世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

香港が中国に組み込まれて台湾が独立を目指す日は近い

2019年10月14日 | 政治
香港当局は逃亡犯条例改正案を撤回しましたが、香港人の民主化デモは治まる気配はありません。当初は香港人の現状の権利を守るデモで始まりましたが、早期沈静化に失敗して、いま掲げられている五つの要求は、即ち逃亡犯条例改正案の撤回のほかの四つは、デモ「暴動」認定の取り消し、警察の暴力に対する独立審査、デモ参加者の釈放、普通選挙の実施です。

最後の普通選挙の実施は、香港行政長官を直接選挙で選ぶと言う、前回の雨傘革命デモのときの要求で、一国二制度の核心に当たるものです。これが実現すれば、香港という限られた地域で中国としては初めての民主主義制度が作動したことになります。そしてそれが成功すれば、中国本土にも飛び火する可能性はあります。ですから独裁体制をとる中国としては極めて危険な実験であり、絶対認めたくないのです。

英国が香港を中国に返還するとき、一国二制度を求めたのは、アジアでの金融センターとして香港を活用することにあったと言われますが、今となっては民主政治の実験という政治的意味合いが大きくなっています。

一国二制度の下での金融センターは、中国としても外資獲得の利点があり得策として受け入れたのですが、この制度が中国共産党体制を否定する政治的実験場になることは想定外でした。他方、中国の共産党体制を民主主義体制に改変しようとする米国にとっては、香港人の要求は当然のことと受け止め、対中外交交渉で取りあげるつもりです。

香港デモ参加者には香港独立派、完全自治達成派、日和見主義者の三派があると言われますが、領土の拡大が皇帝たる資格の証しだという中華思想の習近平主席にとっては、領土の喪失となる独立派の要求は論外であり、完全自治達成派の要求は中国本土での民主化運動の誘因になるので拒絶するでしょう。

北京政府は香港行政当局を使って日和見主義派を懐柔してデモの収束を図りたいところですが、成功しなければ国際的批判を覚悟して、最後は実力行使に踏み切るでしょう。かくして、台湾吸収のモデルに想定していた香港の一国二制度は敢えなく消滅し、台湾が独立への意志を固める日は近づいています。
(以上)
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