鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

ヒメウズラにとって大切なおはなし

私はこれまでヒメウズラを2羽看取っています。
そしてその逆に、人に飼育されないと生きて行けない鳥を産ませるのも、今となっては私の仕事であるわけで…。

だからこそ書き残さなくてはいけない事があると思い、今回はヒメウズラにとって大切なお話を綴ろうかと思います。

看取ったうちの一羽は殆ど羽の抜けた状態で引き取った「れん(蓮♂)」と名付けたヒメウズラ。

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「れん(蓮♂)」がどんな状態ではなぶさ堂に来たかは、過去の記事に目を通していただけると解ってもらえるかと思うのですが、一時期は回復をして元気に遊びまわっていました、でも「れん(蓮♂)」は体も弱く、夏場でも状態によっては保温が必要な子でした。

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決して人に慣れて居る子では無かったけど、温めた手のひらの中ではコロンとしてくれたり、朝は大きな声で他の子に負けじと雄叫びをあげていました。

だけど、「れん(蓮♂)」は足に病気を患っていたせいもあってか、遊び疲れて小動物用のヒーターの上ですぐに眠ってしまったり、手の中でもウトウトとする事が多かったのです。

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ある晩の事、れん♂を抱っこして居ると、足や首にいつもよりも力が入らなくなっている様に感じました。
ご飯はしっかり食べていたのだけど、やっぱり病気の足にかかる負担がそのまま体力を奪ってしまって居た様に思いました、体重も日に日に減って行きました。
そして数日後「れん(蓮♂)」は私の手の中に収まっていた夜に静かに静かに息を引き取りました…。

「れん(蓮♂)」との時間はとてもとても短い時間でしたけど、猛禽類の餌になる寸前だったこの子を私は引き取って、結果、上手く育ててやることは出来なかったのはとても残念だけれども、最後まで看取ってあげる事ができた事は本当に良かったと思っています。

そして、もう一羽。
はなぶさ堂のヒメウズラの中では一番長い付き合いだった「うずまきさん(渦巻♀)」が、つい先日旅たちました…。
本当は、この記事を書こうと決めた時には「うずまきさん(渦巻♀)」はまだ元気にしていたのだけど、最後の時は突然訪れました。

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昨年5月の事、うずまきさん♀は病院に通う様になりました。
通院の訳は卵管がお尻から出てしまうと言う大変な病気でした。
鳥のメスには「卵詰まり」と言う症状が有りますけど、その場合とは逆に発情しつつも産みたい卵が体内に作られない状態、軟卵を産みやすい子には要注意の病気です。

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うずまきさん♀は病気になる前まではよく太っていました、体重は67gくらいあって少し太って居たけど、この子にはそれくらいがちょうど良いかと考えていました。
当時は「ウズラなのだから卵を生んで当たり前」という大きな勘違いを持って居ましたが、うずまきさん♀は軟卵を生んでしまう事も何度かあったので、ボレー粉やインコ用のペレットなどを使ってカルシウムの維持にはとても気をつけていました。
それでも鳥という生き物は自分の骨のカルシウムまでをすり減らして卵を生成するのですから、ちょっとのカルシウム摂取ではとても足りません。
そして何より、人が愛情をかければかけるほど発情をしてしまうのも、飼い鳥として生まれてきてしまった子たちの宿命なのかもしれません…。
相手が人であっても、発情をさせることは卵を産ませる事に繋がります。

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うずまきさん♀のお尻の辺り、ちょびっと赤いものが見えるでしょ?
これが卵管が出てしまって居た状態なのですが、写真はこの距離に留めさせてくださいね。
実際に目で見ると真っ赤な血の塊、例えるなら「へその緒」みたいなものがお尻から出てきて居る様に見えました。
そして、この日も軟卵(卵の黄身だけの様な、或いは糞とも思える様なもの)が卵管の先っちょに付着していていました。
(※写真はそれがポロリと落ちた状態です)
私は慌てて朝のうちに病院に電話をして、一番早く予約の取れた午後一番のタイミングで病院に連れて行きました。
しかし、午後の時点で突出した卵管は乾ききってしまっていて、病院では緊急手術を受ける事態となりました…。

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手術はカラカラに乾いた部分の卵管を切除して、お尻から卵管を体内に戻して、肛門を一糸縫うという手術。
当然術後は入院2週間ほど、毎日電話で状態の確認を取りつつ、退院後も通院と投薬は続きました。
参考までに、手術には4万円くらい掛かりました。

退院後はうずまきさん♀の体重を毎日測って、うずまきさん♀のベストコンディションを探しました。
体重を図るということは、卵を産ませない事にも繋がります。
ヒメウズラは体重が重くなると卵を産みますから、毎日の体重管理がうずまきさん♀を長生きさせるための必須項目となりました。
ウズラなのだから卵を生んで当然と思われがちで、私もそう思って居たのですが、うずまきさん♀の場合、卵管は飛び出さなくなったものの、今後卵を産ませるという事はとてもとても危険な行為となりました。

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それからというもの、少しづつ元気を取り戻してきたうずまきさん♀ですが、日に日に体重は減って行きました。
ただ、うずまきさんの場合は「れん(蓮♂)」の場合と違って少しずつ体重を絞って行ったのです。
この時で体重は59g。
お医者さんからはそれくらいがちょうど良いと言われていたのだけど、ヒメウズラの体重というのは、朝と夜でも3〜4gも変動する場合があります。
糞が他の鳥に比べて大きいという事と、なんでもたくさん食べて水もたくさん飲む習性があるので、体重維持はとても難しいです。
ヒメウズラの女の子はだいたい、65gを越えるくらいで卵を産む子が多いですが、個体差は大いにあります。
そして逆に体重が減ると、今度は関羽が始まって羽が抜けるとまた体重が減ります。
うずまきさん♀の最終的なベスト体重は52~55gで卵も産まず元気を保っていました。

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因みに、体重管理には餌を個別に与え、一日の食事の量を測って与える様にしています。
与える量は体重に応じてですが、ボレー粉はあくまでも副食として、主食は一日に5g〜7g程度を目安にしています。
※寒い時期の鳥はよく食べるので上記に限らず10g程度与える場合もあります。
ひよこの餌、中雛、インコ用ペレットはどれも主食として使えますが、総合面ではインコ用のペレットがカルシウムも豊富で、人工飼料ではありますけど一番バランスが良いです。
ひよこの餌や中雛をあげる場合にはボレー粉は必須で与えた方が良いです。
はなぶさ堂ではずっと中雛を与えて来ましたが、若い内には副食にお豆腐やミールワーム等もふんだんに与えていました。
ただ、大人になってからあんまり高タンパクなものを与えると太りやすいかとお思いますので、副食は野菜中心に考えた方が良いでしょう。

  • 中雛:魚粉が入っているのでツンとする匂いがあります。ヒメウズラに適した飼料ではありますがカルシウムの面ではボレー粉などを与える必要があります。
  • ひよこの餌:こちらにも魚粉が入っていますが匂いは少なめ、パウダーより若干固形の方が良いかと思います、中雛に比べ糞の状態や匂いも良好になります。人工飼料と穀物餌の中間といった感じですが、カルシウム面では卵をうむ子にはぜんぜん足りないと思います。
  • インコ用ペレット:鳥にとっての栄養分やカルシウムが計算されて居ますので、むやみにボレー粉を与えすぎるよりペレット一本という方法も良いかと思います。一番のおすすめですが高価です…。
  • ボレー粉(牡蠣殻):ヒメウズラに限らず、小鳥のカルシウムとしては一般的なので与えて当然かと思いますが、ボレー粉も与えすぎると太ります…。塩分が多いものもあるので、熱湯で煮沸してから与えると良いです。

補足として、稗や粟などの穀物系の粒餌もヒメウズラは好んで食べますが、私の経験上は軟卵を産みやすくなるように思って居ます。特に粟玉は発情を促すと言いますけど、栄養分も少なくて卵をたくさん産みたがるヒメウズラには不向きだと思いますが、病中等にはむき粟を擦り潰して食べさせる事もあります。

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5gが掬えるスプーンに主食一杯とボレー粉などを添えて一日のご飯として与えます。
たったこれだけ?とお思いになる方もいるかもしれませんが、毎日決まった量を与えているとその子のベスト体重が見えてきます。

はなぶさ堂のヒメウズラたちだけでも体重に個体差があるので参考までに、ここ数ヶ月の体重の平均値を紹介しておきますね。

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「うりの(瓜乃♂)」平均体重47~50g
男の子は女の子に比べて体もシャープなので体重も軽いです。(※個体差はあります。)
細身でも女の子に合わせた途端に発情開始…(汗)、男の子の場合は体重に関係なく常に求愛をしたがるのです。
男の子でもカルシウム摂取は必須、不足すると嘴が欠けたり、爪が柔らかくなって反ってしまうなどという事も起こります。

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「ちよまる(千代丸♀)」平均体重59~61g
はなぶさ堂では一番重いのですが、与えれば与えるだけ食べて、食べれば卵もたくさん産む子です。この体重で管理できているうちは卵を産まずに居ますけど、65g近くになれば毎日でも卵を産みます。
そして誰よりも人懐っこいのですが、それによって発情してお尻の穴が膨らんだり紅潮する様なこともあまりない状態をキープして居ます。

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「わさ(和佐♀)」平均体重53~56g
もう少し太っても良さそうなので、他の子達より少し多めの食事をとって居ます。

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「うい(憂♂)」平均体重:45~47g
うい♂は生まれつき体が小さいので、お父さんのうりのよりも軽いです。
食欲は旺盛だけど、5gですら残す事もありますが、体重は常に安定して居ます。

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「あんよ(杏世♀)」平均体重:42~45g
以前から読んでくださっている方の中には、あんよ♀の事を知っている方もいるかと思いますが、幼い頃に親鳥に足をついばまれて以来、指は欠損し股外れの状態で今も尚元気に成長して居ます。
あんよ♀は這う様にして歩くことしかできないのですが、こう見えて卵を産むことができます。
体重は軽いですが足の事もあるので体重は軽くてちょうど良いかと思って居ます。
他の子達と違って運動もあまりできませんから、あんよ♀が卵を産むときは健康状態も良好な時と判断して居ます。
因みにあんよ♀はこの体重でも月に1〜2個の卵を産みます。

そして、あんよ♀には特別な環境を作ってあげているのですが、どうしても弱い部分もあって、一度「鼻腔炎」にかかった事もありました、栄養が行き渡らないせいか鼻コブが柔らかくなって鼻腔が塞がる症状に陥ったのですが、コブはかさぶたの様になってポロリと落ちてしまったのです、鼻コブは綺麗に再生はしない様ですが呼吸には心配もなく、毎日呼び鳴きの声が一番大きい元気っ子です。

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川越に引っ越してきて、うずまきさん♀と一緒に撮った最後の写真。
うずまきさん♀は4羽の子宝に恵まれて、抱卵も自分でできた偉いお母さんでした。
あんよ♀の足は突いちゃったけどね…。
でもお母さん、あんよ♀は元気です!。

