中野剛志×佐藤健志×適菜収の鼎談があぶり出す「まっとうなナショナリズム」。 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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TVアニメ『呪術廻戦』にキャラクターデザインなどで参加しております。

第1弾PV  演出を担当いたしました。

お楽しみに!

 

 

                                                     

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 中野剛志×佐藤健志×適菜収の鼎談連載全5回が全て揃いました。

こちらのまとめページで第一回から全て読めます。

https://www.kk-bestsellers.com/series/%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%81%a8%e7%84%a1%e8%b2%ac%e4%bb%bb%e3%81%aa%e8%a8%80%e8%ab%96%e4%ba%ba

 

 3人にとって、ともに議論してきた藤井聡教授に対する批判に目が行きがちですが、全体を通して議論してきた先には、以下のような日本のまっとうなナショナリズムが見えてきます。

 よくわからんことには近づかない、という警戒心は、おそらく日本人に強い意識でしょう。それが仇となることもあるが、災害に対しては賢い選択につながる。日本人の基礎的な意識、まっとうなナショナリズムが危険なレベルにまで薄まっていることへの危機感です。

 

 常識というのは数値化できませんし方程式ではじき出すこともできない。再現性も高いと思えないので科学的ではありません。「わからないこと」を多く含んでいる。「『わからないこと』に対する姿勢」が、日本列島に暮らす住人の共通理解ではなかろうか。文化と言っても良い。日本は歴史的に、宗教や法や権利と言った西欧的な概念でまとまった国ではありません。イギリスのように土地を拡大する意識にも欠けていた。日本列島と島嶼の範囲内でまとめられる意識を長い年月でふるいにかけ、残ったものが「『わからないこと』に対する姿勢」を共有する、というなんだか曖昧で一言で言えないものだったのではないか。

 一神教的な宗教は根付かず、八百万の神や仏教に親しんだ。人間関係含めて明確な基準や理屈よりも心地よさや空気感が優越するのもそのせいでしょう。ことによって良し悪しがある、わかりにくいものなのです。「わからないこと」をわかり合えるかどうか、これはなかなかややこしい話ですね。古来から伝わる逸話には「民の竈」や「稲むらの火」などがあり、古事記にも夢で占う事例が出てきます。そういうものは多分に直感的だが、常識でもある。こういう感覚を科学的でないと排除してきたのが近代というものだと思いますが、夢に現れたことが本当かどうか「わからない」からこそ大切なのだ、と思えるかどうかですね。

「『わからないこと』に対する姿勢」の違いはわかるのです。

 新型コロナ感染症は、日本人の無意識的な意識をあぶり出したと言えます。自然災害にはある意味慣れていますが、疫病のここまでの拡大は戦後例がなかったものですから顕著になったのでしょう。なので、諸外国での感染拡大状況や対策方法はある時点で参考にならないと思った。常識観も法制度も違いがありすぎるからです。

 

 ウイルスなので、変異して弱毒化するだとか(今のところ否定的だが)、ワクチンや薬剤の開発で減らしていくことは可能だと思いますが、日本の場合、デフレが長期化したようにズルズルと慢性化する危険性があります。長期化の原因は、方法論をあれこれいじくってデフレ状況を長期化させた成長戦略の類と同様になることを危惧している。個々人の感染対策をこまかく設定して「半自粛で大丈夫だ」と言ってきた藤井教授はそちらの部類に入るでしょう。

 感染症対策にはわからないことが多すぎるため、これで大丈夫と言えるものはないのですが。

 

 根本的な対策には、根本的な間違いを改めねばならない。日本経済の場合、緊縮財政にはじまる消費増税や構造改革、民営化やグローバル化が国民生活を痛めつけてきた。緊縮財政の権化であるプライマリーバランス黒字化目標を撤廃して、長期的な財政拡大路線へと政策転換することを大前提にしなければならないのです。

 この現実から逃げた…またはあきらめた…方法論は、経済にとどまらない社会状況を悪くした。日本人が共有してきた常識観、まっとうなナショナリズムを失うことになった。

 鼎談の本旨はそういうことだと強く思う。

 

 例によって「結論は何だ」とか「解決策がないじゃないか」と思う人が出るでしょう。

 そんなものはない、というところから、少なくともこれは失敗だったよね、という原因を洗い出さねばならない。経済としては緊縮財政がそれです。

 繰り返し書いていますが、感染被害と経済被害を天秤にかけてはいけないのです。

 どちらかと問われれば、コロナ禍以前からの大被害、緊縮財政思考を改めること様々な対策の大前提になる。財政拡大をしそうにないとあきらめてはいかんのです。

 

 

 

 さて、台風10号は九州西部をかすめて朝鮮半島東部へ上陸しました。韓国での被害も心配です。

 近年の台風巨大化で、架空電線の地中化、無電柱化が進められています。自宅の周辺も準備が進んでいますが、まとまった地域が完了しないと切り替えができないのでしょう。地下埋設には時間と予算がかかるのですが、それでも進めていかねば災害を小さくできません。

 今回の(7日午前中の情報では)停電被害は九州地方で39万戸超、山口県でも8万5000戸余り起きています。停電被害は、電柱の倒壊だけでなく、樹木が倒れて断線する場合も多い。山の多い地方では複雑な地形を電線が走っており断線した場合、復旧にも時間がかかります。

 停電からの復旧が99%解消するまでの時間は地域によっても違いが出ますが、台風の巨大化にともなって長くなっています。

「台風」と「電力」〜長期停電から考える電力のレジリエンス 経産省 資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/typhoon.html

 去年の台風15号では99%解消までに12日かかっている。平成30年7月西日本豪雨の3倍かかっています。これには電柱倒壊件数が1.5倍あったことなどが原因だそう。

 

 無電柱化だけでは被害を最小化できませんが、必要なことです。

(停電で死ぬ人は少ないから気にしなくて良いとは言えません。)

 公共工事を請け負う企業も、高い防水性と小型化、低コスト化に努力しています。

無電柱化の低コスト化を実現するための新手法提案 株式会社ジオリゾーム

https://www.georhizome.com/archives/column/359

 

 災害ある限り、防災減災の需要は永続します。

 こういった取り組みを拡大し、加速させるためには、政府が長期的に財政拡大をして需要にこたえる必要があります。

 

 生活の安全性が高まれば地方都市の価値が上がって人口が増え、企業が増え、東京一極集中を緩和することができるでしょう。

 

 喉の奥に刺さったトゲのような緊縮財政思考を抜き取らねばならない。

 

 表面的な政治状況が変わる今、根っこに居座る緊縮財政思考が再び強化される危険性が高い。

 最も強く訴えるべきは長期的財政拡大路線への転換です。

 

 まっとうなナショナリズムがなければ長期的財政拡大路線への転換は難しいが、給付など財政支援によって国民が(多少なりとも)助かった実績は力になる。

 ここでも「ナショナリズムか政策転換か」の天秤論ではなく、両輪で考えるべきでしょう。

人を助けることの尊さを共有するまっとうなナショナリズムのためにも、経済面での政策転換が必要なのです。

 

 

 

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