コンビニでタリーズの缶コーヒーを買って職場に行くと、
「なんでいつもタリーズなんですか？」
と、時々聞かれます。
実は今日も聞かれたんですが、
いつもは、めんどくさいやら照れくさいやらで
「なんとなく好きだからだよ！！」なんて答えていますが、
別の理由があったりします。
ちょっと職場の人間に言うには照れくさい内容なんですが、
このブログは職場の人間には教えていないんで、
ここで理由を書いてみようと思います。
十年ちょっと前でしょうか、
本屋さんをぶらぶらしていると、
タリーズの創業者・松田公太氏の著書、
「すべては一杯のコーヒーから」が目に留まって、
購入して読んでみることにしたんです。
その中に、若くして亡くなった弟さんの話があって、
入院中に弟さんが
「明るい店で、お兄ちゃんと一緒にハンバーガーが食べたい」
と言っていたそうです。
その弟さんの言葉がきっかけで
タリーズコーヒージャパンを創業した後、
病院などにも積極的に出店しているということが書いてありました。
（すみません、細部は忘れてしまいましたが、そんな感じの内容だったと思います）
その本を読んだ際は、いい話だとは思いましたが、
恥ずかしながら、深く心に残るほどの話ではないと
どこか心の中で思っていたような心境でした。
それから数年たった際に
実は、自分の父親が末期がんに侵されていて、
病院の先生が、
「今、生きていることが奇跡に近い」
というほど予断を許さない状態でした。
それから父は入院生活を送ることになり、
若干ではありますが病状も改善し、
車いすで移動はできるようにはなったものの、
一人で病院から出ることは難しい状態でした。
父は高校卒業後、名古屋の会社に就職し、
約５０年間名古屋で生活しており、
１週間のうち５・６日は喫茶店に行くほど、
名古屋の喫茶店文化を満喫しているような人でした。
父が入院した病院は、名古屋日赤で、
実はこの病院にはタリーズが出店されていました。
試しにタリーズに父を連れてゆくと、かなり気に入ったようで、
嬉しそうに久々のコーヒーを飲みながらリラックスしていました。
それからというもの、私が病室を訪れるたびに、
「おい、コーヒー飲みに行くぞ」といって、
私に車いすを押させてタリーズに向かい、
コーヒーを一緒に飲む日々が続きました。
入院当初は精神的にも不安定だった父が、
病院にも慣れてきたある日の夜、
病室で父が窓の外を見ながら、私に向かって
「おい、この病院は夜景がきれいなんだぞ、
名古屋駅前のホテルでも、こんなに夜景がきれい所はないぞ、
こんなにきれいな夜景が見れるところに入院できるとは、俺は運がいい！！」
と冗談が言えるほど、精神的にも安定していたのは驚きでした。
そんな様子を見ていると、
ふと、フラッシュバックのように
昔読んだ松田公太氏の
「すべては一杯のコーヒーから」のことを思い出し、
病院にリラックスできる場所があるっていうことは、
そういうことだったのか・・・と思いました。
程なくして、残念ながら父は亡くなりましたが
振り返ってみると
病院にタリーズがあったおかげで、
苦しいだけの入院生活ではなく、
時々楽しいこともあったんだよな、きっと・・・
と、思えるようになりました。
それからというもの、
心のどこかで感謝の気持ちを抱きつつ、
Ｔｕｌｌｙｓのロゴが目に入ると、
なんとなくそちらを選んでしまいます。
それが缶コーヒーだったり、
コーヒー豆だったり、店舗だったりといろいろありますが、
タリーズのお店やロゴや味は
私にとって思い出の味であり、
感謝の味だったりするわけなんです。
・・・なかなかこういうことは、
身近過ぎる人間には照れくさくて言えないんで、
今日はこの場に記させていただきました。
長文失礼いたしました。
ということでせっかくなんでこれからタリーズのコーヒーを飲んで
昔を思い出してみたいと思います。