ヒナから育てたうずまきさん♀との思い出はたくさんたくさんあり過ぎて、今こうしてブログを書いて居ても涙が止まらないのです…。

うずまきさん♀は旅発つ前に保温された隔離箱の中で一気に羽が抜けました、老衰で一気に体重が減って換羽が伴った様にも見えましたが、ふかふかのたくさんの羽に包まれたお布団で、足を伸ばしてゆっくりとゆっくりと横たわる様にして永遠の眠りにつきました…。
うずまきさん♀、享年3年と1ヶ月。たくさんの“ありがとう”をくれました。

ヒメウズラの寿命は3年程度という人も居ますけど、私はヒメウズラの寿命はもっと長いものだと思います。
飼育する人間の側にもっともっと知識があれば、それは愛情という形で補う事ができるからです。

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とても愛嬌のある子だった「うずまきさん♀」、こうして秤に乗って「体重管理は大切よ!」って言ってくれているみたいです。

最近はヒメウズラを飼育される方も増えて、ペットショップでもたまに見かける程ですが、他の鳥に比べ飼育本なども少なく、まだまだ情報も少ないのが現状です。
文鳥などと同じ様にヒメウズラの女の子も卵を産ませ過ぎれば寿命に繋がります。

ヒメウズラにとって大切なおはなし、
私の書いたことは経験でしかありませんが、少なからずこれからヒメウズラを飼育しようと考えている方、ヒメウズラを飼育されている方々の参考になれば幸いです。

 

いつも読んでくださる皆さま、ありがとうございます。

 

さて、次回のお話は…。

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ちょびっとおちりの赤い羽根が可愛い、このヒナなんのヒナ?
そうダイヤモンドフィンチのヒナです。

この秋、はなぶさ堂でダイヤモンドフィンチのヒナが孵りました。
次回はダイヤモンドフィンチの親鳥の事も交えながら、生まれてくるヒナたちのお話を綴ろうと思います。

不定期更新ですが、ブリーダー業務の傍ら細々と続けてまいりますので、次回もどうぞお楽しみに(^-^)/。

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お引っ越しのおはなし -昭和的小鳥サロンを作る-

2017年夏、人生において大きな分岐点に立ちました。
10年間鳥たちと暮らしたマンションの一室、大好きだった部屋と町だったけど、訳あってお引っ越しをすることになりました。

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およそ8畳程度の小さなお部屋だったけど、思えば鳥たちの為に色々工夫して棚を作ったり自分の寝場所さえも狭くして暮らした10年…。
色々な思い出もたくさん詰まっているけど、家庭の事情から引っ越さなくてはいけなくなりました。

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空っぽになったマンショのお部屋、確か入居の際にもこの場所に一番最初にスツールを置いて、コンビニで買ったお茶とおにぎりを食べたっけ…。
そんな思い出を背に、最後の日もここでお茶とおにぎりを食べ、この部屋にお世話になった感謝の気持ちで涙すらこぼしました…。

だけど、引っ越しというものは前向きで、新しいこともたくさん考えさせてくれるものです。
今回の引っ越しは、望んだ引っ越しではないのだけど、これを機に「第一種動物取扱業者」の申請をして鳥たちとの生活を充実させる、そんな「夢」も一緒に抱いて物件探しは難航しました。
そして、はなぶさ堂の新しい移転先に選んだ町。

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そう、時の鐘が時間の流れをゆっくりと進めている町「小江戸川越」です。
以前に何度も訪れた川越の町、このブログでも記事を書いたことがありますけど、古い町並みも大切に残って居て、観光地としてもたくさんの人が訪れる町。
そんな川越市で「古民家?」とまでは言えないけど、昭和の匂いの残る造りの小さなお家で気持ち新たに「はなぶさ堂」の活動は始まるのです。

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川越の丸広デパート、鳥作家の友達から「屋上のペットショップにキンカチョウがいるよ」と教わって早速屋上へ。
お天気はイマイチでしたけど、そこはまるで夢のように理想的な昭和のデパートの屋上!懐かしの屋上遊園地!しかも観覧車までもがまだ残って居ます。
そして夏場はビアガーデンもあって、もちろんペットショップには鳥さんもたくさん居ました。
観光ではなかなか来ない穴場かもしれませんね。

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そして憧れの川越を自転車で走る。
先ずは地元の神様にご挨拶「川越大師 喜多院」へは自転車だと7〜8分てところかな?
お気に入りのみどり色の「TOKYO BIKE」で川越散策。

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実は「川越」にするか「谷中」にするかとっても迷ったお引っ越し、川越で谷中発祥の自転車に乗れるなんて、ものすごい自己満足です…。
みなさん!川越でみどり色のTOKYO BIKEを見かけたら「はなぶさ堂さん!」って声をかけてくださいね〜。笑。

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喜多院のお隣「成田山川越別院」では毎月28日に蚤の市を開催して居て、その規模はなかなかのものです。
もちろん、はなぶさ堂は古い竹かごを求めて物色しましたが、あんまり竹かごって出ないんですよね…。

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カゴはなくとも、古くて良いものはたくさんたくさんありました。
古物の小さな箪笥とか欲しいものだらけで、ここばかりは自転車で来た事を後悔…。

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そしてこの辺は住んでないと通らないであろう、広〜い田んぼの土地。
もう収穫が近いのか稲穂が首をもたげて黄色と緑色のコントラストが風にそよいで気持ちがいい季節です。
東京は新宿生まれのはなぶさ堂、こういう場所に来ると嬉しくて嬉しくて、だって子供の頃から「田舎」と言える場所を持って居ないのだもの…。
広く広く続く田んぼの畦道を行くと、まるで果てしない海の上を自転車で走っている気分になります。

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田んぼの途中の古めいた木製の電柱、こういう些細なところにこそ、この場所に古くから人の手が入っている年季を感じられるのが嬉しいのです。
「この電柱はきっと夜中に一人で歩き出すよ。」そんなイーハトーブのような幻想に包まれつつ、どんどんこの町が好きになります。

えっ?鳥の話をしろって?
はいはい、ちゃんと鳥たちも一緒に新しい生活に馴染んで来て居ますよ。

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東京から川越間それほど遠くはない距離ですけど、鳥たち全部を連れて来るとなると、これは大ごとでした。なんせ40羽以上も飼育しているのですから。
写真はお引っ越しの時に「追い込みかご」に入ってもらった、十姉妹とキンカチョウ達。
江戸の商の鳥屋であればこの倍の数は鳥達を詰め込んだのでしょうね…。
まとめて一つのカゴに入れるのは初めてだったけど、追い込みカゴというのはよくできて居て、移動の際にも鳥達が暴れないように、とても背が低く作られているのです。
そしてどう言う訳か、たくさん一緒に入ると鳥達は喧嘩もしなくなります。
西東京の「ことりやさん」からお借りした追い込みかご、とても重宝しました。

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そして文鳥達はと言うと、カゴのまま車に積んで連れて来ました。
引っ越し早々、ごちゃっと積まれた竹かごですけど、みんな車の中でも大人しくして居てくました。

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そして面白いのが、近所に素晴らしい骨董屋さんを見つけた事、まるで骨董品の倉庫の様なお店なので、私は勝手に「からくり問屋」と呼んでいるのだけど、なんとここにあるわあるわ「竹かご」がたくさん!

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こちらは倉庫の様な店内の天井からぶら下げられた巨大な「雲雀カゴ」。
うううううん欲しい欲しい!欲しいけど、これは柵の間隔が広すぎて小鳥は逃げてしまうなぁ…、でも欲しい!。然し乍ら、これには売約の札があり、お店の中でちょこんとぶら下がって居た別の丸カゴを引っ越しの記念にお迎えしてまいりました。

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アジアンチックなデザインのカゴ、実際に小鳥を飼うために購入する人はどれだけいるのだろうか…。

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またここで少々「はなぶさ堂」の竹かごうんちくが始まってしまうのですが…、古物のカゴは骨董屋に出回ってるものだと、たまにニスが塗ってあるものがあります。
元々は飼育用に作られて居ますが、時間の流れとともにインテリア用品に代用されていくものもあって、リサイクル品としても綺麗に見せる為なのか、ニスが塗られてしまうものがあるのです。
そしてこのカゴがそのニス塗りなのです。
ニスが塗られていることで入口の蓋が開かなかったり、細工が外れなくなって居たりしますので、購入の際には目利きの一点として覚えておくと安く手に入ることもあります。

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底板も外してみると、ニスのバリがカリカリと剥がれます。
要するにこれは、分解をしないままニスを塗りたくった証拠です。
だけどこう言うのは紙ヤスリなどで軽く磨けば大丈夫、取り外せる部分の組み合わせがうまくいっていれば鳥の飼育カゴとしては万全です。

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底板はベニヤ板に井の字の適当な補強、これもニスでキラキラしてますけどニス自体は最近塗られたものではなさそうなので、鳥達に悪影響などはないと考えて大丈夫。
万が一、ニスの匂いがほんのりとでもしていれば、直近の持ち主が塗った可能性もありますから、そう言うものは飼育用には買わない方が良いです。
どうせなら漆を塗ってくれれば良いのになぁ…。

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底板の引っ掛け部分、裏側から駒を持って回して引っ掛ける仕組み。
これは意外にしっかりしてました。

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噛み合わせはイマイチだけど、しっかりと底板がハマります。
こんなうんちくをお店で話して居たら「からくり問屋」の奥さん、とっても安くしてくれました…汗。

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そして綺麗に水で洗って、引っ越しの餞別に譲り受けた はなぶさ堂では2羽目のホオグロ文鳥「ヤトさん(夜徒♀)」のお部屋に決まりました!。
道具と言うものは、その使い道の通りに使われるのがやっぱり嬉しいみたいで、中に鳥が入れば、それはそれは嬉しそうに見えてしまうんです。
ヤトさんも窓際で気持ち良さそうにして居ました。

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それからと言うもの、からくり問屋のご夫婦とも仲良くなれて、お店にあった竹かごを全て買い占めてしまった「はなぶさ堂」であります…。

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さてさて、それから「はなぶさ堂」の飼育部屋がどうなったかと言うと、大好きな竹かごを使って展示できる様な空間作りを目指して、鳥達にとっても優しい空間が仕上がりました。

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この段階で第一種動物取扱業者の手続きを行い、無事に申請も通って、これからは行政の管轄の元に動物のお世話や販売、展示などを「業」という観点から商う事となりました。
「はなぶさ堂」で産まれて来る小鳥達を色々な方々にお迎えしてもったり、鳥達と触れ合ってもらう為の準備が整い、夢がひとつ叶ったのです。

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そして、もっともっと鳥達の部屋と人間の住まう場所を一体化して行きたいと考えて、 得意の日曜大工の始まりです。

材木を買い込んで来たけど何を作るのか知ら?

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慎重に木を組み合わせて、何だろう?
扉と同じくらいのサイズに組み上がったけど?

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ただ木を組み上げて作っただけのアミダクジみたいな代物?
いったい何に使うの?

