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2019年05月19日

「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

みなさん、こんにちは。
ゴールデンウィークの最終日の朝からどうも体調がすぐれず、「風邪?インフル?」と素人診断に基づいてパイロンPL顆粒を服用し、1週間ほどで症状は落ち着きましたが喉・鼻がまだ何かすっきりしません。
平年よりもやや気温の高い日の続く大阪から、そろそろエアコンフィルターの掃除をしておかないと急に暑くなった時に慌てないといけないなぁと思いつつ、前回の投稿から3週間振りにお送りします。

さて今回お届けするのは久々に紙モノです。
アメリカ陸軍の1969年12月16日付発行のField Manual(FM)23-30 「GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS(グレネードと火工術信号(つまり信号弾))」です。それ以前に既に同じ「FM 23-30」として1959年10月28日に発行されていた同じ番号のFMを更改・再編集されて作られました。もっと遡ればFM 23-30 「Grenade」にまで行き着きますが。


↓表紙です。リプリントではなくオリジナルです。この時期くらい以降のモノであればリプリントでなくオリジナルが比較的廉価で入手可能なケースが多いです。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)


↓目次です。手榴弾、手榴弾トレーニング、ライフル・グレネードとアクセサリー、ライフル・グレネード・トレーニング、地上信号弾などのチャプターに分かれています。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓全ページ全項目について触れていく訳には参りませんのでココは!という所だけピックアップして見ていきます。まずヒューズとセイフティ・クリップについての図とM30訓練用手榴弾が目に入ります。WWII時代のMk2グレネードにはまだ無かった安全クリップが見えます。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)
ヒューズについては、Mk2、M26、M26A1破片手榴弾用のM204A1やM204A2ヒューズ、Mk3A2攻撃手榴弾やM34 WP(白リン)発煙手榴弾用のM206A2ヒューズ、M33(のちのM67の祖先)破片手榴弾用のM213ヒューズ、M56破片手榴弾用のM215ヒューズ、M57、M59(M33A1)破片手榴弾用のM217インパクト・デトネート(衝撃爆発)ヒューズ、M6やM7等の暴動鎮圧手榴弾やAN-M8 HC 発煙手榴弾、AN-M14 TH3サーメート焼夷手榴弾用のM201A1ヒューズ等についての説明が続きます。

