感染被害と経済被害は比較できるものではありません。どちらも深刻です。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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 今年前半には現在進行中の作品が発表できると思います。

 

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  日本が比較的慣れている災害は、大地震や巨大台風洪水のように、終りがはっきり見える災害です。

  地震や台風が何ヶ月も続くことはないしいつ終わるのかわからないこともない。1日か数日で「こと」は終わり、被害の様相を確かめて救命復興に全力を出す。次の被害を小さくする防災減災を強化する、など、必要なこともよくわかっているはずなのです。

 

  ところが、慣れてしまっているからなのか、予め準備するよりも、起きてから対処する方に重点が置かれてきた。特に緊縮財政を最善策だと思い込んだ30数年前より、平時に役立たないものはどれも「無駄」として削ってきた。国…政府の役割を経済(経世済民)から経営(ビジネス)に置き換えてしまったのです。

  感染被害を招き入れたのは、そんなビジネス政治の結果なのだ。

 

  そんな「慣れ」と「油断」のせいで、自然災害は最小化ができないだけでなく、事後の復興にも時間がかかるようになり、関連被害の増加をもたらした。東日本大震災の影響がいまだに残り、それ以後の様々な災害もあとを引いていて避難者や仮設住宅居住者が解消されず、失った家業を再開できないまま、次の災害に襲われる悪循環だ。

 

  超長期デフレがもたらしたものは、どんな巨大自然災害よりも恐ろしいのです。

 

  そんな状況下で、COVID-19感染災害がやってきた。

 

  いつはじまって、いつ終わるのか、今が災害のどの辺りなのかすらわからない。

  諸外国では毎日4万人規模で感染者増え千人単位で死者が増えているのだが、日本では比較的に被害は少ないように見えるため、緊張状態は長続きせず、対策も思い切ったことがされないまま現在に至る。

  経済活動の停止、自粛ムードによる不満の増加、外出抑制による様々な消費減少が先に表れており、日本における感染被害の中心は経済被害である、という認識が強いようです。

 

  果たしてそれは正しいのか。

 

  NIID 国立感染症研究所

  感染症発生動向調査及び積極的疫学調査により報告された新型コロナウイルス感染症確定症例287例の記述疫学(2020年3月9日現在)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/covid-19/9489-covid19-14-200309.html

 

  この報告書によると、発生動向や疫学調査で確定できる287症例では、武漢市経由やクルーズ船経由での感染ピークがすでにすぎており、「散発」とされる感染が全国に広がっていることがわかります。日本人同士のヒト〜ヒト感染に状況が移り、休業休校やイベント自粛によって多少の効果を発揮しつつ現在に至っている。欧米との違いは生活習慣の違いによるところが大きいようです。

 

  外国での急拡大を尻目に、大して拡大しない日本の状況に慣れてしまっている。

  その状況で、旅行や留学、海外の経済停止で帰国したビジネスマンなど、新たな経路が作り出されていると思われる。

 

新型コロナウィルスについて⑥:4月第2週の首都封鎖 - ロックダウンへのカウントダウン- 安川新一郎

https://note.com/syasukaw/n/nbf0f6d4886e7

《おそらくこのような(重大局面)緊急記者会見に踏み切った理由は、41名の感染者数よりも感染ルートがわからない感染者が「10数名」出てきたということです。

NHKの番組でも押谷先生が、東京の20人の感染ルート不明患者が、それぞれ繋がっておらず全て孤発例であれば「おしまい」と緊迫した表情で3/14の取材の時点で言っています。

20名ということは、これまで「全国で」13だったクラスターが、東京に一気に数10のクラスターで集団感染しているということだからです。》

 

  つまり、中国からの感染者訪日やクルーズ船経由の感染と違う新たな経路、加えて、経路の不確定な感染クラスターが東京や大都市で発生する可能性です。

 

https://www.stopcovid19.jp/?fbclid=IwAR01rP0pwILnmjnnu93i3-Cuf7T6bTwb2FQ8EZy4D8C64NGN248G_Pz9bYs

