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海外テレビドラマ「シックス・フィート・アンダー」ちょっと古いが、なかなか面白い

2019-05-13 21:40:06 | 海外テレビ・ドラマ

             

 アメリカのケーブル・テレビ局HBO制作の2001年から2005年にかけて放送されたドラマ。父ナサニエル・フィッシャー(リチャード・ジェンキンス)が交通事故で急死。

 残された遺族は妻のルース(フランセス・コンロイ)、長男ネイト・フィッシャー(ピーター・クラウス)、次男ディヴィッド・フィッシャー(マイケル・C・ホール)、長女クレア・フィッシャー(ローレン・アンブローズ)だった。

 この一家は、葬儀社を営んでいる。次男のディヴィッドが家業を手伝っていたが、父の急死でシアトルで食品会社の幹部社員だった長男のネイトが帰って来た。残された家族がどのように生きて行くのか、それらを飾らずに本音で語られる。

 ネイトがつきあうセックス依存症の女ブレンダ・チェノウィス(レイチェル・グリフィス)との関係。

 弟のディヴィッドはゲイで黒人のキース・チャールズ(マシュー・セント・パトリック)を恋人に持つ。

 母親のルースも夫の死後、いろいろな男性とつき合うようになるが、自身の経験が優先して相手とよく問題を起こす。口調もヒステリックに叫ぶこともあって、去って行った男もいた。

 遅くに出来た女の子クレアは、末っ子らしく自由気ままで生意気盛り。早くもセックスに目覚めようとしている。

 葬儀社であるためいろんな遺体が運ばれてくる。安らかな傷一つない遺体ばかりではない。交通事故のようにかなり遺体の損傷が激しい場合もある。それらを元通りに修復して、棺を開けて遺族や親族が気持ち良く別れる準備を担当するのがエンバーマー(遺体衛生保全士)のフェデリコ・ディアス(フレディ・ロドリゲス)だ。

 これらの人たちの喜怒哀楽が鮮やかに描かれ、テレビドラマ対象のエミー賞を2002年監督賞など6部門で、2004年には母親役のフランセス・コンロイが主演女優賞を受賞した。

 このドラマは、上にあげた魅力的な俳優たちに負うところも大きい。2001年出演当時、ピーター・クラウス36歳、マイケル・C・ホール30歳、レイチェル・グリフィス33歳、マシュー・セント・パトリック33歳、ローレン・アンブローズ23歳、フランセス・コンロイ48歳でローレン・アンブローズ以外は一番魅力的な年代だ。

 ピーター・クラウスは、いかにもアメリカの好青年の風貌だし、レイチェル・グリフィスは、目が魅力的、ローレン・アンブローズは、すごい美人ではないが親しみのあるルックス、フランセス・コンロイは、品のある顔立ちで芯の強い母親役が魅力的だった。ローレン・アンブローズの演技も確かなものに見えた。

 食傷気味になったのは、ゲイのキスやセックス・シーンの多さだった。もう、いい加減にしてくれと言いたくなった。

 しかし、感動的だったのはシーズン5でネイトが急死するが、ネイトの希望は棺に入れずに買い取った土地に布に包まれてシックス・フィート・アンダー、約3.6メートルの深さに埋めて欲しいというものだった。その場面が描写されるが、本来死者を弔うとはこのような素朴な儀式だったのだろう。参列者が土をかけて死者との別れは感動的ですらあった。

  

 

  

 さらに面白いのは、最終第12話が「未来」で原題が「Everyone's waiting(みんな待っている)」となっていて、クレアがトヨタ・プリウスに乗って、大平原の一直線の道路をニューヨークへ旅立つ画面に重ねてネイト以外の人々の未来が語られる。この未来はネイトが待つ冥土のことなのだ。

 その死亡記事は、母親ルース・オコナー・フィッシャーは、2025年3月12日79歳で死去。2005年にバンガ・キャニオンでペットショップを営んでいた。

 キース・ドウェイン・チャールズは、2029年2月の火曜日の朝、突然死亡。チャールズ・セキュリティ・カンパニーを創設していた。享年61歳。

 ディヴィッド・フィッシャーは、2044年75歳でエコ・パークで死去。フィッシャー・アンド・サンズ葬儀社を2034年に引退後、地元の劇場で俳優として活躍した。

 フェデリコ・ディアスは、2049年2月故郷プエルト・リコでのバカンス中急死。享年75歳。エンバーマー(遺体衛生保全士)としてフィッシャー・アンド・サンズ社に勤め、その後パートナーとなりフィッシャー・アンド・ディアス社と社名変更。2006年にハリウッドのデロンプレ・アヴェニューにディアス・ファミリー葬儀社を開業している。

 ブレンダ・チェノウィスは、2051年3月自宅で死去。享年82歳。家族形成の中における、天才児の役割に関する書籍を執筆。その分野の研究においては第一人者として知られており、南カリフォルニア大学の社会学部のカリキュラムにもこれらの科目を数種類追加している。

 クレア・フィッシャーは、2085年3月13日マンハッタンにて死去。享年102歳。フォトジャーナリストとして50年近く活動。作品はワシントン・ポスト誌、W、FAC誌などの表紙を飾った。多くの写真家がデジタルスキャンやコンピューター処理を施して作品を作る中で、彼女は銀カラー写真の手法をとり続けていた。ニューヨークやロンドンのギャラリーで数多くの個展を開催。2018年よりNYUのTisch School of the Artsにて写真を教え始め、2028年には終身在職権を与えられた。

 このようにして遥かな未来では、ネイトが満面の笑みでみんなを迎えている様が見えるようだ。人物形成の脚本というのは、綿密な人物構成で成り立っているということがこの死亡記事でよく分かる。

 私はクレア・フィッシャー役を演じたローレン・アンブローズが特に好きで毎回、にやつきながら観ていた。そのローレン・アンブローズの歌声も聴けるからアップしておこう。

  

 その曲は、「You Light Up My Life(あなたは私の人生を照らしてくれる)」で、邦題が「恋するデビー」となっている。これは「砂に書いたラブレター」の甘い歌声で人気歌手だったパット・ブーンの娘デビー・ブーンのデビュー曲なのだ。

  

 1977年ビルボードのチャート1位を10週記録した。しかもアカデミー歌曲賞、ゴールデングローブ賞主題歌賞を受賞し、翌年にグラミー賞最優秀楽曲賞も受賞した。デビー・ブーンの歌唱もお楽しみください。

 この作品を製作総指揮・脚本を1999年「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞脚本賞受賞のアラン・ボールが主に務める。なお、DVD化されていないのでアマゾン・プライムで観るしかない。

 


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