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塗装はこげ茶色、新しい木材を古い建物に似合う様に塗って行きます。
そして仕上がりはこんな感じなのです↓。

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玄関ホールの窓を活かす為の装飾をあつらえました。
曇りガラスのデザインは昭和風だけど、窓枠のサッシは何だか味気なくて…、少しでも小江戸川越に似合う空間作りができていれば良いなあという発想からの工夫。

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2階の鳥部屋の窓にも同じ様に昔風の窓枠を誂えました。
こちらは鳥達にも好評で、みんな窓枠に止まって遊べるのが嬉しいのです。
このお部屋にお客さんを呼んで鳥達とのふれあいスペースにしたと思っています。

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十姉妹を放せば窓枠に止まってジュリジュリと鳴いてくれます。

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カナリヤも飛んで来ました。
隣のヒメウズラのカゴから溢れた餌をついばみに来たのかな?…。

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そして鳥部屋に続くベランダのスペースには鳥様専用流し台を設置。
カゴの丸洗いができるので、衛生面も万全。
何より鳥達が喜ぶのは…。

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水浴びもそのままに洗濯物と一緒にお外で日向ぼっっこができる事。

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十姉妹たちお外で水浴びが出来てご満悦なんです。

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文鳥達、水浴びしてから日向ぼっこするのは「める(芽留♀)」と「ゆきじ(雪路♂)」。

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そして引越しの荷物もだんだんと片付いて、鳥達も新しい生活に慣れて来ました。

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壁に掛けたコキンチョウのかご、放鳥するとみんなこの上に乗りたがります。

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3羽並んで桜文鳥のクリームサンドは、
「たもり(田森♀)」「みもり(未森♀)」「かる(駆♂)」。

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お部屋が広くなって行き場に迷う子もいます。

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そんな時には抱っこしてやってついでに健康確認です。
シルバー文鳥の「すず(錫♀)」今期も抱卵頑張ってね!。

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薄雪鳩の「おすみさん(墨♀)」も最初は戸惑っていたけど、今は新しい生活に慣れてのびのびと遊んでおります。

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ヒメウズラ達もみんな元気です!、相変わらずポケットに入ってくれて掃除の時は助かります。

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そしてウズラといえば、最近仲間入りした並ウズラの色変わりの子。
この子は鳥部屋で放し飼いとなっています。
毎朝大声で「コケケーーー」と鳴くのだけど私にはそれが「コッケ〜」と聞こえるので、この子には「こけ(苔♂)」という名前をつけました。
「こけ(苔♂)」を呼ぶ時は「コケ〜、コケ〜」と自分も鶏みたいになっちゃいます。

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そしてこの子達もニューフェイス。ダイヤモンドフィンチのご夫婦です。
卵は生むのだけど、上手に抱卵できるかなぁ…。

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キンカチョウ達もみんな元気、現在はペアを分けて繁殖の準備をしているけど、まだみんな若いので子作りよりも遊びに夢中です。

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さてさて今後のはなぶさ堂、繁殖者としての情報発信や直接販売はもちろん、自宅サロンとしても鳥好きのみなさんに場所を提供できる様に準備を進めております。
お店ではないので毎日解放と言う訳には行きませんけど、「小鳥茶会」などのイベントを企画中です!「小鳥の爪の切り方」や「正しい保定の仕方」などワークショップの要素も含めてみなさまにお越しいただける様に少しずつ整えて参ります。

一階のスペースでは、お迎えのお客さまに飼育説明などを行ったり、「小鳥茶会」ではお話を楽しむ談話室として。

二階の鳥部屋は鳥たちとのふれあいの場、テーブルやスツールも完備してゆっくり鳥達と触れ合って頂けます。

 

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鳥をお迎えしたいお客さんだけではなく、鳥を飼育されている方々の情報交換の場としても、「はなぶさ堂-昭和的小鳥サロン-」に是非遊びに来てください。

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繁殖状況や小鳥茶会の情報はinstagramTwitterでも情報発信いたしますので、みなさまお見逃しなく。



さて次回のお話は…。

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ヒメウズラを飼育している人がだんだんと増えて来ていますが、なかなか飼育本やブログ記事などもまだまだ少ない現状、餌は何をあげてる?飼育はカゴ?箱?わからないこともたくさんあって、オリジナルの飼育方法を持っている方も沢山居ます。
そんなヒメウズラには見落とされがちな病気があります。
はなぶさ堂の経験を元に、次回はヒメウズラにとってとても大切なお話を綴らせていただきます。

毎回最後まで読んでくださる皆様に感謝、次回もお楽しみに!


 2013年に書いた川越の記事はこちら↓。
狐好きな方は是非読んでみてくださいね。

hanabusa-do.hatenablog.com

 

 


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キンカチョウ/ペー達のおはなし

猛暑日が続いて大量の汗が出ると共に、身体の中の細かな細胞がどんどん新しいものに入れ替わっていくような気がします。

そんな暑い夏が大好きな「はなぶさ堂」ですが、諸々の事情が重なってブログに関しては久しぶりの更新なので書きたいことがとっても溜まって居ます(汗)。

さて、前回の予告からとっても引っ張ってしまいましたが「ペー達のおはなし」を今日は綴らせて頂きます。

まず「ペー達」ってなに?ですよね?
キンカチョウと初めてあった時その鳴き声に魅了された方は数多いかと思います、私にはその声が「ペーペー」と聞こえたのです。
キンカチョウの鳴き声には色々なオノマトペがつけられますけど、「ミャーミャー」とか「メーメー」とか、「猫みたいな声だ」とか言われます。
はなぶさ堂ではキンカチョウとの会話に「ペーペー」を用いているので、キンカのヒナたちの意味で文中「ペー達」を用いますのでまずはお見知り置きを…。

それでは「ペー達のおはなし」そこそこ長いお話ですが、のんびり楽しんでくださいね。

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時は遡って2017年2月、まだ長袖で過ごしていたひんやりする季節のこと。
キンカチョウの「シド君♂」と「たまき(環♀)」の間に1羽のヒナが孵りました。

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たまき♀もシド君♂も育児放棄はしない子なのですが、早々にお迎えが決まったので、この時ちょうどさし餌をしていたクリーム文鳥のヒナ達と一緒に育てることにしました。

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クリーム文鳥を追い抜く勢いでたくさん食べて、どんどん成長したこの子はシド君♂にもたまき♀にも似てなくて、グレー系統のパイド風な可愛い羽がとっても綺麗な子になりました。

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母になった「たまき(環♀)」この子は「はなぶさ堂」に来る前はいじめられっ子で飛ぶこともできず、うちに来てからは床暮らしのヒメウズラ達と遊んだり、色んなエピソードがあったのだけど、とうとうお母さんになりました。尾羽だってしっかり生えてます!。
だけどね、産後のイライラなのか旦那さんのシド君♂をいじめ始めちゃったんです…。

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やられちゃった…(汗)。男の子なのに…。
ちょっと残酷に見えるかもしれませんが、背中の羽をむしられたシド君♂…、でも大丈夫、この程度の怪我ならば血が出てなければ問題ないと、シド君♂、隔離…。
その後、たまき♀はこんな事したにも関わらず、夜な夜な「寂しい寂しい」とペーペー呼び鳴きをしていたのです。

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なので数週間の後、年上の「てん(甜々♂)」と一緒に生活をすることにさせました。
てん♂は「なつめ(棗♀)」という子育て下手な子と何度か抱卵を失敗しています。
だけどそれも経験、そして年上の貫禄か「たまき♀」はすんなり「てん♂」と仲良くなりました。

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そしてほら、赤ちゃん。
3月22日の写真です。

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ちょびっとだけ見せてくれたけど、すぐに子供達を守るたまき♀。
今度は旦那の羽をむしったりはしていません。
それから10日程度が経って…。

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目が開きたてのペー達、4羽元気にお外に出られました。
そうそう、キンカチョウは文鳥と違ってヒナの成長はとても早いのです。
文鳥の場合だと15日程度で目が開きますけど、キンカチョウの場合は僅か10日程度。
そして身体もとても小さいです。
どちらかというと十姉妹の成長のタイミングと近いですけど、キンカチョウの場合は親鳥が育児放棄をしてしまったり、育児下手で巣の中で踏み殺すなんてアクシデントもあります。
十姉妹の場合はとても子育て上手なので、あんまりそういう心配はいらないけど、キンカチョウの場合は親鳥の性格次第、ヒナを巣上げするタイミングはとても難しいところです。

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ほわほわの毛がまだ残っているバブーな赤ちゃん。
2羽は真っ白い羽が伸びて来ました。
当然まだ立つことすらできません。

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上から見ると羽根の先っちょだけ少し開いて来ています。

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そしてもう2羽、左の子はクリーム系統の色の子、お父さん似のイザベラフォーンという色。
右の子はやや濃いめ、この子はフォーンという色の子になります。

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そして4月12日の写真、そうなんです、キンカの成長はとっても早いの。
生後20日程度でこんなに成長してしまいます。
でもまだ上手く飛べないし、さし餌だって必要です。そしてこのくらいの時期は手の平に全員乗っけてもどこへも行かないほど忠実です。

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先ずは柔らかいところで放鳥の練習。

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だってまだまだ子供達は、こんなにふかふかのマットの上で生活しているのだから、少しづつ色々な「大丈夫」を教えてあげるのが良いんです。
指をさし餌の棒に見立ててお歌の練習をしたり。

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ティッシュで怖がる子に育たないように、ティッシュで包んで頭をカキカキしてやったり。
(写真がよくないけどご満悦の顔ですよ…(汗))
成長は早いけどこうやってひとつひとつ小さいうちに知ってもらうんです。

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そうするとヒナ達は、畚からも自分の力で飛び出せるようになって、安全な場所や自分たちのお気に入りの場所に飛んで行けるようになります。

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水浴びだってできるよ!
手前の左にいる子はクリーム文鳥の若鳥、この子が水浴びするのを真似してペー達も水浴びを覚えました。

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水浴びをした後、抱っこしてやるとまだまだ充分ヒナのあどけなさが残っています。
そして少しづつクチバシはキンカ特有のオレンジ色に変わりはじめる頃、まだまださし餌を欲しがるけど、もうそろそろカゴ暮らしを始めようか?

