卸売業とは?商社・小売業との違いから市場規模・利益率までわかりやすく解説!

今回は卸売業について!

「卸売業って聞いたことはあるけど、正直何をやっているのかわからない、、、」

「小売業と何が違うの?」

「卸売業の利益率はどれくらい?」

という疑問をお持ちの方向けの記事です。

以前の私は

「卸売業っていったいなに??」

「小売業はなんとなくわかるけど、卸売業って何をやっているんだろう?」

「卸売業界の利益率は?市場規模は?」

という疑問を持っていました。

今回は専門知識が無くても、そういった疑問を1つ1つ解消出来るようにわかりやすく内容をまとめてみました。

卸売業と混同しやすい小売業との違いや市場規模、利益率までわかりやすくご紹介します。

卸売業とは?

卸売業とは、メーカーや生産者から商品を仕入れて、コンビニやスーパーなどの小売業者にその商品を売り渡す業種のことをいいます。

卸売業者はメーカーから仕入れた商品の金額に自分達の手数料をプラスして小売業者に商品を売って利益を得ます。

そのため、メーカーから直接小売業業者に商品を売る場合と比べると、卸売業者の手数料が入る分、私たち消費者が購入する金額は多少高くなります。

この仕組みを知ると

「じゃ卸売業者がない方が良いじゃん!」

と思ってしまいますよね?

 卸売業はなぜ必要なのか?

では、なぜ卸売業は必要なのでしょうか?

理由は大きく2点あります。

  1. メーカーと小売店をつなぐ役割
  2. 情報の仲介・提供の役割

の2点です。

1.メーカーと小売店をつなぐ役割

    卸売業者はメーカーから大量に商品を仕入れて、その商品をコンビニなどの各小売業者に必要な量を売ります。

    そのため、卸売業者はメーカーと小売業者を繋ぐパイプ役の役目を果たしています。

    例えば、メーカーからチョコAという商品を卸売業者が1000箱仕入れます。

    それをセブンやファミマなどの小売店20店舗に50箱ずつ納品するって感じです。

    もちろん、各店舗が卸売業者に発注する個数は100箱だったり、30箱だったりバラバラのはずです。

    これを小売店が直接メーカーに発注しようとしても、

    「発注は最低1000箱~という縛りがあるため発注が出来ない、、、」

    ということがあります。

    そのため、卸売業者が間に入り、メーカーから大量に仕入れて、各小売店に必要な数を納品しています。

    これにより、メーカーは良い商品を作ることに集中でき、小売業者はお客様に商品を売ることに集中できるのです。

    2.情報の仲介・提供の役割

    その他にも、卸売業者は様々な商品を扱っているので、

    「今どんな商品が流行っているか?」

    の情報をメーカーに

    「この商品はどんな特徴があるか?どういう層に売れているか?」

    などの情報を小売店に提供し、情報仲介の役割を果たしています。

    このように卸売業者は私たちの気付かないところで、社会的に大きな役割を果たしてくれているのです。

    卸売業と小売業の違いは?

    卸売業とよく混同されやすいのが小売業です。

    「卸売業と小売業って何が違うの?」

    とずっと疑問に思っていましたが、

    「誰に対して売るか?」

    この違いだけでした。

    小売業とは?

    小売業とは、メーカーや生産者、卸売業者などから仕入れた商品を、実際に商品を使う人(最終消費者と言います)に販売する業種のことです。

    小売業者といえば、例えば、

    • コンビニ:セブンイレブン など
    • ドラッグストア:トモズ、ツルハドラッグ など
    • スーパー:マルエツ、いなげや など
    • 百貨店:高島屋 など

    をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。

    「誰に対して売っているか?」をチェックする

    小売業者は実際に商品を使ったり、食べたりする人に商品を売ります。

    コンビニなどで商品を買ったお客さんはその商品を使ったり、食べたりします。

    一方で、卸売業者はメーカー(生産者)から仕入れた商品をコンビニや百貨店などの小売業者に売ります。

    その小売業者は卸売業者から仕入れた商品を自分たちでは使ったり、食べたりしませんよね?

    商品を仕入れたら、店頭に並べて、私たちお客さんに売ります。

    ここに大きな違いがあります。

    • 小売業者に商品を売る⇒卸売業者
    • 消費者に商品を売る⇒小売業者

    という違いです。

    卸売業が私たち消費者になんとなく身近に感じないのは、直接やり取りがないからです。

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    卸売業と商社の違いは?

