よっぱらったゆうれい/岩崎京子・文 村上豊・絵/教育画劇/2003年初版
でだしは落語風。
番頭のちゅうべいさんが留守番している骨董屋にやってきたのはおさむらい。
これはだめと番頭さんからことわられた刀。だめといわれるとほしくなるのはつね。名刀とかんちがいし、刀をぬこうとすると、これが木の刀。番頭さんのいうとおりです。
次にやってきたのは掛け軸がほしいという横町の隠居さん。黒いモミジの山水の絵と何が書いてあるわからない書は敬遠です。
これならおきにいるかと番頭さんが、もったいぶったてつきであけた箱には、なんと丸山応挙が描いたというゆうれいの掛け軸。
骨董屋の主人が、古物市で一両で買ったのを百両とふっかけますが、隠居さん、応挙なら百両するとお買い上げ。
もちあわせがなかったのでしょう、明日の朝にやってくることに。
前祝いとばかり、とっくりと盃をもってくると、急にあたりが暗くなって「ひゅ~~っ どろどろ どろ」「あたしよん」とでてきたのは、女のゆうれい。
掛け軸を見るとからっぽ。どうやら掛け軸からおでまし。
まめなゆうれい、番頭さんに酒をすすめ、つまみも自分で準備。それから、さしつさされつのどんちゃんさわぎ。酒が入るとゆうれいの ほおが ぽおうっと さくらいろ。
「あーら、ばんとうさん いいこえねえ」と、おだてもうまいゆうれい。
「うたもうたうわよ」とゆうれいも踊りながら歌。
番頭さん、よいつぶれて座敷で大の字。
翌朝、番頭さんが目を覚まし、掛け軸を見てみると、掛け軸のゆうれいも居眠り中。
番頭さん、百両がふいになると「おきて おきて おきておきてださいよ」とおねがいしますが?
どうも大人がにやりする絵本。絵は昔話風で、ねこもねずみも酒盛り、踊って彩をそえています。
応挙さん、にせものも多いようですから、どうだったのでしょう。ゆうれいが抜け出すほどですから本物かな。
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