そんな與門の声に…。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.102.

ドキドキ そんな與門の声に、
「…ったく…。今、大阪にいるあんたに、新宿に来い。な~んて言える訳、ないでしょ。」

「どう、間に合いそう…???」
「そんなの分かんないよ。今の今だもん。…もしかしたら、もう車で成田、向かってるかも知れないし…。」

「夕美子~~~。」
「もう~~~、電話している時間、無駄!!!一旦、切るよ。」

そのまま、電話番号登録から、ポン。
数回のコールで相手が出る。

「あっ。もしもし、おはようございます。…桜華の新條です。お世話様です。…あの…古家(ふるいえ)さん…。……。」

電話をしながら、急いで上着を左手に夕美子。
パンを口に、倫洋に、目と手で合図して…。

倫洋、
「…くくっ。はいはい。相変わらず…忙しいようで…。」

ドタバタと急いで準備をして夕美子。腕時計を見て、そしてスマホを耳に、
「あっ、はい。分かりました。」

倫洋、
「…ったく、大丈夫なの~~。姉ちゃん…。」

ガソゴソとしながら、部屋から出てきて、右手を倫洋に振りながら、
「ごめん、倫~~。あとお願い~~。」

…と、言ったかと思ったら、ドアをバタン。


数秒後、
「…あれじゃ…。嫁の貰い手は…。」

その後に溜息。
「…ふぅ~~。まず…無理か~~。」



駆け足で通りまで出て、そのまま駅まで。
「頼む~~。間に合ってくれ~~。」

電話では、あと30分くらいでホテルを出ると言ってきていた。

夕美子、頭の中で、
「…無理難題吹っ掛けるんだから、もう~~。」

駅前の横断歩道の赤で止まり、
「あ~~、も~~いらいらする~~。」
と、ブツブツ言いながら、
「幾ら何でも…、無理だよね~~。」

頭の中で逆算しても新宿駅まで到着しての30分は悠に掛かる。


「仕っ方ないか~~。経費で落としてね~~、相場ちゃん。」

横断歩道を渡り、駆け足で、駅前のタクシーに、
「20分で、新宿まで。」

運転手、バックミラーを見て、
「はい。」

そして、
「え―――――――っ!!!…お…、お客さん。…そりゃないでしょ。幾らなんでも、ここから…。20…。」

「無理は承知。…でも、やんないとしょうがないの、行って、行って。」
「行ってって…。無茶苦茶でしょ。…渋滞…、目に見えてるでしょ。」

「あ~ら。運転手さん、ダンディね~~。」



その頃、大阪のホテルの一室、
「夕美子~~。お願い…。」

 

 

 

 

 


  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



《PR》
庄司紗千 海をこえて

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。