、金の色について相対性理論が絡んでいることは書かれていたが、それ以上の言及が全く無かった。
ここは、簡単でも良いので是非とも書いておいて欲しかった。

さて結論。

この本は、炭素文明論や、世界史を変えた薬とともに読んで手元に置いておくことをおすすめする。
何かの時に話の種になるし、それ以上に読んでいて面白いと感じた。(俺だけか?)

そうそう、最後に。

最初の一言で炭素の名前を出したが、この本に出てくる材料のかなりに炭素が絡んでいた。
この事実を一つ見ただけでも、炭素の偉大さが分かろうというものだ。



ランキングに参加しています。お暇なようでしたら、下の電子住所をひっぱたいてください。
http://blog.with2.net/link.php?1740066