前々回の続きです。

 

 

 

(p28)「高齢になると、過去の経験をそのまま思い出すことが若い時のようにはできなくなり、思い出せない部分は、自分の頭の中にあるストーリーに沿った形で補うことになります。その結果、経験した事実と異なる記憶(虚偽記憶)が高齢期には増加します。ジャコビ博士らは実験によって高齢者が若年者の10倍、経験していない誤った情報を想起することを報告しています。」

 

10倍か! じゃあ、作り話は、認知症と限らない、ということ!? ババモンの話の中の、作り話の割合はどんどん増えていて、今や、聞くのがあほらしいレベルになりつつあるけど。

 

この「自分のストーリーに合った話を作り上げる」というのが、聞かされる家族には多大なストレスだ。そして、思い込みの激しさが、周囲を疲れさせ、人に迷惑をかける。

 

自分の昔話も、TVで見たことや、人に聞いたことと混じった、ありそうで、けど、「これまで聞いたことないよ」という話をする。

(自分の人生には、こんなに面白いエピソードがあるのよ、と言いたい)

 

自分の好きな人については、「あの人は、昔のえらい人の子孫らしいわ」(事実ではない)なんていうのは、まだかわいいけど、何度も聞かされるとあほらしく感じる。

(自分が好きな人は、やっぱり生まれ育ちが違うわ、と言いたい)

 

嫌いな人については、「どんなにひどい人間で、自分は困らされたか」話をどんどん作っていく。

(嫌いなやつのことを、大げさに悪く言うのは、よくあることだろうけど、限度を超えている)

 

 

(p155)「(この研究は、)人が経験していない出来事を記憶していることがあり、かつその経験していない記憶を思い出す回数が多いほど虚偽記憶が鮮明になることを意味しています」

 

ババモンも、作り話を繰り返しているうちに、その話の達人になる。

 

こちらも、何度も聞かされているうちに、私の記憶まで書き換えられそうになる。

 

 

(p160~161)「高齢期の発達課題はアイデンティティの統合と絶望のバランスをとることです。高齢期には...........変えられない過去に対する後悔、健康状態が悪くなること、身近な人との別れ、社会的地位といった現在進行形で進む喪失、そして避けることができない死と自分がいつどのように死ぬかわからないという未来に対する恐怖や不安に直面し、程度の差はありますが、すべての人が絶望感を抱きます。..............高齢期の発達課題である人生の統合と絶望のバランスには、記憶できる量や記憶の正確性ではなく、虚偽記憶に見られるような記憶のあいまいさ(柔軟性)が重要な役割を果たすと私は考えています。」

 

ババモンの作り話は、”自分の都合のいいように” ”自分はまだまだしっかりしている” “自分の不幸はまわりのせい”と思って、安心したい、という心理ゆえなのだろう。

 

でも、周囲をうんざりさせ、困らせる作り話をするのは、自分を守るためなのかもしれないけれど、結局、周りに嫌われて、不幸な晩年を招いてしまう。

 

 


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