少子化対策として移民を受け入れるべきと言う人がいます。

私は技能実習生との関わりを通じて、これは少子化対策にならないと考えるようになりました。

例えば技能実習生は移民ではなく、実質的には短期での出稼ぎです。
彼らは日本に永住することを考えているわけではなく、母国の家族に仕送りをし、実習が終わって帰国した後の「本来の生活」を豊かにするために働くだけです。

現在は主に東南アジアなどから技能実習生や留学生として来日する人が多いのですが、大半の理由は日本円の価値が高いからです。例えばベトナムの平均年収と比べると、日本の最低賃金は5倍ほどの価値があります。

ただ貨幣の価値は変化の激しい基準であり、5年ほど前のベトナムの平均年収は日本の最低賃金の10分の1程度でした。 つまり数年でベトナムドンの価値が倍になっていると言うわけです。

貨幣価値の差が5倍を切ると、外国まで出稼ぎに来る価値がかなり下がってきます。当然日本での生活費もかかりますし、家族や恋人友人と過ごすこともできないわけですから。
そんなわけで中国やベトナムからの出稼ぎは今やどんどん減っていて、次はカンボジアやミャンマーだと言われています。 

日本の技術力や文化に憧れて来ると言う人は少数派です。全く憧れていないと言うことではなく、わざわざそのために日本語を勉強したり住み込みで働こうというほどの動機としては持っていないということです。

少子化の話に戻しますと、 日本側で移民の受け入れをしても「帰化して住みたい」と言う外国人はそれほどいないだろうということです。

アメリカなどはこうではありません。トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を作ると言っていたように、アメリカへの移民は「嫌でも来る」人たちです。
私はアメリカが単純なパラダイスだとは考えていませんが、メキシコの貧しい人たちにとっては、命がけで不法入国にチャレンジする程度にはマシな国(だと思われている)なのでしょう。

移民というのは本人の希望あってのものです。「移住したいです」「許可してあげましょう」というのが自然な流れであって、「移住してください」と言っているようでは話になりません。

ですから、人口対策で移民を受け入れるというのは本末転倒で、まず日本がハッピーな国になれば人は増えます。逆に不幸な国であれば一時的に無理やり連れてきても増えないということです。