理解できない3

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 濡れた髪を後ろになでつけるようにして水気を払う相手の動きが止まるのを待って、体をこちらへ向けるか椅子を後ろにずらしてくれと頼む。そこまで広くない浴室なので、相手に動いてもらわなければ、相手の前に屈めない。
「なんで?」
「なんで、って、舐めてあげようと思って」
「却下」
「けど勃たないと使い物にならないだろ」
 バスチェアに座る相手の肩越しに覗き込んだ先、股間のペニスに反応はなかった。まぁ背中と腕を擦られたのと頭を洗われた程度でギンギンに反応している方がオカシイので、ごくごく自然で当たり前の状態なだけだけれど。
「こら。見すぎ」
 こちらの視線に気づいたようで、ぱっと膝が閉じられる。
「だって、初めて見るから」
 ハグ以上の行為がない自分たちの間で、目にする機会は当然なかった。服の上から触れる機会すらほぼなかったので、相手のペニスサイズはさっぱりわからなかったし、気になってもいたのだ。
「俺としてはなるべく小さい方がありがたいけど、それ、どんくらい大きくなるの?」
「なぁ、使い物にならないだの言ってるってことは、抱かれる気満々で押しかけてるってことでいいんだよな?」
 勃起時のサイズを聞いたのに、あっさりスルーされて別のことを確認される。
「それ以外ないだろ」
「高校生相手にえっちなことする気ないって、何度も言ってるだろ。しないよ」
「フェラしても勃たなかったら諦めてもいい」
「そんなことされて勃たないわけ無いだろ。あと、フェラも高校生とする気ないえっちなことに含まれてんの、わかってるだろ」
「裸でこの狭い空間に二人きりで、その理性、いつまで持つ? 誘ってんのこっちだし、フェラされたら勃つって言うなら、そのまま流されちゃえばいいじゃん」
 気持ちよくしてあげられると思うよと言えば、嫌そうに眉が寄せられる。
 口でされたら勃つに決まってると言われても、それは刺激に対する反応であって、その行為に嫌悪感があるかないかは別問題だ。そして、行為そのものよりも、誰に、という部分が重要なんだろうこともわかっていた。
「高校生相手にって言うけど、何がそこまで問題? 今日この家には俺たち二人しかいないし、黙ってれば誰にも知られないよ。少なくとも、俺は自分から言ったりしない。それにもしバレて問題になったら、俺が誘ったって言えばいいよ。今回のこれは、完全に事実だし」
「誘う子供よりも、誘いにのっかる大人の方が罪深いと、俺は、思ってる」
 ますます嫌そうに眉をあげながら、俺は、という部分を強調して告げられる。
「バレるバレないの問題じゃなくて、この誘いに乗っかってお前に手を出したら、俺は俺が許せない。だからお前の誘いには乗らないよ」
「でも、煽られ続けたら理性切れる可能性はあるんだよね? 俺の誘惑に負けたくないってだけで、つまり、俺の努力不足ってだけなんだろうけど、でもじゃあ、どうすればその気になるか、どうすればその理性ぶち切れんのか、教えてよ」
「やけに食い下がるな。むしろこっちが聞きたいよ。抱かれるのが好きってわけじゃないだろ。必要ないって言ってるのに、なんでそんなに抱かれたがるんだよ」
 なんでってそんなの、時間がないからに決まってる。成長期に入ったみたいだからだと言えば、相手は驚いた様子で何度か目を瞬いた。

続きました→

 
 
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