世相の潮目  潮 観人

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トランプ大統領は北鮮との交渉妥結を急いではならぬ

2018年06月03日 | 政治
頓挫しかけた米朝首脳会談はシンガポールでの開催の可能性が高まりました。国際協調に背を向けてばかりとトランプ大統領を批判していた米国内世論も、大統領の平和への努力を評価するようになっています。

そこで危惧するのは、米国内の支持が高まる中で、トランプ大統領が功を焦って予定した基本合意から逸脱することが起きないかということです。しかし、米国は基本合意で譲歩してまで平和への努力で急ぐことも、まして慌てることもないのです。シンガポールの首脳会談は北鮮が持ちかけたことであり、米国は受けて立つ立場であり、会談が成功することに拘る必要はないのです。

と言いますのは、国連決議の経済制裁の効果があらわれて、金正恩委員長は米朝首脳会談を強く求めていると言う現状を冷静に認識すべきです。メディアの一部では、首脳会談中止の手紙を出したトランプ大統領は、振り上げた拳を下ろせないで困っていたが、金正恩の親書で救われたなどと伝えていますが、見当違いも甚だしいのです。

経済制裁が効いている以上、米朝首脳会談が不調に終わることを怖れているのは北鮮であり、一回目の会談で合意に達しなくて、その後に会談を続けることになっても、一向に困らないのは米国です。だからトランプ大統領は会談が数回に及んでも構わないとツイッターで発信したのです。追い詰められているのは北鮮です。

金正恩委員長は、殆ど断交状態だった中国の習近平主席と二度も会談し、最近ご無沙汰だったロシアの外相を呼んで会談したのも、追い詰められた金正恩委員長の立場を表しています。しかし、中露との会談の効果は米朝交渉が失敗に終わり、万が一戦争手段に訴える事態に備えたものに過ぎません。

しかし、首脳会談が失敗しても、直ちに戦争状態に陥ることはないでしょう。何故なら、中露共に国連決議の経済制裁に同意しているのであり、米国は現在の状態を続ければ良いだけですから、時間が米国に味方しているのです。

戦争状態に陥る可能性は、米朝会談に失敗した北鮮が、経済制裁の圧力に抗しきれなくなって軍事的暴発をしたときだけです。その時は米国は躊躇無く対抗上、軍事行動に出るでしょうが、そのとき中露は北鮮を支援する軍事行動はとれません。そうすれば、正統な米国の軍事行動に戦争を仕掛けるのですから、第二次朝鮮戦争の勃発になります。

それにしても金正恩委員長の外交交渉は、姑息ではありますが、しぶといです。米国では犯罪捜査で犯人を白状させるとき、良い警官と悪い警官を使い分けて説得するそうですが、北鮮の未来は明るいと説得するポンペオ国務長官には3人の拉致被害者を手土産を持たせて、リビヤ方式を強硬に主張するボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を口汚くののしり、この期に及んでもトランプ政権内の分裂を試みています。

最後は、トランプ大統領が、良い警官と悪い警官を上手に使い分けることを願います。
(以上)
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