指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『新聞記者ドキュメント』

2020年02月15日 | 映画
菅義偉官房長官の天敵・東京新聞社会部遊軍記者の望月衣塑子記者の記録である。
その言動については、政治的立場によって賛否はあるだろうが、本来新聞等のマスコミは、政治などの権力を監視し報道するのが使命である。
中では、地方の放送局の記者が言う「もし左翼政権ができたとしても、やることは同じだ」というのは、その通りである。
彼女は、沖縄の辺野古埋立の土砂投入について、官房長官に質問するが、まさに木で鼻を括るご回答の連続。
かつて、小沢一郎が「悪代官」にたとえられたが、現在は菅義偉長官が悪代官顔だろう。

              

だが、ここで追及される問題、森友学園等で出てきた安倍政権と官僚の癒着は、元をたどれば、民主党政権の失敗に起因すると思う。
もう一つ、大きなことは、中国、韓国の存在が大きくなり、総体的に日本の地位が低下してきたことである。
ここでも、望月記者へ「朝鮮人」とのヘイト電話が出てくる。それは、彼らの危機感の現れである。

民主党政権は、コンクリートから人へ、反原発、東アジア重視の政策など、見るべきものはあったが、あまりにも運営が稚拙だった。
その最たるものは、官僚の使い方で、当時は消えた年金問題等、日本中で国への批判が強かったので、国の行政のすべてを批判し否定する方向がやたらに強かった。
横浜という、地方の木端役人に過ぎなかった私でも、横浜市のことを知っていて、思っているのは私たちだという自負はあった。
われわれとは比較できないほどの誇り高い国の官僚にとって、民主党の「官から民へ」等のスローガンは最悪だった。
小沢一郎のような、国の裏も表も知っている政治家ならともかく、昨日今日に議員になったものが、国を批判するなど、ただのお笑いだった。
そして、民主党政権が崩壊し、自民党に戻ったので、これで永久にはともかくとして、自分が国に在籍する間は、当分自民党政権だろうと思うのは当然であろう。
前川喜一元文部次官のような人は稀で、大部分は長いものには巻かれ、御身大切に生きるのは仕方ないことだ。
今回の検事長を定年延長し検事総長にするまでやるのだから、安倍政権に尻尾を振る者が出てくるのも自然の成行だろう。
こうなってしまうのも、日本の社会が、「村」であるからだ。森達也監督が取材を拒否される内閣の記者会見も、記者会が村だからで、日本中はすべて巨大な村であり、余計者は排除されるのだ。
前川氏が、ここで言うように、
「安倍政権は、国民をバカだと思っている」の通り、ここでの参議院選挙でも、自公政権は勝利する。

だが、私は決して悲観していない。一度でも民主党政権という、反自民の政権ができたことは無意味ではないと思う。
打者で言えば、1本もヒットがなければ永久に打率ゼロだが、1本でもヒットがあれば、ゼロではないからで、いつか反自民勢力が回復することもありうるからだと思う。
まあ時間はかかるだろうが。
横浜シネマリン


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