新型コロナウイルスと日中関係。

今年に入り中国武漢から世界中に広がり、猛威を振るっている
新型コロナウイルスについて書いてみようと思います。

2019年12月8日に武漢市内で原因不明の肺炎患者が報告され、
大晦日にはWHOに新型コロナウイルスが報告されました。
武漢市で肺炎患者が急増し、
1月7日にはこの肺炎の原因が新型コロナウイルスであることが確認され、
9日には初めての死亡者を確認。
既にウイルスは中国全土に広がり、
中国人旅行者が訪れた海外にも広がりました。
13日タイ、16日日本、19日韓国とアジア圏のみならず、
アメリカ、フランス、オーストリラリアなど現在進行形で患者が増えています。
わずか3カ月でこの爆発的な広がりは強い感染力を伺えます。

現状でアウトブレイクは中国大陸のみとされています。
中国本土では感染者が7万人を超え、死者も1千人以上と発表。
致死率は3%程度で、
死亡者のほとんどが持病を持つ高齢者であり
その症状に関してもインフルエンザに比べて
別段恐れるほどのものではないという楽観的な見方もありますが、
中国政府発表の正確性に対する疑問や、
適切な治療法や検査体制の整備が遅れている事もあり、
世界中に不安を与えています。

北朝鮮は全ての外国人観光客の入国を禁止
モンゴルは中国国境閉鎖と中国と国境を接する国は、
かなり初期段階で厳しい入国規制を取りました。
アメリカ、オーストラリアも
一定期間、中国全土に渡航歴のある外国人の入国を禁止
友好国であるロシアでさえ極東地域の国境封鎖を決めました。
一方、日本は湖北省と浙江省からの入国禁止のみ
諸外国に比べて規制が甘く、対応も後手後手に回っている印象です。
日本国内での感染者は61人ですが、
クルーズ客船ダイアモンドプリンスでの集団感染者を含めると
416人中国に次ぐ感染者を抱えています。

D princess234
ダイアモンドプリンス

症状のない乗員乗客約3,700人は14日間船内に閉じ込められていますが、
ぞくぞくと感染者が検出され、
アメリカでは既に
「ダイアモンドプリンス(日本)は第二の武漢」と言われており、
日本の対応は批判的に報道されていて、
しびれを切らしたアメリカは
自国民の帰国のためチャーター便を出すことを発表しています。
アメリカは現時点で15人しか感染者がいませんが、
日本のように国民皆保険制度を取っていないため医療費が高く
保険に入ってない貧困層は感染していても病院に行かない可能性があり、
これから感染者が増えていく可能性があります。
そのため水際作戦に固執しているのでしょう。

世界中から中国武漢へ救援物資が贈られる中で
習近平政権は日本の支援に対して異例ともいえる感謝表明を行っています。
いつも日本に厳しい口調の中国報道官は記者会見で
一つ一つの事例を挙げて日本の支援や声援に特別の感謝を述べて
中国外交部はTwitterでも日本語で感謝メッセージを送りました。
この背景には非常に政治的な思惑が働いています。

中国の歴代王朝は
こうした疫病の流行がきっかけとして崩壊してきました。
コロナウイルスの蔓延と諸外国の入国規制によって
今、中国経済は大きな打撃を受けています。
2018年3月に国家主席の任期を撤廃して独裁体制を整備し、
政権基盤が盤石となった習近平王朝にとって
これから中華帝国の復興を目指す大事な時です。
貿易戦争や北朝鮮危機で表面化した米中対立
香港民主化デモによる国内外の批判によって
尖閣事件以来の日本との対立関係を急速に緩和させており、
天安門事件後の天皇訪中のように
今年4月上旬の国賓訪日を絶対に成功させ、
新天皇と謁見し、国内外の批判を跳ね返したいと思っているでしょう。
日本にとっても7月に東京オリンピックを控え、
香港デモや尖閣問題を棚に上げてでも習近平来日を乗り切って、
オリンピックを成功させ、経済再興の起爆剤にしたいと思っています。
そのためにも極端な入国規制を取りたくないのです。

しかし海外では中国との国交封鎖だけでなく、
日本を含めたアジアからの人的交流を規制しようという動きが出ています。
不安を煽り、正しい情報が疎かにされ、
中国系やアジア系の人々に対する謂われのない差別
助長するかのような事が起こり始めている事も確かです。
本来、こうした疫病に関しては人類共通の課題として
国家の利害を超えて協力すべきではありますが、
中国とWHOの政治的癒着が話題になったり、
中国国内で政府の対応を批判した人が行方不明になるなど
人権問題と絡めて共産党に対する国際的批判が起こる中、
皮肉にも日中は共通の政治的利益があるのです。

もちろん中国自身も今回ばかりは
その影響力を考慮して比較的情報をオープンにしており、
武漢の封鎖、団体旅行の禁止など異例の対応を取っていますし、
治療に当たっている医師は懸命にウイルスと戦っています。
これが人為的なものであるという人工ウイルス説
時期尚早の話題とは思いますが、
いずれにしても先月末正式にEUを離脱したイギリス
各国に貿易戦争を仕掛けるアメリカによる世界経済ブロック化に続いて
中国から発した新型コロナウイルス問題によって
人的交流までブロックされた未来は恐ろしい結末を迎える気がします。
ウイルスそのものよりも
デマや風評被害の方がよっぽど恐ろしいのです。
中国人排斥法や排日移民法の再現にならないことを祈ります。
万が一、オリンピックが中止となれば
1940年東京オリンピックの返上以来、80年ぶりです。
ますます2020年代は1940年代の再現となりそうで
暗い未来しか見えません。(震災とオリンピック参照)

0 件のコメント :

コメントを投稿