経済と感染を天秤にかけるのはやめましょう。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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TVアニメ『呪術廻戦』にキャラクターデザインなどで参加しております。

第1弾PV  演出を担当いたしました。

お楽しみに!

 

 

                                                     

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「 Go to トラベル」が酷いことになっています。

 もともと酷い政策なので酷いことにしかならないのは目に見えていましたが、施行前から予想のはるか斜め上を行く酷さにビックリです。

 

 このような「選択と集中」政策は、緊縮財政を前提にしているもので、他を犠牲にして特定分野を優遇するものです。国家戦略特区と同じ発想。

 「〇〇業界が瀕死だから」と国民の善意を悪用して呑ませ、他の予算を特定分野に付け替えるものだ。

 特定分野に予算を出す一方で、消費税は下げようとしない。消費税は旅行者にも病人にも被災者にもコロナで痛めつけられている業界にも無差別に襲ってくる。

 消費税は社会保障を持続するためだと、これも国民の善意を悪用して増税されてきた。

 

 特定業界を優遇したって貧困化している国民は旅行も消費も消極的です。東京が「Go to」から排除されて割引がなくなると、キャンセルが相次いだそうだが、さもありなん。

 

 緊縮と増税で全体を貧困化させているのだから、都合よく特定業界を振興しようったってうまくいくわけがないでしょう。そもそもこの手の観光政策は日本より豊かになった外国人目当ての政策ですから、失敗して当然。国民を貧困化させた政府にとっては自業自得。観光業界にも国民にも迷惑千万です。

 

 「Go to トラベル」は、ちぐはぐで無定見な安倍政権の姿を如実に表していると言えよう。

 

 あれかこれかと天秤にかけさせ、バランスをとるのが賢いのだと言って、もっとも愚かな選択をしてきた7年半だった。

 

 

 安倍政権のCOVID-19新型コロナウイルスの対応は、最初から経済と感染を天秤にかけるものだった。

 

 1月23日、すでに中国武漢市でウイルスの感染拡大が起きていたにもかかわらず、インバウンド獲得のために在中国日本大使館に春節祝辞を贈った。さらに多くの中国の皆さんに訪日していただきたいと、満面笑みで語りかけていた。この時には日本人の感染者がすでに出ていた。批判を受けて引っ込めたのだが、何の説明もなかった。この時は感染より経済だったのだ。

 初期対応を誤ったことを反省せず、経済と感染を天秤にかけ、次々とちぐはぐで無定見な逐次対処を繰り返したせいで、感染被害は諸外国より(まだ)小さいとしても、経済被害を戦後最悪にまで拡大させてしまった。いや、コロナ以前の悪政で早晩戦後最悪になるのは確実だったので、コロナで時期が早まっただけですけどね。

 

 新型コロナウイルスは、安倍政権のちぐはぐさ、無定見、無責任を暴き出しているのだ。

 

 「安倍政権最大の批判者は現実である」が今回も当てはまります。

 

 ウイルスを甘く観た結果、国内感染を拡大させるに至った。

 

 3月に入って、一日の新規感染確認者数が50人を超えるとさすがに警戒しはじめ、休校休業、イベント自粛に踏み切った。その頃には国民の「自主的な自粛」もはじまっていた。

 新型コロナ関連の倒産が増えはじめ、経済的ダメージが避けられない事態にまで進んだが、緊急事態宣言は出し渋った。政府は経済と感染の天秤に振り回されていた感がある。

 宣言発出時には、休校休業や自粛要請、「自主的な自粛」によって感染は抑えられていた。このため「緊急事態宣言は無意味だった論」が出るに至ったが、宣言解除後に街の人出が戻ると、人口の多い東京圏や大阪圏を中心に再感染拡大が起きた。7月17日までの推移を見ると、再び全国に広がりはじめている。個々人の感染対策で防げるという主張は間違いだったのだ。それとも、対策の甘かった人が悪いのだから自己責任だとでも考えるのだろうか。

 

 「ある程度経済を回しながら個々人でしっかり感染対策してもらう」式の延長にある「 Go to トラベル」のドタバタは、そっくり春節祝辞の繰り返しだ。

 経済と感染を天秤にかけてバランスさせようとした政策は、経済と感染の対策を両方ゆがませ、失敗に至っている。経済政策の方は最初からゆがんでますけどね。

 いいかげん、経済と感染を天秤にかけ、バランスをとることが現実論である、という考えは現実に打ち破られていると思い知るべきだ。

 

 ちょうど、安倍政権の政策は経済と外交のバランスを上手にとっている現実路線なのだ、という擁護論がことごとく現実に打ち破られているのに等しい。

 

 「ある程度経済を回しながら個々人でしっかり感染対策をしていれば大丈夫だ」

 この、経済と感染を天秤にかけてバランスさせようとする考え方は失敗しています。

 

