炎上商法が破滅的なことを迎えるわけ、ないし空っぽのムーブメント=全体主義 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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炎上商法が破滅的な結末を迎えるわけ

 昨今は炎上という現象が確認されておりまして、大体はネットにて発生するのですが新潮45などは紙媒体から発生するということも確認させてくれました。本日は新潮45への批判などは脇において、炎上という現象について検討してみたいと思います。

 なぜこの検討をしなければならないのか?といいますと、実は炎上という現象は非常に全体主義的な要素を含むことが多く、故に炎上の結末はおおよそ破滅的になりやすいと思われるからです。

 だからこそ、私も新潮45の件については批判的に書いている1人でありますが、自戒の意味も込めて検討をしたいのです。

 

 炎上というのは自然科学的な「燃える」という現象を社会科学的文脈でよく表現しておりまして、新潮45でいえば杉田水脈論文が出て一度炎上しましたが最近は完全に消えつつありました。ところが新潮45が10月号で特大の燃料(低俗な表現の稿)をブチ込んできて、再び再炎上となりました。

 新潮45に関して言いますと実は少々、炎上と表現してよいのかどうか?検討する余地があります。といいますのも今の所、新潮45への批判というのは感情的なところにまでは行き着いておらず、非常に理性的な批判が繰り広げられているような印象を受けるからです。

 また新潮社の内部の人のツイートにて新潮45批判が繰り広げられた、というのも通常の炎上とはやや異なる趣を見せております。

 

 では通常の炎上と言われる現象はどのようなものか?例えば芸能人のスキャンダルや発言に対して、ほとんど関係のない人たちの「奥底にたまったドロッとした感情」に火がついて、正義面をして批判や非難を加えることで「スッキリする」。

 ところが「奥底にたまったドロッとした感情」とこの場合は「芸能人のスキャンダル」はほとんど関係がないために、一時的には「スッキリする」のですが、「奥底にたまったドロッとした感情」の解決にはならないので、再び「正義面して批判や非難をできる場所」をこの人達は求めることになるという構造があります。

 それは芸能人のスキャンダルや発言、もしくはツイッターでの何かしらの非行や問題行為のツイート、ないし企業の事件やスキャンダル、もしくは政治家と、特に場所や問題を選ばずに起こりえます。

 「叩いてスッキリできること」がその問題の対象となるわけです。

 

 では新潮45の件はどうか?というと、「新潮45を叩く=LGBTに味方する」という構図になりやすいために、どうも「スッキリしない人」が多いのではないか。「別に差別はしないけど、LGBTに積極的に味方もしない」というスタンスの人が多いのは事実でしょうし、別にこれはこれで全く良いのです。

 上記の炎上の構造で説明しますと「LGBT=正義」「新潮45を叩く=LGBTに味方する」という構図は多くの人が疑問に思う、ないし積極的ではないので、「新潮45を叩いてもスッキリしない」のですね。

 つまり新潮45の今回の騒動は、炎上とはやや趣が異なるかもしれない、と思うわけです。

 だから新潮45に対しての批判は、わりと理性的なものになっているのではないか?と私なんかはそういう印象を持っています。

 炎上の比較として新潮45を持ち出しましたが、批判の中身などは今は脇に置きましょう。

「奥底にあるドロっとした感情」と「スッキリする」ことの行方

 炎上とは「奥底にたまったドロッとした感情」をある問題で「正義面して叩く」ことで「自身がスッキリする」ために起こる現象である、と定義づけました。

 このあたりにつきましては『対論 「炎上」日本のメカニズム (文春新書)』が詳しいので、興味のある方はご覧ください。

 

 

 「奥底にたまったドロッとした感情」をルサンチマンと置き換え、「自身がスッキリすること」を「論理的根拠がない情動に駆られた行動によって自身を満たす」と置き換えた場合、それはすなわち「ルサンチマンによって空っぽのムーブメントが起きること」が「炎上の構造」となります。

 はてさて?これは「全体主義そのもの」ではありませんか(!!)

 炎上とは一種の全体主義といえなくもないのです。

 

 「凡庸という悪魔(著:藤井聡さん)」によると全体主義の行き着く先は、破滅的結末と相場が決まっているようでして、すなわち炎上の行き着く先もまた、破滅的な結末になることが多いというわけです。

 「本当?炎上に参加しても、別に破滅的結末にならなかったけど?」という反論は当然ながらあるでしょう。下記の事例を引いてみると、「参加ではなく、『行き着く先』は破滅的」ということをお示しできるかと思います。

 という記事の実際は弁護士に懲戒請求した”ネトウヨ”たちの意外な素顔とは?に記されている通り。

 5月18日にこうツイートしたのは東京弁護士会の佐々木亮弁護士だ。根拠のない懲戒請求を計約4千件出され、業務を妨害されたとしている。同じ被害を受けたという北周士弁護士とともに16日に会見し、一部の請求者約960人に対して、損害賠償(請求者1人当たり60万円想定)を求める訴えを起こす方針を明らかにした。

(中略)

 佐々木氏はなぜ自分が懲戒請求されたのか、理由がわからないという。大量の懲戒請求は、2016年に東京弁護士会が朝鮮学校への補助金支給をめぐる国の対応を批判する会長声明を出したことがきっかけだとみられている。ネット上などで請求を出すよう呼びかけがあり、東京弁護士会の役職者ら10人に対し段階的に大量の懲戒請求が出された。佐々木氏にも「声明に賛同しその活動を推進する行為は犯罪行為」などとして、懲戒請求書が届いた。

私は労働問題が専門で、朝鮮学校の声明には関わっていません。懲戒請求されることも初めてで、大量の請求書が届いたときには一体何のことだろうと思いました」(佐々木氏)(一部引用)

 要するにネット上のデマ(空っぽ)なことに乗って、正義面してムーブメントを起こした挙げ句、「行き着くところ」である懲戒請求をしたネトウヨは破滅的な結末を迎えたというわけ。

 この場合の「空っぽ」にはちょっとした構造があります。「自身が愛国者である」という思い込みから、「事の真偽を確かめもせずに」デマに乗ったのは「自称愛国者ゆえの万能感」と「それにすがる奥底のルサンチマン」からでありますね。

 上記の構造が循環論的になっていることがおわかりでしょうか?こうです。

 「ルサンチマンから目をそらしたい」→「愛国者を装って正義面して悪を叩くすっきり感」→「愛国者は万能」→「事の真偽も確かめずに調子に乗る」→「しかしそんなことでルサンチマンが解消されるわけがない」→以下無限ループ。

 どこから間違えたのか?自身のルサンチマンに正面を向いて向き合わなかったところから、間違いが始まっておりまして、一般的にはこれを人は認知不協和と呼びます。

 

 このループの行き着く先は「破滅的な結末」というわけ。

 

 さて、新潮45は紙面にて炎上商法を仕掛けましたが、批判してくる相手がわりと理性的に批判してくるとすると、ムキになるのか、それとも矛先を収めるのか?ムキになるとしたら、それは新潮45の破滅的結末につながってしまうことでしょう。どうぞご用心。

 

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