ゆっくりと目を閉じる徳康。
徳美、瀧澤ら4人に、
「少し…よろしいですか…。」
ドアに向かって。
瀧澤、
「はい。」
廊下で…。徳美、
「電話では…、あんな事、言って…。」
瀧澤、
「…。」
葉月、
「電話…頂いて…。」
徳美、
「あっ、そうでした…、神田さんですよね。」
徳美、いきなり恥ずかしそうに、頭を掻いて、
「…ある意味…、祖父が倒れて…、それから…、どうしたものかと…。悩んでたんです。…けど…。」
瀧澤、葉月、奈都美、伸永、
「……。」
徳美、4人に向かって、
「よろしく、お願いします。」
瀧澤、徳美に右手を差し出して、
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。謹んで、承りました。」
徳美、その右手を握り、
「ありがとうございます。」
そして葉月、奈都美、そして伸永とも握手して…。
徳美、ドアを開けて、
「母さん。みなさん、お帰りに。」
季実子、
「うん。」
首をコクリと。
廊下を行く4人。
その後ろ姿を見ながら徳美、季実子。
「これから…かな~~。」
「頑張んなさいよ~~。」
徳美、
「うん。良し。」
葉月、奈都美、
「ユッコ、寄ってこか。」
「当然。」
瀧澤、
「報告もしなきゃね~~。」
伸永、
「はい。」
そして木綿子の病室。瀧澤、
「失礼しま~す。」
葉月、奈都美、
「ユッコ~~。」
その声にドアの方を見る男性。
瀧澤、
「あら…、菱川さん。お父さん。」
清隆、
「あぁ~~。いつもどうも…、木綿子…ありがとうございます。」
木綿子、
「出張で、こっちに来たんだって。寄ってくれた。」
葉月、奈都美、伸永、
「こんにちは~~。」
清隆、
「こんにちは。いつも、木綿子の事、ありがとう~~。」
葉月、奈都美、
「いえいえ。」
「良かったね、ユッコ。」
瀧澤。
木綿子、にっこりと、
「うん。…けど…、こんな時間にみんなで…???…どうしたの…???」
葉月、
「ふん。」
奈都美、
「実はね~~。…と、言うか、部長…。」
瀧澤、
「ふん。…実はね、翡翠堂の相談役。先々代。」
木綿子、
「ふん。」
キョトンとして…。
「急性心筋梗塞で、倒れちゃったの。それで、そのお見舞い…がてら…。」
木綿子、いきなり、
「え――――――――っ!!!!」
葉月、
「はははは。…まっ、そうなるよね~~。でも~~。本当は、今の店主から私に電話来て、今回のウチとの事…、今の状態では…難しいって…。」
木綿子、
「あ、あ~~。」
「それで、部長から、病院行こうって、言われて…。」
「ふ~~ん…。」
奈都美、
「…なんだ…けど~~。…結局…翡翠堂…、ウチが…やることに…。」
「へっ…???」
「な~~んだかね~~。」
葉月、隣にいる伸永の左肘を突っつく。
伸永、思わず照れたように…。
「翡翠堂のおじいちゃん、尾田ちゃん、かなり、気に入ったようで…。それに…部長の事も…。」
木綿子、突然、口を尖らせるように、
「へぇ~~~~。」
清隆、
「あっ。私は…この辺で…。」
瀧澤、
「あっ。あぁぁぁぁ、いや…。ごめんなさい、私どもの話ばかりで…。」
そんな瀧澤に清隆、
「いえいえいえ。とんでもない。会社の人たちとの話…、木綿子には…一番ですよ。私は、もう一つ、アポがありますんで…。この辺で…。」
そうしていそいそと病室のドアに…。
瀧澤、
「本当に申し訳ありません。」
清隆、
「いえいえいえ。どうぞ、ごゆっくり。…んじゃ、木綿子。」
木綿子に左手で合図をして…。
木綿子、
「うん。ありがと、とうさん。かあさんに。」
「おぅ。よろしく言っとく。うん。」
奈都美、
「ごめんね~~。お父さん、追い出しちゃったみたいで…。」
木綿子、
「ううん…。はは。」
そして、それから数日後、葉月たち3人は翡翠堂に新しい商品の提案。
そして、徳康の病室には、日々、店の誰かかしらが必ず見舞いに赴いているのだった…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。