とある秋の日の定期検診の歯医者さんにて。
お会計時にお財布から小銭を出そうとしていたところ。
手のひらから硬貨を思いっきりぶちまけました。
……あーはい、いつかやるなと思っていたのです。
とにかく最近手からものがこぼれ落ちる。
スライスしたシイタケを鍋に移そうとしているのに数切れが床に落下。
畳んだ洗濯物を抱えて狭い我が家を移動中に重ねた衣類が雪崩。
まとめた書類をファイルに入れようとして大散乱。
何かにぶつかったとか大きな音がして驚いたとかではなくて、
何事も起こっていないのに静かにものだけが手から落ちていくのです。
落ちて困らないものならいいのだけれど(よくない気もする)。
ちょっと我ながら怖くなったのは2回連続で包丁を落としたとき。
2回ともぐっさり包丁が床に突き刺さりました。
足の上に落ちなくてよかった……。
そしてこれは手から落ちたわけではないけれど、
食器棚をあけたら上においてあったカセットコンロのボンベが落下。
直後に私の左足中指に華麗にピンポイントでヒット。
激痛&広範囲に内出血しました。
これは流石にいろいろ考えた方がいいのでは……。
そういえば落ちるのは手からだけではない。
身体がなにかに触れて、
そのはずみにものが落ちることも頻発。
シンクにちょっと置いた菜箸に触れてしまったり、
ものを取ろうと手を伸ばした瞬間に腕でなにか吹っ飛ばしたり。
……空間認識能力の著しい低下?
あまりにもカジュアル且つ日常的にものが落ちるので、
自分の行動をうーんとじっくり観察してみました。
そうしたら。
当たり前のことですけれど、
身体の機能的にも精神的にも鈍化しているのですね。
今まで片手でつかめていた
逆さに置いた陶器のお椀が持ち上がらない。
皮膚に潤いがなくなって指や手のキープ力が落ちている気がします。
筋力は(元々そんなにないけれど)言うに及ばず。
そんな物理的な能力の低下があるのに、
めんどくさがりが加速していていろいろ一度で済ませたくなっている。
もう能力的には一度で済ませられなくなっていて、
失敗したら結局二度手間なのだよと自分に説教したい気分。
これが加齢ということなのかなーとしみじみします。
散々考えた末の対応策は。
落ち着いて丁寧に無理のない行動をしよう!
なんだかバカみたいな結論ですが、それしかないのです。
それでも生来のズボラは即座にはなくならず、
ついついながらや欲張った動きが出てしまう。
でも自分の行動をじっと意識してみている癖をつけたら、
「あーこのままやったら落とすね絶対」というのが分かるように。
分かっただけでぼろぼろものを落とす時期を経て、
最近は落とす前に自分にストップをかけることが
少しずつできるようになりました。
具体的に結構大事なのはものを持ったまま別のことをしない。
包丁を持ったまま鍋の蓋をとらない、
本を持ったままティッシュを取ろうとしない、などなど。
前もって作業工程を考える力も弱くなっているのだと思います。
プランニング能力の低下とでもいいましょうか。
なにかしている最中に「あ、これもやらなきゃ」と思い出して、
その瞬間に後先考えず身体を動かしてしまう。
結果、いろいろ台無しに。
とにかく、なにをするにも包丁はいったん置くべき(←最重要)。
こんなに自分の意思と身体が食い違うなんてという驚きと、
情けない気分にもなって。
もうダメー、生物として抹消レベルの基礎能力の低下!
と友人に愚痴ったら。
「あるよねー、分かる。
スーパーのレジでおつりとレシートもらって所定の位置に収めて、
サッカー台に移動するだけの一連の動きが遅くなってきた。
後ろの人を待たせたりするとホントに焦る」
ああそれもめちゃくちゃ分かるよ……。
なるべくよそ様にご迷惑をおかけしないように頑張りましょうと、
お互いにしんみりどんより盛り上がりました。
意識の問題だけではなくて、ハード面も考えた方がいいのかも。
出し入れの快適なお財布とか?(どんなの?)
高いところのものを取るのに不安定でクラッシックな丸椅子じゃなくて、
しっかりした踏み台の導入とか?(いつか自分が落ちる)
ものが落ちてこない住まいとか?(そもそも……)
よくよく検討すれば多少は改善することがありそう。
頭と身体がまだ動くうちに少しでも自分インフラを整えておかないと。