そしてだいたいクチバシがオレンジ色になってきた頃に、男の子はお歌の練習を始めます。
ちなみにまだ頰は染まっていないけど、手前の3羽が男の子、写真の後ろにいる白キンカさんだけが女の子でした。

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先ほどのクリーム先輩(止まり木左の子)、この子はとても気立てが良くて他のどの鳥といてもその場を和ませてくれていたのです。
キンカチョウには実は難癖があって、大勢一緒のカゴに入れておくと仲違いをする子もいるのです、親鳥のたまき♀がパートナーの背中の羽をむしってしまう様に、ある程度成長をすると遊びのつもりなのかな?結構痛々しくなるまで羽をむしられる子が出てきます…。
決して全てのキンカが必ずそうする訳ではありませんけど、十姉妹と違ってキンカチョウという鳥は攻撃性0ではないのです。特にキンカ女子は怒ると怖いのです…。
そういう事もあってクリーム先輩に加勢してもらって、しばらく一緒に生活をしていました。
そうすると不思議なことに誰も喧嘩したりしないの…。

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クリーム先輩の兄弟(左)は今や立派なクリーム文鳥へと換羽を遂げて「める(芽留♀)」という名前をもらい、今もはなぶさ堂に暮らしています。
クリーム先輩(右)は淡い色のクリームパイド、その気立ての良さもあって、鳥作家さんのお友達のおうちにお迎えされて行きました。
先輩がお迎えされると同時にペー達の中で唯一女の子だった白キンカさんも、キンカ大好き作家さんのお家へお迎えされて行きました。

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そんなこんなしているうちに同時進行…(汗)。
先のペー達のさし餌が未だ終わっていないところに、えっ!また次なるペー達!
そうなんです、てん♂と たまき♀の間のふた腹目の子供達なのです。
写真は5月5日、一ヶ月半程度で2回目の子供達が孵りました、それも5羽中4羽がイザベラフォーン。

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イザベラフォーンの羽色はとても綺麗です、都内のショップなどでもなかなか見かけないので、人気も高いのでしょう。

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と言う訳で、あっという間に3羽のお迎えが決まって、残った二人も日に日に成長、なんと2羽とも女の子が残りました。

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そして同じ頃にお世話していた、今季最後であろう文鳥のヒナまたしてもクリーム文鳥、そうクリーム先輩2号なの。
文鳥の雛のシーズンは9月〜4月頃までなのだけど、この子は一羽だけ孵った5月産まれの子、とっても優しい子です。

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そして、先輩2号はやっぱり誰とでも仲良しで、念願のイザベラ女子は「盛ってるんじゃないか?」と思うくらいにおめめパッチりの超美人!フォーン女子も負けず劣らず可愛いのです。

そして、またまた同時進行で、前回の記事で紹介した十姉妹の「むらさき♀」と「きなり♂」の子も一羽だけ孵りましたよ。

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母のシルバーよりももっと濃いめの男の子。

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十姉妹には信頼が置けるので、たまにこうして親鳥に任せたり。
どんな色に成長するかなぁと思って居たけど、

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現在は見違えるほど立派なチョコレート十姉妹(ヨーロッパ十姉妹)に成長して居ます。



さて、もうこのくらいかな?とお思いでしょうみなさん。

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7月1日産まれ、3羽の赤ちゃんペーが孵りました。
然し乍ら、はなぶさ堂はこの時お引っ越しを控えていて、訳あって今まで鳥達のお世話をしていたマンションと、母が暮らしていた実家を一度にまとめて引っ越さなくてはならくなったのです…。
引っ越し予定は7月11日丁度巣上げのタイミング、あんまりドタバタしていたので今回ばかりは親鳥に任せようと思って、てん♂と たまき♀に子育てを委ねたのです。

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順調に成長しているペー達、引っ越し先へは12日の夜に到着。
この時点で目は開き、フォーン1羽、イザベラフォーン1羽、白キンカ1羽であることがわかりました。
毎朝の餌やりは当然するけど、親鳥任せにして毎日元のお家を片付けに家を留守にしていました。
そして、ある朝3羽いたはずのヒナが2羽になっていたのです…。
それも真っ白い羽がそこいら中に散らかっていたのです…。

でも、カゴの中には居ない…。

慌ててあたりを探しました、雛の身体はとてもとても小さくてカゴの柵と柵の隙間から外に出ることができたのです。
室内の出来事なので、落ち着いてカゴの周りを探しました、そしてそこには血だらけのヒナがうずくまっていました…。
すぐさま手の平にすくい上げてやると、息はある。
でもこの状態、救えるのか…。
引っ越しのドタバタで何がどのダンボールに入っているのかさっぱり解らず、小麦粉等止血に使えるものが見つからない…。
どうしよう、どうしよう、手の中では小さな命が心臓の鼓動で訴えかけてきます。
でも冷静に、血で染まった白い羽を水が傷口に染みない様に丁寧に洗って傷口を確認しました。
背中と左の主翼のほとんど羽がむしりとられていて、肩と背中が擦り傷の様に赤く晴れていました。
恐らく、未だ何にもわからないヒナの事、巣立ってみたは良いけど、カゴの隙間に挟まってしまって、羽が抜け血が出るまで暴れたのでしょう…。

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ふと思い出したのは実家から持ってきた救急箱、幼い頃からあったのだけど年季が入っていい感じになって居たので捨てずに持ってきたのです。
そして、中を確かめて何か止血に使えるものを探しました、見つけた薬は「ホルムス」という薬、うちの母はこれを私が子供の頃から「赤ちゃんのおへそのくすり」と呼んで居ました。
パッケージには「外傷散布剤」と書いてあります。確かに子供の頃に黄色の粉薬で転んだひざ小僧の傷を治療してもらった事を思い出して、思い切って雛の患部に振り掛けて止血を試みました。

血はすぐに止まりました、鳴き声もひとつ「ペー」とあげて、当然さし餌も必要だったので、畚で寝かせてなんとかこの時は一命を取り止めました。
畚の蓋を開ける度に気が気じゃなかったけど、口を開けないのでさし餌は殆ど食べられず、朝晩2回シリンジによるほんの少しの強制給餌で、あとは自分の力で乗り切れるかどうかというところでした。

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大丈夫!元気だもん!
本日8月8日に撮影、背中の羽はイマイチだけどね、少しずつ生え揃ってきてます。
この子もおめめの大きな可愛い子、まだ隔離しては居るものの他のペー達と元気に呼び鳴きをしあって居ます。
ちなみに兄弟達は今回の事情から、同じ事が起こるといけないので、事故の起きた当日に信頼の置ける鳥屋さんに引き取ってもらいました。

でもね、この子にはまだこんなに兄弟が居るの!。

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写真左「シド君♂」背中もすっかり綺麗になって若い男子チームのリーダーやってます。
写真奥のブラックチークは新入りさん。
そして手前の3羽が、てん♂と たまき♂の最初の子「はなぶさ堂」に残った男の子達。
名前はまだありませんけど、頬もしっかりオレンジに染まってもう立派な大人です。

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そして、この子達はふた腹目の子達、二人とも女の子。
イザベラ女子とフォーン女子、起こると怖いんですよ〜(笑)。
ちなみに下の写真は「なつめ♀」と新人のペンギンキンカさんなのだけど、上の二人にやられました…。

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背中やさぐれてます…。

はい、ここまでが「ペー達のおはなし」。
長くなりましたけど、この数ヶ月でペー達には色々なことを教えてもらいました。
キンカチョウ、怪我の多い小鳥ですけど、もっと触れ合える子達に育てていきたいですね。

 



さて、次回のおはなしは。

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10年間鳥達と一緒に暮らしたマンションの一室、とてもとても愛着のあるお部屋だったのだけど、東京都から一路「小江戸川越」にお引っ越しをしました。
鳥達もみんな連れて少しずつですが未だ片付けに追われております。
川越では新規一転「第一種動物取扱業者」として鳥達の飼育、繁殖はもちろん、販売や預かり業務も行って行ける様になりましたので、次回は夢に一歩近づいた「はなぶさ堂のお引っ越しのおはなし」を綴らせていただきます。
今までの鳥達に加え、新しい仲間達も紹介します、お楽しみに!




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十姉妹 / きなりとむらさきのおはなし

十姉妹にも色々あって、頭が真っ黒な子や、嘴まで斑らな色の子など、十姉妹の場合繁殖が容易なせいか、色の混ざり合った子達もたくさんいます。
そして中には文鳥の様なシルバー色の子やクリーム色の子もいます、と言っても十姉妹の場合はお腹や頭や頬などの色の境目がはっきりしている訳ではないのですが…。

そもそも十姉妹は、色の個性よりも「梵天」とか「大納言」とかの名前がついた「芸物」と呼ばれる羽の逆巻いた個体の方が人気で、古くから品評されて来た様です、だけど、色の個性を楽しむのもまたこの子達の魅力かと私は思っているのです。

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この子達は昨年の秋からお世話をはじめました。
左の子はヨーロッパ十姉妹、ヨーロッパ十姉妹というとチョコレート色の子を想像される方も多いと思いますけど、この子は少しあか抜けたシルバーヨーロッパ。
右の子は所謂日本の十姉妹ですが白色が多めで茶色の個体に比べてとても明るいクリーム色をしています。

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2羽とも荒鳥なので慣れてはいませんけど、たまにこうして放鳥してやると、やっぱり端っこの方に飛んで行ってはブランケットに隠れたり…。

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カゴとカゴの隙間に隠れつつ、大丈夫を探してるのかな?
キョロキョロ部屋の中を物色したりして、自由に飛び回るというよりかは一箇所に留まることが多い二人なの。

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こういう子達は放っておくことでだんだんと部屋に慣れてくるので、彼らに任せておくのが一番。
だんだんと、行って良い所と行かない方が良い所を自分たちで見極めるんですよ。

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どうやら布ものが気に入った様子のクリームさん。
この子の名前は「きなり(生成♂)」と言います、こう見えて男の子です。
十姉妹もクリーム色をしているとなんだかとっても優しい子に見えます、「きなり(生成♂)」がどれくらいクリーム色をしているかというと…。

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明るめの茶系統の子「きなこ(黄粉♀)」と「ちょびちん(猪備珍♀)」ですが、文鳥に置き換えるとシナモンくらいなの色合いかなぁ?十姉妹には焦げ茶色の子もいるくらいですらね。「きなり(生成♂)」に比べるとやっぱり茶色がはっきりしています。

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そして、こちらはクリーム文鳥の「みもり(未森♀)」と一緒に映った「きなり(生成♂)」。
写真の具合がイマイチですけど、クリーム色の色合いはほとんど変わらず、嘴が赤くない分、十姉妹のあどけない印象が伝わって来ます。

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さて、シルバーの子も部屋に慣れて来たところで自己紹介。
この子の名前は「むらさき(紫♀)」といいます。こう見えて女の子です。

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はなぶさ堂と十姉妹との関係は、以前から自分でも不思議に思っているのですが、荒鳥を連れて来ても何故か必ず手に乗ってくれるんです…。
「きなり(生成♂)」も「むらさき(紫♀)」も別々のお店で荒鳥になっていた子達なのですが、こうして大人しく指に捉まります。
十姉妹と私は何かしらの波長が合うのでしょうかねぇ…?。
何か前世からの切っても切れない縁を感じます…汗。

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そんな「きなり(生成♂)」と「むらさき(紫♀)」ですが、実は寒い時期からペアになっていて、産卵と抱卵を繰り返しているんです。
つぼ巣の中には何だか怪しい卵、「怪しい」というのはちょっと色が濁っている風に見えるから。
実はこれがもう2回目の抱卵の時の卵で、1回目は無精卵で孵らなかったのです…。

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この卵もしばらく抱いていたのだけど、取り出して検卵をする事にしました。
そこへ突然、文鳥の「たもり(田森♀)」が十姉妹の卵に興味津々!。
「ちょっとちょっと検卵するまで突かないでね〜汗」っと飼い主…。

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はなぶさ堂なりの検卵方法。
やっている方も多いと思いますが、スマートフォンにライト機能があるととっても便利なのです。
私はiPhoneですがライトをつけた状態でその上に卵を置くだけで中身が綺麗に透けて見えます。

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角度を変えるとほらこの通り、この状態で卵の中に赤い血管が通っていれば有精卵ですが、生まれたての卵の場合には血管は見え難いのでご注意。
写真の卵はやっぱり無精卵でした…。
はなぶさ堂の場合は、あんまり親鳥を刺激したくないので、あんまり真面目に卵を抱いてないと思った時や、親鳥が卵から気をそらしているタイミングで見てやるようにしています。