 

  24日のデータですが、病床数にはまだ余裕があるように見えます。しかし、日本に特異な医療状況は、医師と看護師が足らないことです。場所があっても対処できる人が足らないのだ。

 

  1日の感染確認者数は3月4日から40人前後に増えたあと17日から23日までほぼ横ばいがつづきましたが、24日は前日比72人、25日は91人と倍増しています。そのうちの約半分が東京都だ。

  検査数は依然として少なく、感染の様相がつかめない。

  検査74人中に感染確認が41人という多さは、症状が出てから検査した人がほとんどだからでしょう。

https://twitter.com/tbs_news/status/1242852923454836737

 

  無症候の感染者、ごく軽症で検査しない人がどのくらいいるのかわからず、その人が感染させている人もどのくらいいるのかわからない。

  症状が出て、中程度の病状になって病院を訪れる人が増えてくれば、重症に移行する人も増え、医療は崩壊状態になる。治療できないまま自宅で重篤になり亡くなる人が増えていく。

  こうなると、感染者の割に死者重症者が多いという、貧困国のような不名誉な状況となり、日本がイタリアのような深刻な状況になる可能性も否定できないのです。

 

  経済被害のほうが深刻かもしれない、という認識ははっきりと修正しなければいけない。

 

  「慣れ」と「油断」が経済被害を超える人的被害を招きかねない。

  感染被害と経済被害は別の様相であり、比較対象にできないのです。

 

  日本人全員が感染する可能性を考えれば、都道府県間の移動規制、つまり地域封鎖が必要だと、2月後半に書きましたが、経路不明な感染が気の緩みとともに広がれば、(たぶん三度目に)地域封鎖・外出禁止措置を本気で検討すべき時が来ているのだと思う。

 

  と同時に、医療体制を強化するあらゆる方法を実行しなければならない。

 

  オリンピックは延期されました。選手村や急増した湾岸エリアなどのマンションなど、隔離・治療に使える場所がある。自衛隊の協力を得て緊急の医療施設を作ることもできる。医師は簡単に増やせないが、離職した有資格の看護師に復帰してもらう方法はある。

  これらは、政府が責任を負い、財政支援を確約すれば官民が動き出す。

 

  「感染治療に使用した選手村やマンションは二度と使えなくなるのでは?」などと平時のような心配をしている場合ではない。消毒や改装の予算も政府が出せば良い。

 

  そもそも、日本に財政問題はありません。

 

  アメリカやドイツ以上に政府が支出し国債発行して国民を救うことができる。

 

神奈川・千葉・埼玉3県に往来自粛を要請へ 東京都

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57247520W0A320C2MM0000/?n_cid=SNSTW001

 

  往来自粛・地域封鎖をおこなうなら、かかる経済被害を補償する財政拡大が不可欠だ。

  自治体には財政制約があるが、国…政府に制約はない。

 

  ここで、財政拡大をしぶって被害を止められないようなら、次の大震災は有史以来最悪になること確実です

 

  感染被害と経済被害の両方を、どちらが深刻かと比較することなく、両方救わなくてはいけないのだ。

 

  意識を転換しましょう。

 

  提言をアップデートしましょう。

  100兆円でも足らないのではないですか?

  安倍内閣・自民党に期待してて良いんですか?

 

 

 

「令和の恐慌」回避のための30兆円規模の補正予算編成に関する提言

https://nihonm.jp/post_article/20200311

 

・30兆円規模の補正予算を。

・プライマリーバランス黒字化は当分延期。

・被雇用者の休業補償。損益の100%補償。

・消費税率0%に。

・資金繰り支援や廃業防止、国民不安の払拭

・国土強靭化、教育・科学技術投資、サプライチェーンの再構築、特定国依存型のインバウンドの見直しなど、内需主導型の経済成長を促す。

 

 

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