Core i7 9700K delid


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Intel 第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUのSTIMはソルダリング寄りではあるもののとシリコングリスとの中間くらいでいまいち冷えないと話題ですが、8コア8スレッド倍率アンロックモデル「Intel Core i7 9700K」をROCKIT COOL製の対応殻割りツールRockit 89で殻割りしたので冷却性能を比較検証してみました。今回の殻割りクマメタル化に当たってはIntel第9世代CPUの殻割り後に使用可能な銅製ヒートスプレッダ「Rockit Cool Copper IHS for 9th Gen」も使用しています。
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Rockit 89:https://rockitcool.thebase.in/items/14476625
Copper IHS for 9th Gen:https://rockitcool.thebase.in/items/14489209
Solder Remover(第9世代向け):https://rockitcool.thebase.in/items/14918058
CLEANING KIT(第8世代以前向け):https://rockitcool.thebase.in/items/12867544

Rockit 89 (2)Copper IHS for 9th Gen

Core i7 9700Kの性能については詳細なレビュー記事を公開中です。
「Intel Core i7 9700K」をレビュー
Intel Core i7 9700K

Core i9 9900KやCore i7 9700KやCore i5 9600KなどのIntel 第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの殻割りクマメタル化の手順についてはこちらの記事を参考にしてください。
Rockit 89でCore i9 9900Kを殻割りクマメタル化する手順を徹底解説
Rockit 89


「Rockit Cool Copper IHS for 9th Gen」について簡単に紹介しておくと、「Copper IHS for 9th Gen」はCNCフライスによる高精度加工によって製作された、純正IHS(ヒートスプレッダ)よりもCPUクーラーベースとの接触面積が15%程度大きい銅製IHSです。
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見ての通り「Copper IHS for 9th Gen」はIntel第9世代Core CPUの純正IHSよりもCPUクーラーと接する面積が広くなっており、冷却性能(熱交換性能)に優れています。
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第8世代では27gあったIHSが第9世代では20gに減ってしまいましたが、第9世代と互換性のある「Copper IHS for 9th Gen」の重量は30gと第9世代純正IHSの1.5倍なので、単純計算で「Copper IHS for 9th Gen」は純正IHSよりも1.5倍のCPU発熱に対するバッファ性能があります。
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ちなみにZ390マザーボードでは付属しなくなっているのでかなり余談になりますが、ASUS製マザーボードの一部が対応しているCPUインストレーションツールについては、「Copper IHS for 9th Gen」に合わせてフレームをやすりで削って広げることで使用することができました。
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「Copper IHS for 9th Gen」を使用した際の温度差はそこまで大きいものではないので、第8世代以前での使用についてはオプションでお好きにというスタンスでしたが、第9世代はCPUダイとヒートスプレッダのSTIM除去作業のうちヒートスプレッダの除去作業が省略でき、手間暇が省けるので使用をおすすめしています。
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なお前回のCore i5 9600Kの殻割りによる冷却性能検証では「標準IHS&標準TIM」、「標準IHS&クマメタル」、「銅製IHS&クマメタル」の3種類で比較を行いましたが、今回のCore i7 9700Kの殻割りクマメタル化による冷却性能検証では簡単のために中間を省略して「標準IHS&標準TIM」と「銅製IHS&クマメタル」の2種類のみについて検証を行いました。
標準IHSからオリジナル銅製IHSに変えると3~4度程度の温度低下が期待できます。オリジナル銅製IHSの性能について詳しく気になる人はCore i5 9600Kの記事を参照してください。
Core i5 9600Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
Core i5 9600K delid_temp


さてここからは本題となるRockit Cool Copper IHS for 9th Genも使用して殻割りクマメタル化したCore i7 9700Kの冷え具合についてチェックしていきます。
Z390マザーボード「ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)」などを含む検証機材を使用しました。テストベンチ機の詳細構成については下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 9700K
8コア8スレッド (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR2
マザーボード
ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)
(レビュー)
ビデオカード MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー

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Core i7 9700Kは手動OCすると発熱がかなり大きくなるので大型簡易水冷CPUクーラーが推奨されますが、360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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今回、「Rockit Cool Copper IHS for 9th Gen」の冷却性能を検証するために、同じCPU個体について「標準IHS&標準TIM」と「銅製IHS&クマメタル」2種類で負荷テストを行いCPU温度を比較しました。CPU温度は環境温度にも影響されるため測定時は室温(ベンチ機付近の温度)が温度計で20度程度となるように注意しました。CPUクーラーには「Fractal Design Celsius S36」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用していますがファン回転数は1600RPMに固定しています。またVRM電源冷却用のスポットクーラーも回転数は固定しています。
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負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i7 9700Kの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して1周実行しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
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「Core i7 9700K」のOC設定については「CPUコアクロック全コア:5.1GHz」、「CPUキャッシュクロック:4.7GHz」、「コア電圧:1.380V固定」、「ロードラインキャリブレーション:Level 7」、「SVID:Disable」と設定しました。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」、「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」、「メモリ電圧:1.350V」です。
Core i7 9700K_OC_BIOS (1)Core i7 9700K_OC_BIOS (2)
Core i7 9700Kで上記のOC設定を適用すると動画エンコードによるストレステスト中のEPS端子経由のCPU消費電力は200W近くまで達します。
Core i7 9700K_OC_power

Core i7 9700Kの「標準IHS&標準TIM」と「銅製IHS&クマメタル」について負荷テスト中のCPU温度の推移を比較したグラフは次のようになっています。
Core i7 9700KのCPUダイとヒートスプレッダの間はSTIMなのでシリコングリスが採用されていたこれまでのCPUほどではないものの、標準のSTIMから殻割りによってクマメタルに塗り替え、さらにオリジナル銅製IHS「Copper IHS for 9th Gen」を使用することによって、標準IHS&STIMと比較して、5.1GHzにOCしたCore i7 9700Kを最大温度で11度、平均温度で9.0度の温度低下が確認できました。
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クマメタルよりも冷えないため酷評される傾向があるものの、Intel第9世代CPUに採用されているSTIMはシリコングリスと比べれば良質なソルダリングに近い熱交換性能を実現しているので、シリコングリスがTIMに使用されていた第8世代や第7世代の時のように20度前後の大幅な温度低下は見込めないものの、5.1GHzにOCしたCore i7 9700Kにおいては「Copper IHS for 9th Gen」も使用した殻割りクマメタル化で8~10度程度の温度低下が確認できました。
STIM除去の手間を考えると若干、二の足を踏む感はあるものの、温度低下の効果自体は確実に期待できますし、紹介している作業手順を踏襲すれば殻割りクマメタル化で破損する心配はほぼないので、手間を惜しまずOCによる常用限界を追及するのならお勧めできると思います。
「Copper IHS for 9th Gen」を使用する最大メリットとしては標準IHSよりも多少なりともCPU温度を下げられることですが、Intel第9世代CPUの場合は標準IHSのSTIM除去作業を省略できるので、3000円程度の出費ですし、Intel第9世代CPUの殻割りクマメタル化を実行するのであればおすすめです。

以上、『Core i7 9700Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証』でした。
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Solder Remover(第9世代向け):https://rockitcool.thebase.in/items/14918058
CLEANING KIT(第8世代以前向け):https://rockitcool.thebase.in/items/12867544

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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