ちなみに「キンカチョウのスマホケース」は、はなぶさ堂のwebストア「-cotorikatta-」で購入できます!キンカチョウほか、文鳥・ヒメウズラ・十姉妹も4色ライナップしております。
おっとと、宣伝を失礼しました…汗。

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さてさて、お話を元に戻して…。
鳥類の女の子はある程度の年齢に達したら卵を産んでしまうので、写真の卵は全て無精卵ですが、春になると毎年こうして卵を取り上げる機会が増えます。
左から、十姉妹の卵、キンカチョウの卵、文鳥の卵、薄雪鳩の卵、ヒメウズラの卵です。
この時のキンカチョウの卵は少し細長かったのですが、十姉妹の卵と形や色は殆ど変わりません。
やっぱり体の大きさによって卵の大きさも様々ですが、ヒメウズラだけは卵から孵ったらすぐに自分でご飯を食べるので卵も大きめです。
きっと卵の中にいる時からご飯を食べる練習をしてるんでしょうね。

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少し話が逸れましたけど、やっぱり「むらさき(紫♀)」さんも卵をたくさん産んでしまうので、カルシウムの摂取には気を使っています。
ボレー粉は何気に食べ過ぎると太る様な気がしているのですが、うちではみんなしっかりとボレー粉を食べてくれます。
おかげで爪が伸びるのも早いのですが…。

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あらあら「きなり(生成♂)」と来たら男の子なのに手の平でゴロンと甘えちゃって…。
しかも、嘴にお弁当付いてました…(笑)。

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そんな二人は今日も仲良く暮らしています。
最近はカゴの外の事も覚えて来ましたけど、自分たちのお部屋が一番落ち着くという「きなり(生成♂)」と「むらさき(紫♀)」のお話でした。

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そして、二人は今日も子作りに勤しんでおりましたとさ。


つづく…。

 

 

さて次回のお話は、

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ばぶ〜。キンカチョウの赤ちゃんのおはなしです。
instgramやtwitterでご存知の方もいるかと思いますが、この子達もう一人餌できるくらいまで成長してるんですよ。
次回はキンカチョウの雛の成長記録を綴ろうかと思います。

不定期更新ですが是非また覗きに来てくださいね、次回もお楽しみに。

 

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竹かごのおはなし

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私はできる限りプラスチック製品を部屋に持ち込まないようにしています。
とっても便利な樹脂製品、当然生活の至る所に使われているし、車やPC、携帯端末は然り、洋服やカバンにだって装飾されている時代だから「許せない」とか「絶対ダメ」という風には思わないのだけど、ゴミになっても捨てにくいし、使い込んでもただ傷ついて汚れていく一方な気がして、道具としては正直あんまり好きではないのです。
そんな「はなぶさ堂」が飼い主なものだから、うちでは鳥たちもみんな竹かごで暮らしています。
そして、今日はそんな竹かごのおはなしを綴ろうかと思います。

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竹かごはそもそも、鳥獣保護法が今ほど厳しくなかった時代に、野鳥飼育をされていた方々が主に使用していたので、最近では種類も量もだいぶ減ってきています。
伝統工芸品の要素もありますから、カゴを齧ってしまうインコ類には適していませんし、餌が飛び散りやすいなど、使いにくい部分も多々あります。
古い鳥屋さんに足を運ぶと、フィンチや輸入野鳥の類に竹かごを使っているところも未だありますが、みなさん口を揃えて「野鳥がダメになってから、竹かごは売れなくなった」と仰います。
竹かごはアジアのいろんな国にその国独特の形があって、日本では主に写真の様な縦長のカゴが主流です。
そして、サイズにも昔ながらの決まりがあって、「尺貫法」?と言うのか知ら?
尺(145×295×190mm)/尺1寸(175×345×236mm)/尺2寸(195×375×255mm)〜の様にカゴのサイズが決まっています。
ちなみに上の写真の4つは左から7寸(120×215×272mm)/尺/尺1/尺2、尺より小さいものは尺が外れて○寸と数えます。

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例えば、文鳥をつがいで飼うなら最低でも尺2は欲しいところです。
はなぶさ堂の文鳥はみんな尺2カゴで生活をしています。
ちょっと狭いんじゃない?とお思いの方もいらっしゃると思いますが、
意外に奥行きもあって、のびのびと子育てをしてくれます。

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十姉妹やキンカチョウなら尺1でも充分広々します。
みんな天然素材の温もりに抱かれて住み心地は良さそうに見えます…。

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薄雪鳩には尺4寸(250×430×310mm)の大き目のカゴを使っています。
薄雪鳩の体長は文鳥と然程変わりませんが、文鳥に比べて主翼や尾羽が長いので、竹かごでも広めのものが適します、皿巣で生活をするので高さもそれなりに必要です。

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さてさて、みなさんによく聞かれるのが「竹かごはメンテナンスが大変そう」という事、これだけカゴがあると休日には掃除に半日は費やすのですが、メンテナンス自体はステンレス製のカゴとそれほど変わりません。

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うちでは汚れた底板やカゴをがっつり水洗いしますけど、水に濡れると木が引き締まって、コマが刺さらなくなったりもします。でも、そこは素材との付き合い、しっかり天日に干してよく乾かす事で元の通りに戻ります。
たまに、粗悪な作りのカゴもあります、そう言うカゴは水洗いすると板が弧を描く程にひん曲がったりしますので、底板のしっかりしたものあるいは漆塗りのものがとても使いやすいです。

ちなみに、
竹には椿油を塗ってやるのが良いのですが、うちではそこまでの事はしません。ただ塗ってやった方が道具も長持ちしますし良い味が出ますけど、うちにあるのはそこまで高級なカゴではないので、鳥たちに汚してもらって、しっかり洗ってやって、使った分の風合いが年々増してくるのがとても嬉しいです。

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そして、何より良いところは壊れたら修理すれば良いところ。
実は「はなぶさ堂」の竹かごの殆どは、中古だったり貰ったものだったり…。
上の糞切り網は壊れたカゴを貰った時の物ですが、飼育用に売っている竹かごは大抵3mm程度の竹ひごで組まれている事が多いです。
なので、壊れても竹ひごさえ手に入れば修理が効くのです。
名人カゴなんかは結構細いひごを使って、中の鳥が鑑賞し易い様になっているものもありますが、飼育を考えるならば太めの方が安全です。

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折れた部分はペンチ等で引っ張れば抜けるので、そこに新しいひごを差し替えてやるのです。

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ほんの少しだけ長さが余る様に調節した新しい竹ひごを、しならせて差し替えてやります。

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ほらこの通り、真ん中の5本だけ新品になりました。
他の部分も同様、ひごは糊付けされている場合もありますが、大抵組んであるだけのものが多いです。
そんな所に先人の技術の高さを垣間見ますが、逆に粗悪なものは鳥が乗っただけでもひごが外れてしまう様なものもありますのでネット販売にはご注意。
だけど、こうして人が手を掛けて鳥たちの住まいを修繕してやれる事で、古い時代の職人とどこか意思の疎通ができる様な気持ちになります。

さてさて、おじさんの日曜大工のお話はこれくらいにして、竹かごのあれこれを紹介させてくださいね。

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こちらは「ます箱」ヒナの育成に昔ながら使われてきたものですが、正直「ふご」の方が使い易いので、最近ではめっきり見かけなくなりました…。

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実際にヒナを入れてみたのだけど、ちょっと狭かったかな…。
生まれたてのヒナにはちょっと寒そうなので、あったかい時期向きかもしれませんね?今は、具合の悪いヒナが出た場合の隔離カゴとして使っています。

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そしてこちらは、古い鳥屋さんから譲り受けた「背負いカゴ」。
名前から解る通り、この中に鳥を入れて何段かに重ねて、風呂敷で包んで背中に背負うのです。
車が無かった時代から引き継ぐ人間のアイデア、想像しただけで憧れてしまう鳥の行商人の姿を思うと、これを眺めながら一杯やりたいぐらいです…。

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中は2連になっていて、間仕切りもひごを抜く事で外す事ができる仕組み。
ああ、古い道具の実用性も兼ね備えたディテールの美しさ…、高さが無いのはきっと鳥が移動の際に暴れない為でしょうね。
天井が低いのでヒメウズラをこれで飼育していました。

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そしてこちらは「コンテストケージ」と呼ばれる小さなカゴ。
前と後ろの両方が開く仕組みで、カナリヤを品評会に出す人なんかが使うカゴなので、今でも普通に手に入ります。

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ただ、これは底板が外れないので飼育向きではないのです。
実際ヒメウズラの「うい(憂♂)」が今これに住んでますけど、散らかされた後はカゴを逆さまにして中身のお掃除です…。

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それから面白いのはこちら「落としカゴ」。
今はこんなもの売っても買う人いないのですが、野鳥を捕まえるためのカゴです。
上が開く様になっていて、止まり木につっかえ棒ができる仕組み。

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しかも、止まり木は回転式なので、中に餌を入れておびき寄せた鳥が、止まり木に止まると止まり木が回転してつっかえ棒が落ちて蓋が閉まる仕組み。
なんとも安直なアイデアに笑ってしまうけど、ここまで完成している仕組みに感無量でございます。

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そして最後に紹介したいのは、天井に網が張ってある「ヒバリカゴ」。
左は天井が低めの「寝かせカゴ」マス部分に高さがあって、そこに砂を敷いてヒバリを寝かせる仕組みなのだそうです。

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これの面白いところは、カゴの後ろに小さな顔出し窓があって、そこに猪口をかける様に作られています。
鳥はそこから顔を出してお食事をするのです。
これはヒメウズラに最適とうちではとても重宝しております。
鶉籠(ウズラカゴ)というものもあるらしいのだけど、それはそもそも鳴き声が良いとされていた、ウズラの為の専用カゴだと聞きます、未だ出会えていなくて残念です…。

この他にも、先人たちが作り出した日本古来の竹カゴはたくさんたくさんあります。
ヤマガラ専用に作られたカゴもあれば、水浴びをさせる専用のカゴもあったりと、どれをとっても江戸時代からの職人や鳥屋の技がそのまま残っている様で、それぞれのカゴの背景にある能書きがことごとく楽しく、道具と向き合う時間もまた鳥たちの短い一生を有意義にさせてくれるものだと感じるこの頃であります。


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竹で出来た鳥たちの小さなお家、
それは人と鳥とが一緒に作りあげてきた安心できるお家。


つづく

 

 

 

さて次回は、

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十姉妹にも文鳥と同じく、シルバーやクリームの子が居て、
久しぶりに十姉妹の事が書きたいかもしれません…。



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ウスユキバトのおはなし

もしも、一羽の鳥と一緒に生活するなら、「私は“薄雪鳩”と暮らしたい」そんな言葉を何人かの人に伝えた覚えがあります。

薄雪鳩には表現力の柔らかさがあって、いつも穏やかにして鳴き声もまた控えめ、主張の穏やかさにこそ“自分がそうありたい”と言う魅力を感じてしまうからです。
ハト故に、決して吼える事はしない、そんなお淑やかな性格が、少々齢を重ねたやもめ暮らしには丁度似合うのです。

