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沈黙の臓器「肝臓」とそのガン

2018-12-15 10:31:44 | 健康・医療
日本では男女ともガンの罹患数や死亡数は上がり続けており、その主な原因は高齢化にあるとされています。

ただし高齢化の影響を除外するために年齢構成比を標準化した年齢調整罹患率や死亡率を用いて評価すると。ほとんどのガンは罹患率も死亡率も頭打ちか、低下傾向を示しています。中でも肝臓ガンは、男女ともに年齢調整後の罹患率と死亡率が大きく低下しています。

この理由としては、肝臓ガンの主原因であるB型肝炎やC型肝炎の予防や治療法の発達、および肝臓ガンの治療技術の向上があげられます。

肝臓は、腹部の右上(みぞおちの右側)に位置している体内で最も大きな臓器で、成人では重さ1Kg前後に達します。その働きの主なものは、代謝、解毒、胆汁の生成・排出となっています。

肝臓の代謝とは、胃や腸で分解吸収された栄養素を体が利用しやすい物質に変えて貯蔵し、必要に応じてそれらを分解・合成してエネルギーなどを作ることをいいます。

解毒作用で代表的な働きは、アルコールやタンパク質の消化吸収の際に生じるアンモニアなどの有害物質の無毒化です。胆汁は、脂肪の吸収やタンパク質の分解に役立ち、コレステロールの排出にも影響します。

この様に肝臓は生命活動を維持するために極めて重要な役割を担っていますが、それに加えて再生力が強いことも大きな特徴です。少々の障害が生じても症状を呈することなく知らぬ間に再生します。それが「沈黙の臓器」もしくは「忍耐の臓器」とも呼ばれる理由です。

さて原発性(転移ではない)肝臓ガンには、肝細胞ガンと胆管細胞ガンがありますが、95%が肝細胞ガンです。肝細胞ガンの90%は、ウイルスの感染が原因ですが、それが減少傾向にありここでは省略します。

ここで問題は、肝炎ウイルス感染やアルコール常習などの慢性肝炎の原因を持たない人の肝硬変や肝臓ガンは、むしろ増加傾向にあるようです。その病態は、非アルコール性脂肪肝疾患と呼ばれる病状に起因します。

これらはいわゆる生活習慣の乱れによる内臓脂肪蓄積症、すなわちメタボリックシンドロームと同様の理由で発症します。アルコールを飲まなくても、過食や運動不足によって生じる脂肪肝から肝臓ガンを発症する人が増えています。

人間ドックを受ける人の30~40%の人がこの非アルコール性脂肪肝に罹患していると言われており、推計で1000万人の潜在患者がいると考えられています。脂肪肝はそれ自身あまり深刻視されていませんでしたが、肝臓ガンに関連する可能性があることからその重要性が強調されています。

体重を7%程度落とせば非アルコール性脂肪肝は改善するとい科学的根拠もあるようです。単純に肥満に注意することが重要なのかもしれません。

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