↓続いて破片手榴弾としてMk2から始まり、M26、…
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓M26A1、M56、M57、M33、M59(M33にM217インパクト・デトネート・ヒューズを付けたM33A1の、のちの呼称)と、説明と合わせてイラストによる図説があります。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓化学発煙手榴弾もM34 WP(White Phosphorous(白リン))手榴弾、AN-M8 HC(Hydrochloric)(塩化水素)発煙手榴弾、M18発煙手榴弾について説明・図説があります。また、催涙ガスとしてよく知られているCNガス(chloroacetophenone:クロロアセトフェノン)や、アダムサイトという名称で知られる催吐剤であるDMガス(diphenylaminechlorarsine:ジフェニルアミンクロルアルシン)を使った暴動鎮圧用のM6 CN-DM、M6A1 CN-DM、M7 CN、M7A1 CN、CNガスより更に催涙効果が強く灼熱感や鼻汁、涙の流出等を惹き起こさせるCSガス(2-chlorobenzylidenemalononitrile:クロロベンジリデンマロノニトリル)を用いたABC-M7A2、ABC-M7A3、3種混合のABC-M25A1、ABC-25A2について説明されています。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓特殊用途手榴弾としてAN-M14 TH3(サーメート)焼夷手榴弾、M26系の訓練用であるM30訓練用手榴弾、Mk1照明手榴弾、Mk3A2攻撃手榴弾が説明されています。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓続いては手榴弾のトレーニングについて。握り方、投げ方、投擲姿勢、運搬方法、取扱い上の注意点・チェックポイント等について触れています。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓次いで各種の教練コースについて触れられており、まず基礎的なモノとしての「距離・正確性コース」から始まり…、
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓「襲撃技能コース(原語がassault quaification courseで、日本語に訳しにくいです)」を経て「習熟コース(familiarization course)」、「確信コース(confidence course)」、時間遅延ヒューズやインパクト・ヒューズを用いる手榴弾の使用を習得する「クック-オフ・インパクト コース」に至ります。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓ライフル・グレネードの章から。「現役軍の制式ライフルはM14、M16A1ライフルとなっているが、M1ライフル(ガーランド)も予備役や同盟軍で今も尚使用されていることからM1ライフルのアクセサリーについての情報もこのマニュアルの中に含める。」としてM7A3グレネード・ローンチャー(画像の①)の説明から入ります。次いで②のM14ライフル用のM76グレネード・ローンチャー、③のM16/M16A1用のグレネード・リテイナー・スプリングについての説明が続きます。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓ライフル・グレネード用の専用カートリッジについて。画像左側の①がM1ライフル用のM3、②がM14ライフル用のM64、③がM16/M16A1用のM195。また画像右側ではM14ライフルに装着したM15グレネード・ローンチャー・サイトの図とそのピープ・サイトについての説明図。M15グレネード・ローンチャー・サイト(←クリックで過去記事が別ウィンドウで開きます)はWWII時代に既にM1カービン、M1ライフル、M1903/M1903A1/M1903A3ライフル用に開発されていました。時代を経てM14ライフルにも利用されることになりましたが、M16/M16A1用には使えません。M16/M16A1も当初はM14ライフルまでと同じように銃身の先にグレネードを挿して、専用カートリッジの燃焼ガスによる推進力を用いて発射するスタイルで、先ほど触れたグレネード・リテイナー・スプリングを使ってライフル・グレネードを発射できるようにしていましたが、専用のサイトはこのマニュアルが発行された時点では存在しませんでした。のちにライフルの銃身を使って榴弾を飛ばす「ライフル・グレネード」という概念から決別し、銃身とは別個独立した形でハンド・ガード下部に取り付けて使用する40mm口径のM203グレネード・ローンチャーが開発されます。ではM16/M16A1ライフルではライフル・グレネードの照準はどうしてたのかというのは、またあとで触れます。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓左ページの図はM14ライフルのスピンドル・バルブの説明。グレネード・ローンチャー使用時はスピンドル・バルブ・スロットを銃身と平行になるようにし、ライフルのパーツ破損を防ぐと共に、推進ガスがガス・シリンダーへ流入しないようにしてグレネード発射のためにフル活用出来るようにせよとの説明があります。右ページの図は手榴弾をライフル・グレネードとして利用する際に用いるアダプター2種の説明。①はM1A2グレネード・プロジェクション・アダプター(←過去記事が開きます)で、Mk2、M26/M26A1破片手榴弾やM30訓練用手榴弾、M34 WP 発煙手榴弾、Mk1照明手榴弾に用いられます。②のM2A1はM6系、M7系の暴動鎮圧用手榴弾やAN-M8 HC 白煙手榴弾、AN-M14 TH3 焼夷手榴弾、M18発煙手榴弾に用いられます。本文はライフル・グレネードの種類の解説へと続き、M31 HEAT(High Explosive Anti-tank)グレネードから始まり…、
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓M19A1 WP(白リン)発煙グレネードは上で既に出ているM34 WP(白リン)発煙手榴弾に取って代わられていきました。赤・緑・黄の3色展開のM22発煙グレネード(図にはありませんが)、M23A1発煙ストリーマー・グレネードも赤・緑・黄の3色です。訓練弾としてM11A4はM19A1とM23A1の訓練用、M29は元々は後にM31 HEATグレネードに取って代わられるM28 HEATグレネードの訓練用、M31は文字通りM31 HEATグレネードの訓練用です。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓ライフル・グレネード・トレーニングの章から。画像の①はM14ライフル、②はM16/M16A1ライフルですが、それぞれのライフルのスリングに「30度」「45度」「60度」マークを付けておきなさい、という「知恵」についての解説です。これはM14ライフルについて、例えM15グレネード・ローンチャー・サイトを無くしてしまったり壊してしまったりした場合でも、あらかじめM15グレネード・ローンチャー・サイトを装着して銃床を地面に着けた状態でそれぞれの射角を保持した時に、付けているスリングが地面との間でピンと張るように足で踏み付け、その部分に目印を付けておけば、サイトが無くても目印を踏んでスリングをピンと張るようにすれば必要とする射角が得られるという事です。M14ライフルにはM15グレネード・ローンチャー・サイトを取り付けて見て実際に射角を確かめながら目印を付けられますが、専用サイトの無いM16/M16A1ライフルの場合は画像の②で示されているようにスリングを最短にした状態で各射角の目印を付けておけば、実際に射角を付ける時にはスリングを最長に伸ばした状態にして、銃床を地面に着け、各射角目印の部分を足で踏んでスリングが張るように銃口を上げれば必然的に必要な射角になるという事です。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓信号弾についての詳解。①Star cluster(「星団」:照明・信号弾として)、②Star parachutes(パラシュート吊りの照明・信号弾)、③Smoke streamer(流煙弾)。イラストの画像はあげてませんが手持ちのバージョンとも言うべき①②③の説明が続きます。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓巻末の方には附録として、各トレーニングのための具体的な施設・設備とその方法についての図説や…、
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓これもです。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓これは各手榴弾の本体素材、「中身」、対応ヒューズ、重量、投擲距離などのデータ表です。他にも同じくライフル・グレネード等についてのデータ表、グレネード本体に施す塗装や文字色を定めたカラー・コードが続きます。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

↓次いで各種トレーニングのスコア記録についての解説。
「グレネードと信号弾」(GRENADES AND PYROTECHNIC SIGNALS)

最後の最後には画像に上げてませんが「グレネードと火工術の履歴(Historical resume of grenades and pyrotechnics)」として一項があり、「最も古いグレネードは、西洋文明による利用記録のある更に何世紀も前の古代中国に起源がある」、「grenadeという語はラテン語のGRANATUSに由来する」、「スペイン人がグレネードを『GRANADA(ザクロ)』と呼ぶのは、スペインで初めてのグレネードの形状がザクロの実に似ていたから」、「紀元前250年にローマ軍がイピルス王ピエールの象軍団に対抗するために使った」等や、「1904年、1905年の日露戦争で、攻守のどちらにおいても史上初めての大規模でグレネードが使用された」、「日本軍が初めて遅延ヒューズを採用した」云々(うんぬん)…とあります。



以上私が特に興味があるところを中心に見て来ました。今回のモノに限らずマニュアルは必要に応じて改変・補追され、或いはある程度改変
・補追が重なったりするとフル改訂されると同時にタイトルも大きく変わります。ですから例えば今回のモノのマニュアル番号「FM 23-30」で検索すると、色んな時代(色んな版)・タイトルのモノがヒットしますので、自分が求めている時期のモノか確かめる必要がありますので注意が必要です。

私のコレクション対象のメインはWWII米陸軍歩兵なのでマニュアル類もその時代のモノが欲しいのですが、やはりどんどん価格も高騰し、目にする機会も減って来てます。もっともウェブ上でいろんな方・公的機関が公表してくれてますので参照するのは容易ですが、やはり何となく自分の手にもって置きたくなります。モノへの執着心がやっぱり残っている証左ですね。以前に「モノを持ってるコレクターよりも、モノを知ってるコレクターでありたい」などと申しましたが。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。




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