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そんな「薄雪鳩」のい良いころは他にもたくさんあって、床暮らしのヒメウズラ達とも同じように地面を歩き回ったり、窓際の陽当たりに辿り着けば、ヒメウズラたちと一緒に日向ぼっこをしたり、部屋中を飛び回る文鳥や十姉妹たちとも一緒に羽根を羽ばたかせては、高いところに居てものんびりと過ごせる、オールマイティーで居られる臨機応変さを尊敬しちゃうのだけど…。

でも、そんな「おすみさん(墨♀)」は、カゴの中ではずっと独りぼっちだったの…。

鳥たちの交友関係と人の其れが然程食い違わないとも思いますけど、「他人に合わせられる事ほど、自分を孤独にさせる」そういう理解に行き届かない人間はたくさん居ます。「おすみさん(墨♀)」の孤独も多種多様ではなくて、本当の理解者を求める様に私は感じました…。

それからずっと「おすみさん(墨♀)」には常にパートナーをお迎えしたいと考えて居ましたけど、昨年の暮れにその夢は叶いました!。

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オスの薄雪鳩を「おすみさん(墨♀)」のお婿さんにお迎え出来たのです。
名前は「はまじ(浜路♂)」なんだか男らしく逞しい体付きです。

 

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薄雪鳩の雄雌の見分けは、雄の方がアイリング(目の周り)が太い。
メスは頭が少し小さく首が細長い等の点がポイントなのですが、私のまわりでは誰もが何故か口を揃えて『メスは鳴かない』と言います。
しかし、「おすみさん(墨♀)」は以前から「ぽーぽー」と囁くように鳴いていたので、雄雌の判断が付かずに居ました…。
そして、薄雪鳩はメスだけだと卵を産まないとも聞きますから、尚の事性別が分からなくて…………(汗)。

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だけど、飼い主のそんな焦りも裏腹に、2人はある時から巣作りをはじめました。
皿巣に巣草を運ぶ「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」、この頃から、今までは1時間に一回程度しか鳴かなかった「おすみさん(墨♀)」が、朝からよく鳴くようになりました。
もちろん「はまじ(浜路♂)」も「ぽーぽーぽー」と淑やかな声で鳴いてくれます。

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日にちが経つに連れて、どんどん仲良しになる2人。
時には「おすみさん(墨♀)」が「はまじ(浜路♂)」の背中に乗っかって遊んだりしていて、飼い主も笑顔を溢さずにはいられなくなります。

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二人並んでもっふりと日向ぼっこをするのも、穏やかな性格の薄雪鳩の日常。
ちなみに、この子達も竹カゴで生活をしていますが、竹カゴとしては比較的大きめな尺4寸(長編が43cm程度)のカゴで暮らしています。
身体はヒメウズラと同じ手の平に収まるサイズ感ですけど、この子達はとっても羽が長いので、シンプルな空間作りは欠かせません。

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そんなこんなで、2人が仲良くなってから1ヵ月程度、「おすみさん(墨♀)」は卵を産みました。
(飼い主:「おすみさん(墨♀)」がメスで良かったと旨を撫で下ろす瞬間でした…。)

しかし卵は隠すいっぽうで、全くと言っていいほど見せてくれませんでした…。
その素振りは、始めての抱卵に二人とも慌てているようにも見えました。

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「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」が抱卵を交代する時に、何とか2つの卵の存在を確認したのですが、一つは翌日に割れて巣の下に落ちていました…。

因みに、「鳩」は薄雪鳩に限らず二個づつ卵を抱きます。
この時のお腹の下には卵は一つしかなかったのだけど、それでも頑張って抱卵する「はまじ(浜路♂)」。

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尾羽をツンと立てて、変なポーズのまま抱っこしているところも、なんだか抱卵下手な感じを印象付けます…(汗)。

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夜にそーっと覗いてみても、2人は寄り添って卵を抱き続けていました。

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でもね…、お腹の下の卵にはヒビが入っていて、血管も見えず、15日程度経っても兆しが見られなかったので、これ以上抱かせても二人を疲れさせるだけと判断して、卵は取り除く事にしました…。

 

それからもう一つ、薄雪鳩の魅力は「羽」の綺麗さ。

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薄雪と言うだけあって、背中の粉雪模様もとっても綺麗なのですが、抜け落ちた羽の個性と地味な色使いには、ついつい拾い集めたくなります。

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長い尾羽や一部だけ濃く色付いた風切羽、実は薄雪鳩にも色のバリエーションがあって、ノーマルの固体はもっと背中が茶色っぽいのです。
この子達はシルバーと呼ばれる部類に入ると思いますけど、シナモン風な色合いの赤毛の固体も存在するようです。

そして、何よりも面白いのは、雄が発情すると孔雀のように尾羽を広げて求愛行動をすると言うところです。

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薄雪鳩の雄は求愛の為に、尾羽を開くと同時に「ぽー」と鳴いて、それを何度も何度も繰り返すのです。
「ぽー」の鳴き声は固体によって様々ですが、みんな自分の魅力をアピールしようと、独自にオス鳴きを持っているようです、みんな低めの声色ですが「ぽーー」とか「ぽう~」とか「ぽっぽぽるぽー」とか、他の鳥の囀りと同じでメロディーには様々あるようです。

そして尾羽を広げる様は、まるで木蓮のクリーム色の花びらが上向きに咲いている様な綺麗さで、それに強かで柔らかな鳴き声が伴なって、人間の飼い主ですらその行動には魅了されます。

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それから数日が経って、「はまじ(浜路♂)」求愛が伝わった頃には、また新しい命の準備がはじまりました。
熱烈な求愛を経て、2度目の抱卵。
今回は2羽とも落ち着き払って、卵を見せてくれるゆとりもあります。

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仲良く夫婦で暖めているお腹の下には、ほら、しっかりと2つの卵がきらきら輝いていました。

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そんな「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」の抱卵は現在も進行中。
順調に行けば双子の赤ちゃんのように、きっとそっくりな赤ちゃんが産まれる事でしょう。
かわいい双子が生まれるといいね~。


つづく。


さて次回は、

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ヒナ達の話も諸々途絶えないのですが、鳥たちの話も交えて「竹カゴ」のおはなしを書いてみようかと思います。
そもそも、プラスチックが苦手な「はなぶさ堂」ですが、竹や木の温もりを道具として培ってきた先人達の技術を、紐解いて紡ぎ直して行ければ良いなぁと思っています…。

次回もお楽しみに。

 


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ヒナたちのおはなし 其の四 ‐シナモン文鳥とクリーム文鳥‐

如月、まだまだ寒い朝に布団が恋しい時期ですが、寒くても朝から鳥たちはよく囀ります。
ヒナ達に限っては意外とねぼすけで、畚の蓋を開けた瞬間から朝が始まり、おねだりも始まり…。

そして、寝起きの伸びをする訳では無いけど、ぷるぷるっとお尻を振るヒナたちの尾羽はちっちゃくてとてもとても可愛いです。

よーく観察してみると、みんな色によって個性があって、棒羽(つくつく)が伸びてきた頃からだんだん色の変化が解ります。

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見るところは羽の生え際(根元)。
シルバー文鳥は羽やクチバシの色で直ぐに見分けられますけど、尾羽の根元もやはりグレー(シルバー)です。

根元から真っ白い子はパイド系統になる可能性もある子ですが、クリームにも真っ白いヒナは出るので、明るめの色に成長する子と言っておいた方が良いかもしれません…。

シナモン文鳥とクリーム文鳥のヒナは、身体全体の羽色が似て産まれる固体も多いので見分けにくいと言われる事もありますが、シナモン文鳥のヒナの尾の根元はグレー寄りの薄い茶色、クリーム文鳥の場合は明るくピンク掛かって居て、そんな所も見分け方の一つかと思います。

さてさて、今日はそんなシナモン文鳥とクリーム文鳥のおはなしです。

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シナモン文鳥の「あめ(飴♂)」と「ラーラ♀」このペアは2羽とも手乗りで、「あめ(飴♂)」とはもう長い付き合いで既に4歳になります。
「ラーラ♀」とは昨年知り合って、引き取った時点では1歳、未だ若い女の子ですが、とっても良く慣れていて、「あめ(飴♂)」がヤキモチを焼くほどです…。

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「ラーラ♀」には「あめ(飴♂)」のお嫁さんになって欲しかったので、カゴは別々だったものの隣同士に何ヶ月も生活させたり、夜は2人で放鳥させたりして、それでも「あめ(飴♂)」は、飼い主の手にばかり求愛するものだから、中々2人は仲良しにはなれませんでした…。

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「あめ(飴♂)」にはたくさんの友達は居たものの、カゴの中では“やもめ暮らし”が長かったので、他の子が自分のカゴに入ってくる事をとても嫌がりました。

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だけど、「ラーラ♀」は自信満々。いざ一緒に入れてみると何事も無かったかの様に振る舞いました、こういう時はやはり女性が強いものです…。

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それでもやっぱり、「あめ(飴♂)」が「ラーラ♀」を突いてしまうので、一緒のお部屋は朝の短い時間だけ、飼い主も中に手を入れて「ケンカしちゃだめだよ」とクチバシを摘まんだり、飼い主の指の上で求愛ダンスしたがる「あめ(飴♂)」を「ラーラ♀」に見せたりして、二人と遊んでやっていました。

しかし「ラーラ♀」はこれまでツボ巣で眠る生活を知らなかったのです、一緒のカゴで生活が出来たとしても巣引きは出来ないかぁ…、と思っていたのですが。

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「あめ(飴♂)」:こっちおいでよ!と言わんばかりに、最初は入ろうともしなかった「ラーラ♀」をついにツボ巣に呼び込んじゃいました…。

そして性格はいつに無く亭主関白な感じで、何だかギラギラしている「あめ(飴♂)」、あのビビリ症の「あめ(飴♂)」が…(汗)。

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そうして何とか「ラーラ♀」も卵を産んでくれて…。

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卵を抱くか、飼い主に抱かれるか、迷っていた「あめ(飴♂)」でしたけど、しっかり巣草や巣材を運んだりして、男らしい仕草も見せつつ、お嫁さんをもらう事に成功しました。

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卵を抱く「ラーラ♀」最初の卵は全部で5つ産みました。
因みに中にある新聞の切れ端は「あめ(飴♂)」が運び込んだもの、2人とも子育て初挑戦なので、たまに新聞紙がツボ巣の蓋をしてしまったり、てんやわんやな抱卵になっていました…。

だけど、2人の思いも空しく、最初の卵は孵りませんでした…。
最初の卵の孵化を諦めかけた時「ラーラ♀」は次の卵を産み始めたのです。
慌ててツボ巣を取り上げて、先にあった卵を取り除きました。
すると2人とも何事も無かったかのように、抱卵を再開して、今もまだ大切に卵を温めています。

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さてさて、こちらはクリーム文鳥の「ちゃちゃ(茶々♂)」と「いと(緒♀)」この子達はそもそも手乗りじゃないので、安心して子育てを任せられます。

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最初の卵はなんと6個。
巣の中にも無駄なものは持ち込まずとってもきれいに卵をお世話していました。
文鳥にも性格が出ますね…。

