(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

統合失調症の「殺し屋に狙われているという幻覚(幽霊論)」を理解する(6/6)【統合失調症理解#12-part.2,13】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.20


◆締めの言葉

 さて、今回は、ハウス加賀谷さんの、いわゆる幻覚体験を見てきました。(精神)医学はこうした体験をこれまで、「人間の知恵をもってしては永久に解くことのできぬ謎」だ、「了解不能」だと言ってきましたよね? 脳がおかしくなって起こる不可解な現象なんだ、って。


 けど、こうして見てきて、ほんとうに「理解不可能」だと、みなさん、思いました?


 いや、思いませんでしたよね?


 もちろん、ハウス加賀谷さんのことをいま完璧に理解し得たと言うつもりは俺にはまったくありませんよ。完璧に理解し得ただなんて、できるものなら、ちらっとでも思ってみたいものですよ。そう思えたら、さぞかし爽快なことでしょうね? 正直いまの俺はその反対です。ハウス加賀谷さんのことを、多々誤ったふうに決めつけてしまったのではないかと、自責の念でいっぱいです。


 でも、ハウス加賀谷さんのいわゆる幻覚体験がほんとうは理解可能であるらしいという手応えは、いまの考察からでも、十分得られたのではありませんか 


 みなさんのように申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、ハウス加賀谷さんの幻覚体験はかならず完璧に理解できると、いま十分ハッキリしたのではありませんか。


 前回と今回の計2回にわたり、ハウス加賀谷さんに登場してもらいしました。そして、統合失調症の症状と診断され、「理解不可能と決めつけられてきたハウス加賀谷さんの、いわゆる幻聴体験と幻覚体験とがほんとうは理解可能であることを実地に確認しました






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今回の幻覚"事例"を、下の記事で、もうすこし別の観点から見てみました。


次回は、1週とばして、8月10日(月)21:00頃にお目にかかります。


2021年9月15,17日および2023年11月3日に文章を一部修正しました。


*今回の最初の記事(1/6)はこちら。


*前回の短編(短編NO.19)はこちら。


*このシリーズ(全43短編を予定)の記事一覧はこちら。