【作品情報】
原作新海誠
監督新海誠
シリーズ構成
脚本
新海誠
キャラクターデザイン
田中将賀
アニメーション制作コミックス・ウェーブ・フィルム
上映時間112分
公開日2019年7月19日
キャスト森嶋帆高 - 醍醐虎汰朗
天野陽菜 - 森七菜
須賀圭介 - 小栗旬
夏美 - 本田翼
冨美 - 倍賞千恵子
天野凪 - 吉柳咲良
安井 - 平泉成
高井 - 梶裕貴
製作「天気の子」製作委員会



【PV】




【あらすじ】
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
(公式サイトより)



続きは視聴した感想になります(ネタバレを含みます)。

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【感想】(ネタバレ含む)

[子ども VS 大人
全体的に登場人物が全員お尋ね者になっていく、もはや警察との戦い。
全員が世の中の「規範」から外れていくのが、なんというか爽快に感じてしまう。
未熟な子どもである帆高が、陽菜を取り戻すために走っていくシーンは、青春だなあと思う。
最終的に圭介も、大切な人を失った経験から、自身の保身よりも帆高のために動きだす。
結果警察に捕まってしまうけど、娘さんとは一緒にいられているようだし、よかったのかな…?
圭介のいう「もう大人になれよ」という言葉。
大人とは、社畜として大人しく世の中の歯車としてせっせとお金を稼ぐこと?
はやく大人になりたい、と陽菜は言っていたけれど、自分もそう思っていた時期もあったけど、大人ってただ年齢を重ねてもなれるものではないね。
自分は心は子どものままかもしれない。でもそういう大人はいっぱいいる。
もう大人になりなさい、と自分は子どもに言えない。。。
守るべきものができてしまうと、どうしても自分や家族のために、物事の順序というか、順番を変えることができない……
30代になりかけの自分としては痛い言葉。
自分も、子どものころなりたくなかった「つまらない大人」になりつつあるのでは、と胸が苦しくなる。
子どもは、これからいろんなことができる。そのことに早く気づいて、自分のやりたいことを精一杯やってほしいと思う自分は、もはやおじさんになりつつある...

[自己犠牲で他人が幸せになるのは間違っている
天気の子の大きなテーマのひとつに、自らの生き方の「選択」というのがある。
天候の調和が狂う世界で、陽菜が「天気の子」として人柱になることで、異常気象が収まるか
それとも陽菜を助けることで、人柱がいなくなることで、異常気象が続くか…という選択。
結局、二人は後者を選択し、東京は水没してしまった。
二人が離れ離れになって、彼女は犠牲になりました、で物語が終わらなくて個人的にはうれしい。
新海さん自身も「賛否が分かれる」とおっしゃっているので、他人がどう考えているのか、意見をきいてみたいところ。
最後に陽菜の水玉のペンダントがついたチョーカーが千切れていることが、天気の子としての役割がなくなったことをあらわしているのかなと。こういう細かい表現が観ていて楽しい。
思えば、誰かの犠牲で多くの人が幸せになることは果たして正しい?
自分が今の職場でそうなりつつある。自分が無理して仕事をすれば、チームはハッピーになっているようで。
でも、この映画ではそのことを否定してくれた。自分の幸せが大事だと。自分が犠牲になって物事が円滑に進むことはよくないのだと言ってくれていたようで、ほっとした。
全体の幸せのために一人が犠牲になるよりも、一人(もしくは愛する二人)が幸せになることのほうが正しいと思えた。
世界は元々狂っているのだから、もうこれ以上狂っても大して変わらないし。

[君の名は。とのクロスオーバー
瀧くんも、三葉ちゃんも、その他登場人物も、この作品で「その後」が描かれていて、これは予想外だった。
二人は、作品の最後で最終的に「出会って」いますが……天気の子の小説版では結婚を揶揄する描写もあるらしく、気になるところ。
新海さんの作品はこうしたクロスオーバーがあるらしく、それも人気のひとつなのかも。

[その他
・普段、アニメをみない弟と一緒に観に行ったのだが、終わった後「とても面白かった」と言っていた。アニメを普段みない大人でも楽しめる作品だと思う。
・『君の名は』と同様、映像美がとてもきれいでリアル。都会の雑踏や空の美しさ、雨粒の一つ一つまで、繊細で、現実よりも美しい。RADWINPSさんの素敵な楽曲も、三浦さんの透き通るような歌声も、もう一度聴きたい。
・本田翼の演技が……というのを、鑑賞した後に耳にしたが、そんなに気にならなかった。前評判が悪いともあとから聴いたけど、何がよくないのかね。
・花澤綾音が出てきて、カンの良い方はすぐに声優がわかるのがよい。
・屋上に神社がある劇中の廃ビルは、代々木会館で、実際に廃ビルで今年の8月には取り壊されてしまうらしい。その前に写真をとっておきたい。
・帆高は神津島出身でさるびあ丸にのって東京に出てきたらしく、神津島ってどんな場所なのか、行ってみたくなる。