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そして、写真は卵から孵って3日程度。
6羽全員が孵った事を確認した筈だったのですが、1羽が見当たらず5羽に…。
小さな小さなヒナの身体ですから、親鳥ががんばってもがんばっても生後間もなくして落鳥してしまう子も居ます…。

次の写真にはあえて“ぼかし加工”を施しますが、私はこれも「いと(緒♀)」の愛情でしかないと感じたのでおはなしさせて下さいね。

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「いと(緒♀)」のクチバシには、生後間もなくして落鳥した赤ちゃんが居ました…。
その身体は他の子たちの勢いに負けて、小さく小さく縮こまっていましたが、「いと(緒♀)」には、自分の子だという事がしっかり解っているみたいでした。
他の子達のごはんの時間以外は、丸一日、片時も離さずにこの子をクチバシに加えていました。
止まり木の上では、自分のお腹の下に入れて暖める仕草をしたり、「ちゃちゃ(茶々♂)」が心配そうに寄り添っても尚、「いと(緒♀)」はこの子を離しませんでした…。
私はこれを見てどうする事も出来ず、少し涙すら浮かべましたが、「いと(緒♀)」も翌日にはヒナの死を理解した様子だったので、これ以上「いと(緒♀)」が悲しい思いをしないように、小さな身体を引上げて土に埋めてやりました…。

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そんな出来事があっても、他の子達の育児もしっかり全うする「いと(緒♀)」。
私はこの子に「緒:いとぐち(ものごとのはじまり)」という意味の名を与えて本当に良かったと感じました。

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お父さんだって負けてませんよ!
「ちゃちゃ(茶々♂)」もしっかりイクメンぶりを発揮して、5羽のヒナ達は日に日に成長を遂げました。

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目が開くか否かと言うところで育雛を交代、まだ少しクチバシが小さかったので、最初はフォーミュラ(ヒナ用の粉ミルクみたいなもの)から与えて、少しずつ粟玉に変更していきました。

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大きな口をあける、小さな怪獣たち。

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お腹いっぱいになれば眠るだけ…。
そうしてくれるだけでこちらは癒されます…。

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頭の羽がやっと生え揃ってきた頃に、先ず2羽が一緒に新しいおうちに引き取られました。
その子達は「ピピ」と「モカ」という名前を貰って、兄弟一緒にすくすく育っています。そして、写真の3羽も別々にだけど、あたたかいおうちにお迎えされました。

名も無い雛たちと共有する時間を終えた所から、この子達は新しい名を貰うんだなぁ…。

お迎えされた先で、なんて名前を貰ったのか、どんな生活をしているのか、私にも解らない子達も居ますけど、それでも、私自身が「いとぐち(緒)」になれるだけで、なんだか暖かい気持になります。

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そしてまた、新しい命は育まれ、この子達もまた何処かで新しい名前を貰うことでしょう…。


つづく



さて、次回のおはなしは…。

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ウスユキバトの「おすみさん(墨♀)」ぽーぽーっと春のお知らせ。

2月も半ばに入ってまだまだ寒い日が続きますが、朝の陽の出の時間も少しづつ早まって居ます。
朝が早いと鳩時計達もその分早く鳴いてくれて、春も直ぐそこの様に感じるこの頃です。
次回もお楽しみにね。

 

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ヒナたちのおはなし 其の参 ‐アルビノ文鳥 と ホオグロ文鳥‐

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早朝に陽がのぼると鳥たちが起きはじめ、鳥を寝かすために覆った布越しに毎朝の影絵が始まります。

11月のある朝の事、この布をもかいくぐってアルビノ文鳥の「ゆき(雪♂)」が何処からか飛び出して来たのです…。
私は未だ寝ぼけ眼でうとうとしていたのですが、寝ている頬の上に鳥が飛んでくるなんて事は、過去に一度ウスユキバトの「おすみさん♀」をカゴに戻し忘れた時くらいのものでした。

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さて、カゴヌケ名人の「ゆき(雪♂)」早速とっ捕まってカゴに戻そうとしたのですが、何だか普段はそこに無い違和感を感じました。

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そーっとツボ巣の中を覗き込むと、そこには卵から孵ったばかりの雛たちが居ました。
もしかして「ゆき(雪♂)」はこの事を伝える為に、竹カゴの入り口をクチバシで持ち上げ、覆ってある布をも掻い潜って、飼い主の元まで知らせに来てくれたのかと思ったら、とってもとっても嬉しくなりました。

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最初に孵っていたのは3羽。
アルビノとホオグロの間の子ですが、まあおそらくは「さくら文鳥」が産まれるだろう、と踏んでいました。

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そもそも、アルビノはシナモン系統、ホオグロはノーマルや桜文鳥の突然変異、シナモンとノーマル・桜を掛けると「原種の血が濃い方に寄る傾向がある」とか、「100%さくらだ」とか、色んな人から話を聞いていたものです。

しかしながら、今回産まれた子は…。
翌日にもう一羽が孵って、赤目が3羽、黒目が1羽のアルビノ寄りな結果でした。

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日に日に成長する雛たち、羽も少し色づいてきて、見た目からはシナモン3羽、ノーマルor桜1羽のヒナの羽色になってきました。
アルビノお父さん「ゆき(雪♂)」ホオグロお母さん「トトさん(徒々♀)」は毎日毎日ヒナたちの為にご飯を運んで居ましたが、もともと手乗りの「ゆき(雪♂)」と来たら、ヒナたちのご飯欲しさに度々カゴを抜け出しては飼い主にご飯をねだる様になりました。

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朝にはよそったばかりのみんなのご飯を狙って飛び出してきて、ちゃっかり自分も腹を満たしては、カゴの前に戻って入り口を開けろとせがみました…。
どうせなら、帰りも自分で入り口を開けて戻ってもらいたいものです…。

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ある時は、みんなの為に再生していた豆苗畑までも荒らしてしまって現行犯逮捕!!。
「ゆきちゃんそれじゃ泥棒だよ…。」

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そんなこんなで、「ゆき(雪♂)」も子育てには参加していたのですけど、ほぼほぼ「トトさん(徒々♀)」がメインの子育てが続き、「トトさん(徒々♀)」も少しやつれて来た様に感じたので、子供達を巣上げしてやりました。

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この子達にはホオグロとアルビノの遺伝子が引き継がれている訳なのですが、どんな羽色に成長するのでしょう。

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畚に入れてからは、毎度の事ながらあちらこちらに連れ歩いていたので、たくさんの人たちに会う機会がありました。
やっぱり皆さん、赤目の子達は「シナモンのヒナ」にしか見えないと口を揃えますけど、実は親鳥のアルビノ「ゆき(雪♂)」もヒナのころはこんな感じの羽の色をしていました。

そして、4羽のうち2羽は新しいおうちに引き取られ、黒目の子と最後に産まれた赤目1羽は「はなぶさ堂」に残る事になりました。

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産まれた時から、1羽だけ黒目でサングラスをかけている様だったこの子は「たもり(田森)」と名づけました。

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そして、赤目のこの子は「みもり(未森)」と名づけました。
「みもり」は最後に産まれたせいか少し貧弱な体つきをしていて、さし餌を与えると異状に右の“そのう”だけが膨らんでしまい、さし餌毎に“そのうマッサージ”をしながら与えました。

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いつも一緒の「たもり」と「みもり」なのだけど、こんな感じで「みもり」はいつもお腹を地面に付けていました。
インコの場合だと胸の部分に“そのう”があるので、ご飯を食べた後は胸の辺りが膨らみますが、フィンチの場合は左右に二つある様に見えて袋は一つだと聞いた事があります。

そして、だいたいの子は、さし餌を与えると右側から“そのう”が膨らみますが、中には左が先に膨らむ子も居ます。
そして左右がバランス良く満たされるのですが、「みもり」の場合は右側にばかり溜まってしまって必要以上に膨らむ傾向にありました。

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なので、お腹いっぱいになるとこんなに胸がこんもりして見えていました…。
私はこういったヒナを何羽か知っていたので、さし餌をしながら“そのう”をマッサージしてやる方法で「みもり」のお世話を続けました。
経験で書いていますので、獣医学とかの見解で正しい事かどうかは分かりませんけど、手に抱っこした状態でさし餌を与え、膨らんだ右の“そのう”を少し指で押さえてやりながら、左にも流れ込むように少しづつ少しづつ時間を掛けてさし餌をしてやりました。

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ちなみに、「たもり」はこんな感じでお腹いっぱいでもスリムを保っていました。

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私はこの胸のふくらみを、病気だとか悪い方向には考えませんでしたけど、さし餌の際にはとても気を使いました。
まだ、骨格も完成しきっていない時期ですから、さし餌の度にしっかり見てやって、上手に“そのう”を満たした時には褒めてやったりしていました。
逆に食が細い時には、粟玉をフォーミュラに替えて状態よく“そのう”が膨らむようにシリンジを使う等の工夫もしてみました…。

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そして、現在の「みもり」はこの通り、未だヒナの羽ですけどとってもスマート。
自分でもご飯を食べられる程に成長しています。

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「たもり」に関しては、クチバシも赤みを帯びてきて、
最近では、2羽とも他のちびたちの為にふやかした粟玉にまで首を突っ込む始末です…。
でも、たくさん食べて、たくさん遊んで「早く大人になりたい!」そう願って居る様な、近頃の二人です。

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そうして「たもり」「みもり」のお世話をしている間にも、「トトさん(徒々♀)」と「ゆき(雪♂)」の間に二回目のヒナが孵りました。
なんと、酉年の元旦生まれ!「たもり」「みもり」の兄弟たちです。

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黒目1羽、赤目2羽、生後20日目くらいの写真です。

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これから大人になるに連れて、羽の色がどのように変わって来るのかと思うとワクワクしてしまいます。

アルビノとホオグロを親に持つ子供たち、この子達にもお迎えがある事が一番幸せな事だと私は思うのだけど、少しでも長い間この子たちの成長を見守りたい、そんな親心が湧いてしまう、この頃のはなぶさ堂なのです。

つづく

さて次回も、もうちょっとだけ「ヒナたちのおはなし」を綴ろうかと思います。

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ヒナたちのちょびっと伸びたかわいい「お尻の羽」のおはなしを交えて、シナモン文鳥とクリーム文鳥のヒナのおはなしを綴ります。
いつも読んでくださる皆さんに感謝!次回もお楽しみに…。


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ヒナたちのおはなし 其の弐 ‐キンカチョウ‐

冬の寒さも深まり、飼鳥たちにとっては温度の低下に気をつけたい時期ですが、1月も半ばに入って、やっと朝の陽の出の時間が少し早まって来た事が、飼い主にとっては嬉しいこの頃です。
だって、朝が早く訪れてくれれば、その分だけ鳥たちに時間を使ってやれるのだから…。

さてさて、引き続き「ヒナたちのおはなし」ですが、今回は「キンカチョウ」の雛のお話しを綴らせていただきます。
前回のシルバー文鳥のヒナ達と時を同じくして10月半ば頃のおはなし。