 繰り返し書いていますが、新型コロナウイルスそのものや感染の様相など、わからないことがまだまだ多いのです。

 どの程度の対策が適切なのか、誰にも断定できないはずだ。「これで大丈夫だ」などという言論人は、余程のうっかり者か(何らかの私欲がからんだ)嘘つきだろう。

 

 経済と感染を天秤にかけようとする論者は、感染拡大が思ったより大きいと見るや、「コロナは風邪やインフルと変わらない」「コロナで死ぬ高齢者は寿命と変わらない」「検査数を増やしたから感染者数が増えただけ」(実際は陽性率が上がっているので安心材料にならない。)と、好都合な論に逃げ込む。狼狽えているのです。国債発行を増やしても財政破綻の気配すらない現実に狼狽えて、次々と破綻の理由を変える財政破綻派(緊縮・増税派)とよく似ています。

 

 自然災害大国の日本であれば、いつどこに来るかわからない大地震に対して、現実的な最悪を想定して最大の対策をとる、という考え方が必要だとわかるでしょう。

 近年は豪雨や台風被害も規模が大きくなっている。今年も九州を中心に大きな被害が出ています。自然災害に見舞われない土地はありません。被災者を自己責任かどうかで選別することはあり得ない。災害で亡くなった高齢者に(関連死だとしても)「寿命だった」などと言えない。

 そういう国だからこそ、被害を小さくするために、国土強靭化に予算を投入し続けなければならないのです。

 新型コロナとて同じではないか。

 

 違うのは、以前書いたように、直接被害からの関連被害が一周りして直接被害を再燃させることです。地震は関連被害によってもう一度起こることはありませんが、ウイルス被害は関連の経済被害によって再燃するのです。しています。

 

 感染動向は不確実性が高く「これで大丈夫」な防止方法はない。

 より確実な防止方法(ロックダウンなど)をとれば経済被害が大きい。

 経済を回せば感染拡大が起きる。

 感染拡大によって行政が命じなくとも行動抑制が起き、経済被害が出る。

 経済被害を回避するために経済を回そうとすると感染拡大へ逆戻りする。

 以下ループ…。これが現実に起きています。

 

 経済と感染を天秤にかけてバランスさせようとすれば、経済と感染の両方で被害を拡大させると考えてきましたが、実際そうなっているじゃないですか。

 

 大前提として議論すべきは、財政支援の増加・継続だ。

 

 順序ではなく大前提です。財政拡大を前提に感染対策を併行しておこなう。

 感染と経済を天秤にかけてバランスをとろうとしたり、どちらかを選ぼうとするから失敗しているのです。緊縮を前提にするのはやめましょう。

 

 感染被害の様相は全国でばらつきがある。財政支援で生活面や事業継続・雇用維持で余裕を作れば、感染対策の柔軟性も増すでしょう。

 

 経済的被害は、政府が財政支援を徹底的かつ継続的におこなえば最小限に留めることができるだろう。感染拡大の不確実性に比べるまでもなく、ずっと確実だ。

 

 しかも、制御できないウイルスと違って、やればできるのです。

 国民の要求で、嫌々にでも 一律10万円給付を実行したじゃないですか。

 「できっこない」」という思い込みを捨てさせましょう。

 

 保険医療・介護も、観光業界も、アパレルも飲食も…全員救うのです。

 

 カネで全てが救えるわけじゃない、という価値観は理解できます。しかし、価値観以前で困窮している人を含めて、全員救う必要があるのです。価値観で選別できる状況じゃないでしょう。

 コロナ以前からの景気悪化で、すでにそこまで来ていたのです。

 

 経済と感染を天秤にかけるのはやめましょう。

 

 というと、いま財政支援で助かることと「財政破綻」や「将来世代へのツケ」を天秤にかける人が出てくるかもしれません。いや、政治家のほとんどがそうだ。その結果、経済と感染を天秤にかける愚が止まらないのです。

 自国通貨による国債発行で財政破綻する心配はありません。財務省も日本銀行も認めています。

 政府負債(いわゆる「国の借金」)は単なる貨幣発行ですから返す必要ありません。

 

 財政支援となにかを天秤にかける必要はないのです!

 

 

 くどいけど何度でも書く

 全員を救うことを目指して、財政支援の拡大・継続を大前提にすべきだ。

 

 プライマリーバランス黒字化目標を撤廃させ、長期的財政拡大路線への転換を大前提にし、消費税は廃止する。デフレ脱却のために7年以上訴えてきたこの目標を、強化する時なのです。

 

 「今の政府には無理なんだ」とあきらめるなら、デフレ脱却をあきらめ、被災者をあきらめ、自己責任で国民を分断し、命の選別をし、潰れて良い企業を選別し、価値観の選別へと社会を向かわせるだろう。余裕を失った者が他者を呪って燃やす社会へと向かわせることになる。

 

 ボクは嫌です。

 全員を救うため、「財政支援の拡大・継続を! 消費税廃止を!」と求める圧力を高めたい。

 

 スタートラインに着くために、令和の政策ピボットを呼びかけつづける。

 

 

 

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