    卸売業はよく商社とも混同されます。

    商社とは、輸出入貿易や国内における物資の販売、事業投資や金融業を行う会社のことです。

    私自身も

    「商社は卸売業に含まれるの?」

    と疑問に思いましたが、

    結論から言うと、大きなくくりでみれば、商社は卸売業に含まれます。

    実際に商社で働いている友達にも確認しましたが

    「卸売業って名乗っているよ。」

    と話していました。

    ただ、一般的に下記3点で通常の卸売業者とは違いがあります。

    1. 物流機能をもたない
    2. メーカーにも原材料などを納品する
    3. 事業投資や金融業も行う

    1つずつ確認しましょう。

    1.物流機能をもたない

    通常の卸売業は物流センターや倉庫を保有し、メーカーから仕入れた大量の商品をそこに在庫として保管します。

    しかし、商社は商品や原材料の仕入れは行いますが、物流センターなどの在庫を保管する施設を持たない会社が多いです。

    一般的な卸売業社が行うような、各小売店に商品を配送する機能なども持たない会社が多いです。

    2.メーカーにも原材料などを納品する

    商社は小売業に商品を売り渡すだけでなく、メーカーが商品を作るための原料や資源を売り渡す仕事も行っています。

    通常の卸売業者は

    メーカー⇨卸売業者⇨小売業者の流れ

    が一般的です。

    そのため、メーカーから商品を仕入れることはあっても、基本的にはメーカーに原料などを納品することはありません。

    ここにも卸売業者と商社で大きな違いがあります。

    3.事業投資や金融業も行う

    商社、特に三菱商事や伊藤忠などの総合商社は莫大な資金力を持っています。

    その資金力を活かして、通常の卸売業だけでなく、新興国への都市開発事業など事業投資を行ったり、金融業を行っています。

    これは通常の卸売業者には出来ません。

    圧倒的な資金力がある商社だからこそできるのです。

    上記のように大きく分けて3点で卸売業者と商社は区別されます。

    卸売業の市場規模は?

    卸売業の市場規模は経済産業省のデータによれば2018年で約327兆円です。

    これは食品・飲料卸売業界や金属卸業界など全ての卸売業界を含んだ市場規模になります。

    小売業全体の市場規模が約140兆円なので、卸売業界の方が全体として市場規模が大きいことがわかります。

    卸売業界市場規模推移
    ただ上記グラフから分かる通り、卸売業界の市場規模は1991年の560兆円超えをピークに減少傾向です。

    ここ数年は多少持ち直しつつありますが、ピーク時と比べると市場規模が小さくなっているのがわかります。

    売上高トップ5の企業は?

    次に卸売業界の売上高ランキングを確認しましょう!

    卸売業者:2019年売上高トップ5は

    1.  三菱商事:16.1兆円
    2. 伊藤忠商事:11.6兆円
    3.  丸紅:7.4兆円
    4. 三井物産:6.9兆円
    5.  豊田通商:6.7兆円

    です。

    商社が上位を独占しています!

    1位:三菱商事

    三菱商事は丸の内に本社を置く総合商社。

    売上高は2019年の1年間で16兆1000億円を超えて卸売業界で堂々の1位です。

    生活産業から新産業金融事業、地球環境・インフラ事業まで幅広く事業を行っています。

    実はコンビニで有名なローソンは三菱商事の子会社なんです。
    ※2016年に株式公開買い付け(TOB)でローソンを子会社化しています。

    これを知った時はかなり意外でした。

    2位:伊藤忠商事

    伊藤忠商事は大阪に本社を置く総合商社です。

    売上高は11兆6000億円を超えて、卸売業界で2位です。

    1位の三菱商事よりもなぜか

    「伊藤忠(いとうちゅう)」

    って名前の方が良く聞く気がします(私だけですかね?(笑))。

    先ほど1位の三菱商事はローソンを子会社化しているとお話ししました。

    なんと伊藤忠商事の方は、ファミリーマートを運営するユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社にしているんです!
    ※2018年に株式公開買い付け(TOB)で子会社化しています。

    これも相当意外でした。

    その他にもジーンズで有名なEDWINも伊藤忠商事の子会社です。

    3位:丸紅

    丸紅は東京都中央区に本社を置く総合商社です。

    2019年の売上高は7兆4000億円を超えており、3位となっています。

    丸紅に関しても、三菱商事より名前を聞く機会が多いのは私だけでしょうか?(笑)

    丸紅も三菱商事や伊藤忠商事と同様に幅広く事業を行っていますが、生活関連事業が売上総利益の4割以上を占めています。

    4位:三井物産

    三井物産は三井グループ中核の総合商社。

    本社は東京都千代田区丸の内にあります。

    売上高は6兆9000億円を超えて、卸売業の売上高ランキングで4位となっています。

    鉄鉱石や原油の生産権益量では商社の中でダントツだそうです。

    5位:豊田通商株式会社

    有名なトヨタグループの総合商社で、名古屋に本社を置いています。

    2018年の売上高は6兆7000億円を超えており、卸売業の売上高ランキングで5位になっています。

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    卸売業の利益率はどれくらい?

    卸売業の売上高トップ5は商社が独占していました。

    では、卸売業の平均利益率はどれくらいでしょうか?

    卸売業界の上場企業に絞った経常利益率の平均は約4.9%です。

    ちなみに本業の利益である営業利益率の平均は約3.5%とだいぶ開きがありました。
    ※会社四季報より算出しているので多少誤差があります。ご了承ください。

    ちなみに経常利益とは企業の平常時の利益のことです。

    今回の平均値は上場企業のみなので、非上場の中小企業を入れるともっと平均値は小さくなるはずです。

    では、先ほどの売上高トップ5の経常利益率はどれくらいでしょうか?

    1.  三菱商事:約5.3%
    2. 伊藤忠商事:約5.5%
    3.  丸紅:約3.9%
    4. 三井物産:約8.4%
    5.  豊田通商:約3.4%

    でした。

    「売上高が桁違いに大きくても、利益率でみるとそこまで大きくない。」

    という印象です。

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