(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

統合失調症の「下校途中の高校生に、働かないで何してんだ、あいつは変態だとバカにされる」「テレビCMに犬の食品を勧められる」「車からエンジン音に合わせ、殺してやる、うちの製品をバカにしやがって、という声が聞こえ、追いかけられる」を理解する(6/6)【統合失調症理解#7-part.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.15


◆医学もCさんのように「現実修正解釈」をやってきた

 だって、よく考えてみてくださいよ。Cさんはただ「現実修正解釈」をしているだけということでしたよね。どうですか。みなさんも、世間のひとたちも、ふだん、しきりに「現実修正解釈」をしませんか。


 俺はしますよ。


 学問はどうですか。たとえば、医学もそうした解釈をよくしませんか。ほら、いまさっき確認しましたよね。(精神)医学が、ほんとうは「理解可能」であるCさんたちのことを、不当にも「理解不可能」であるということにして差別するいきさつを? 箇条書きにしてふり返るとこういうことでしたね?

  • ①(精神)医学には、Cさんたちのことを理解するだけの力がない(現実
  • ②にもかかわらず、(精神)医学には、(精神)医学の人間理解力は完璧であるはずだという自信がある(現実に背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、(精神)医学は現実をこう解釈する。「Cさんたちのことが(精神)医学に理解できないのは、Cさんたちが『理解不可能』だからだ」(現実修正解釈


 見ました? (精神)医学だって、こうして「現実修正解釈」を当たりまえのように、これまでずっとしてきたではありませんか。自分をしっかり反省できるひとなら誰しも、「現実修正解釈」をするCさんを見て共感するはずですよ。「ああ自分もそういう論理操作をしばしばするなあCさんとおなじだな」って。


 今回は計3回にわたり、「体感幻覚」「テレビ・ラジオ幻聴」「高校生幻聴」「車幻聴」を訴えるCさんに実際に登場してもらい、(精神)医学に統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたそのCさんがほんとうは「理解可能」であることを、7つの場面を挙げて確認しました。





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次回は約1ヶ月後、6月8日(月)21:00頃にお目にかかります。


2021年9月10,11日に文章を一部修正しました。


*今回の最初の記事(1/6)はこちら。


*このCさんシリーズはpart.1,2,3でお届けしています(今回はpart.3)。

  • part.1(短編NO.14)

  • part.2(短編NO.15)


*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。