フェニーチェ歌劇場 メーデービデオ | 稲幸恵 Voce Voce Voce

稲幸恵 Voce Voce Voce

ボーカルコーチ。
日本人唯一のEstill Voice Training- Estill Mentor and Course Instructor。
レッスン、イベント告知、徒然日記など。

5月1日メーデー、イタリアのフェニーチェ劇場がビデオを公開しました。

留学中に何度も通った宝石の様に美しい劇場も、数ヶ月前から封鎖されたままメーデーを迎えました。

イタリアの矜恃が感じられる美しいビデオは、世界中の舞台に関わる人たちへのメッセージの様に私には感じられました。とても感動したので訳したい、原文が欲しいと劇場の広報の方にSNSでお願いしたところ、その日のうちに送ってくれました。

難しい文章だったので、稚拙な訳ですが、読んで頂けましたら嬉しいです。

 

ちなみに、劇場名の"フェニーチェ"とは、イタリア語で不死鳥という意味です。

フェニーチェ劇場は、18世紀に建築された後、2度の火災により全焼しながらも、その都度よみがえりました。お休みを余儀なくされている、世界中の舞台が不死鳥の様によみがえります様に..

〜ビデオナレーション日本語訳〜

人体やその機能と同じ様に、様々な職種の人たちの助力によって構成され、存在しているのが劇場だ。劇場は、美しさ、外観、各々のヒストリーのみならず、人間が生まれながらに持っている欲求を満たす「養分」を生み出す。それがなければ、人間は、人間ではない。

 

グイド・トネッリ氏は、宇宙起源の歴史について模範的な方法で伝える科学者である。彼は、自身の小説「創世記」を以下の言葉をもって締めている。

「一言でまとめると"文化"だが、芸術、美しさ、哲学、宗教、科学、それらは我々の魔法のカーテンだ。太古の時代から、我々はそれを絶望的に欲している。それらが一緒に生まれた可能性は高く、ただ明確に表現されている思想が、異なる様式となっているのだ。言葉の韻律と半韻が、起源の物語の記憶伝承を促し、それと同時に歌と詩が生まれたことは想像に難くない。科学はこの物語の一部であり、当然ながら、エピステーマ、技術、知識、機械、物、道具を生産する能力が一緒になったものだ。

ギリシャ人にとって 、Tecnica(技術)の語源である"テクネ-tecne" が、芸術的で職人的な共同活動も示すことは偶然ではない。例えば、両面の研ぎ石を生み出すためは、2つの要素が絡みあわなくてはいけない。鋭利で便利な道具を使用するという技術的な必要性と、シンメトリーで、繊細で、完璧にバランスが取れている、つまり一言でいうと、芸術品の様に"Bello-美しい"ものを生み出す審美的な要素の両方だ。これらの必須性は、何千年も前から地球で暮らしてきた人間の、抑えきれない何かである。文化、自己意識、自分の最も深いルーツの認識は、極限の状況における生存チャンスを確かにする、一種の大きな力だ。耳を傾け、想像することで、他の人が蓄積した経験を体験することになる。物語は、先代からの長い連なりがもたらす教えの凝縮であり、それを理解し経験することを可能にしてくれる。私たちに千の人生を体験させてくれるのだ。

想像をすることで、感情と恐怖、苦しみと危険、グループの価値といったものを体験し、それを保存し進化を助けるルールは、世代を超えて繰り返し記憶、再認識される。文化度が高い社会グループでみがかれ、促進されてきた「想像力」は、人類がこれまで開発した中で最も強力な武器だ。つまり、芸術、科学、哲学は、今日の根本的な学問であり、人間であることへの実質性を与えてくれるのものだ。」

 

オペラハウスの仕事、もう少し広くいうと劇場の仕事というものは、高度な職人技、技術、芸術家の仕事によって支えられている。それには、本当にたくさんの専門能力、後方支援、おもてなし、技術供給や製作といったものが含まれている。こういった知識の全てと、それらを表現するすべての人々が一緒に働く事で、"生の舞台"が生まれる。こういった知識の全てと、それらを表現するすべての人々の力が一体となって「生の舞台」が生まれる。

人間性のみで作ることはできないし、人間性なしでも作り得ないものだ。

 

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