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キンカチョウの「てん(甜々♂)」と「なつめ(棗♀)」の間にも卵が産まれていました。
キンカチョウは特に産卵の時期が定まっている様には思いませんが、はなぶさ堂の環境下では、十姉妹と同じ様に春と秋に卵を産む子が多いように思います。

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一所懸命に抱卵をしている「なつめ(棗♀)」。それを覗き込む「てん(甜々♂)」。

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「そろそろ交代しようか?」と必要に覗き込んでは、「なつめ(棗♀)」に『ぺーペー』っと一喝されてしまう「てん(甜々♂)」。
「なつめ(棗♀)」は殆ど交代せずに卵を大切に大切に暖めていました。
だけど、自分がご飯を食べたい時だけ「てん(甜々♂)」に交代してもらうのが、いかにも「なつめ(棗♀)」らしくて微笑ましかったのです。

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そしてある日、小さな小さなヒナが一羽孵ったのです。
念願の「てん(甜々♂)」と「なつめ(棗♀)」のあかちゃんに飼い主は大喜びでした。

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だけど「なつめ(棗♀)」と来たら、ヒナが孵ってからは一度もつぼ巣に入ろうとしないのです…。
それどころか「なんか変な奴いるっ!ぺーぺー」と、私に訴えかける様子、その上「てん(甜々♂)」が巣に入ろうとする事まで阻止していました…。

そう、またまた“育児放棄”をしてしまったのです…。
以前にも「なつめ(棗♀)」の育児放棄の事はこのブログに書いたと思いますけど、キンカチョウは特に育児放棄をする子が多いと聞きます。
思いを返せば「なつめ(棗♀)」本人も“育児放棄”をされて人の手で育った子なのです…。

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そして、止むを得ず巣から引き上げてみたのですが、あまりの小ささに愕然としました…。
他の卵も孵らないかと、毎朝毎晩巣の中を覗き込みましたが中止卵となってしまい…。
でも、とてもとてもカワイイこのチビスケだけでも、どうにかして命を繋いでやろうと必死になりました。

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大きな口を空けてお腹が減りに減っているチビスケ、鉛筆の先っちょ程度しかないそのクチバシですが、先ずはさし餌をしてやれないと確実に命を落としてしまいます…。
爪楊枝の先を平らに削って、サラサラに溶いたフォーミュラをほんの数滴づつ飲ませました。
それでも、“そのう”に上手く溜まっていかないので、止むを得ず十姉妹たちに協力を依頼しました。

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十姉妹達は幾ら子育てが上手といっても、他人の子をいきなり放り込んで育ててくれる様な子は、よっぽど育児が好きな子だけだと思って居ましたから、本来ならタイミングが要って、十姉妹達が自分の子育てや抱卵をしているところに他のヒナを放り込んでやるのがその一番の術だと思うのです。
当然そんなにタイミング良く子育てしている子は居ず…。
それを解っていても、人の手の上より十姉妹達のお腹の下の方が暖かいに決まっている。そんな僅かな期待を込めて十姉妹たちに委ねてみました。

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すると「きなこ(黄粉♀)」の母性本能発動。
写真は動画からのキャプチャなのでとても見難いのですが、十姉妹の「きなこ(黄粉♀)」がクチバシから吐き戻してチビスケにごはんを与えている所です。

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それでも、やはりチビスケは弱っていく一方で、流石にこの小さな子を連れ歩く訳にも行かず、留守中は十姉妹たちに願いを込めてチビスケを委ねましたが、十姉妹達もなかなか本領発揮とは行かず、出来る事の全てを尽くして私の手からも僅かなさし餌を飲ませてやりました。

そして、十姉妹と協力する事3日が経って、キンカチョウのヒナ特有の綿毛が開き始めた朝に、十姉妹達の巣の中でチビスケは息を引き取って居ました…。


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そんな苦労は知ったこっちゃない!と、変なポーズをとる親鳥の「なつめ(棗♀)」…。
だけどね、彼女は何にも悪い事はしてないの…。
本能で生きているのが動物なのだから、その卵を取り上げながら進化させてきた、人間の方がよっぽど捻じ曲がっているのかも知れません…。

成功者だったり、失敗を知らない人は口を揃えるようにしてこう言います。

育児放棄された雛や卵は十姉妹に育てさせればいい」


私はそれを一概に間違いとは思いません、十姉妹の育児能力は飼鳥の歴史を以ってして、むしろ人間が作り上げてしまった機能だとも思いますから…。
だけど、その経験は十姉妹のスキルであって、成功者のものではないですよね?。

人間には「言葉」があるから経験を語ろうとして当たり前と思います。
そして逆に失敗をした事のある人はあまり多くを語りたがりません…。

私は今回、育児放棄されたヒナの育雛に失敗をしました…。
だからこそ敢えてここに記しておきたい事。
それはね。

「十姉妹に養母や卓卵をさせるには、タイミングが重要です」という事。

十姉妹は確かに育児能力の高い鳥です、しかしそれは進化の過程で培ってきた「本能」でそうしているのですから、当然要らないヒナは放り出される事もあります。

先人の知恵や言葉は大切にしたいですけども、何事も進化していく世の中、人から聞いた事だけでは賄えない事は幾つもあります。

“もし自分が”「お迎えの無い鳥だったら」「放り出された雛だったら」「他人の子を突然預かった十姉妹だったら」どう思うのだろう?
人間同士でも同じ事だけども、相手の事を思いやる気持は時に知識や経験を上回る事があると私は思っています。

いかんいかん…、文章が堅苦しくなってしまいましたが…、人間と同じで鳥もみんな性格は各々異なるものなのだから、“いきもの”として一緒に「協力」して生きて行きたい。
そんな風に私は思うのです…。



さて、次回も“ヒナたちのおはなし”は続きます。

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ホオグロ文鳥の「トトさん(徒々♀)」とアルビノ文鳥「ゆき(雪♂)」の間に産まれた子。「たもり(田森)」と「みもり(未森)」のおはなし。
次回は元気いっぱいなお話しを書きたいなぁ。

 

ヒナたちのおはなし 其の壱 ‐シルバー文鳥‐

いつの間にやら年が明け、ついに酉年が訪れました。
遅ればせながら、今年も細々と更新を続けて行きたいと思っていますので、皆さまどうぞよろしくお願いいたします。

さて、はなぶさ堂は昨年末から子育ての真っ最中。
と言っても、もちろん人の子ではなくて鳥の子育てです。

特に文鳥のヒナのシーズンは10月頃から4月位まで、その年の寒さや暖かさによっては、9月や5月にずれ込む事もありますが、一度卵を産んでヒナを孵した親鳥達でも、この期間には繰り返し産卵をするのです。

そんな文鳥たちの恋の季節、今回は“はなぶさ堂”で産まれたヒナたちのおはなしを綴ろうと思います。

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さて、先ずはシルバー文鳥の「ぎんこ(銀呼♂)」と「すず(錫♀)」。
最初の卵を産んだのは10月20日頃でした。

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先ずは一つ。

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そして、翌日に二つ目。
一日に一つずつを産んで、三つ目を産んだ頃から親鳥達は抱卵を始めます。

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大切そうに卵を温める「ぎんこ(銀呼♂)」。
ちなみに「すず(錫♀)」はつぼ巣の上で見張りをしながら自分の順番を待っていました、文鳥も十姉妹と同じで、オスメス協力して変わり番こに卵を温めます。

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四つ目にもなるとなかなか写真も撮らせてくれないのですが、何とか4個の卵を確認。
これに限りませんが、文鳥は一度に4~6個の卵を産みます。
日に日に卵は増えているので、毎朝巣の中を見せてもらう事を親鳥に許してもらいながら、そーっと覗き込みました。
だって、「ぎんこ(銀呼♂)」と「すず(錫♀)」にしても、始めて人間立会いの下に抱卵をするのですから、大きな顔が突然に近づいたらびっくりしてつぼ巣から飛び出してしまうのです。

だから、抱卵中は出来るだけ覗き込まないようにしながら、スマホのカメラ等でそっと撮影して中を見せてもらうようにしています。

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抱卵を始めて約20日、11月11日ついにヒナが孵りました。(写真は12日に撮影)
最初の2羽は同じ日に孵り、3羽目の子はその翌日にまるでカリメロのように卵の殻の帽子をかぶってモソモソと動いていました。

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それから5日程で身体はだんだんと大きくなって、羽の先が色付いてきました。

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それからまた5日程が経つと腕や頭に羽になる部分のツクツクが見え始めて来ます。
それと、10日過ぎる頃には“まぶた”も形成されてきて、小さな小さな目を開こうとするヒナたちの「すりこみ」に適した時期になってきます。

それにしても、この子達は親鳥が優秀だったので、ツボ巣の中に居ても“そのう”がパンパン。
とは言っても、親鳥達だって食べなくては痩せてしまいますから、飼い主だって終始餌の量には気を使いました。

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そして、生後16日目。もう目が開く寸前です。
よく聞く話で「目が開く前に巣上げしないと懐かない」と言われる事もありますけど、私はそんな事はないと思います。
「すりこみ」は鳥類特有の「生まれて始めて見たものを“親”と思い込む」という行動ですが、人に飼い慣らされた「飼鳥」の場合、遺伝子は江戸時代からの進化の過程で「人間大丈夫遺伝子(造語です…)」の様なものも組み込まれてきているように思っているのは私だけでしょうか…(笑)。
個人的には、「すりこみ」を重視するより、ヒナや親鳥の状態を見ながらヒナを引き受けるタイミングを考えてやっています。

勿論「すりこみ」する事でより一層に飼い主を敬愛する存在になるとも思いますので、「すりこみ」に関してご興味お持ちの方には、コンラートローレンツさんという動物学の先生の著書「ソロモンの指輪」をオススメさせて下さいね。

 

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

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さて、がんばった親鳥達に「おつかれさま」を伝えて、ここからは育雛を交代します。
親鳥にしても子育てはかなりの体力勝負、実際「すず(錫♀)」も尾羽をボロボロにしながらの育雛でした。
飼い鳥の場合「親鳥に育てさせる」という事も、そんなに容易に考えるべき事ではないと私は思います。
そして、親鳥からヒナを取り上げるという行為にもやはり心を痛めますけど、親鳥にしても固体によっては体重の減少が激しかったり…、手を差し伸べずには居られなくなる事がある、という事も事実なのです。

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そしてヒナ達、巣上げしてから数日で「シルバー文鳥のヒナ」らしい羽色になってきました。
未だ足で立つ事もできなくて、主にお尻ふりふりしながら後方に進んではぎゅ~っとくっついて居ます。
背中がまだ少し寒そうだけど、3羽一緒なら暖かいね。

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人から貰うさし餌にも慣れて、おねだりが出来る位まで成長し、未だ一人餌は出来ない内から、三羽揃ってとっても暖かいご家庭にお迎えしていただきました。
兄弟が一緒にずっとご飯を食べられるという環境、ヒナ達にとってはなかなか無い事だと思います。
そんな環境で成長できるこの子たちは本当に幸せ者、今はもうクチバシも赤くなり、新しいおうちで三羽揃って逞しく育っています。

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そして、「ぎんこ(銀呼♂)」と「すず(錫♀)」にはたくさん休養を取ってもらって、夫婦水入らずでカゴ暮らしを満喫してもらいました。
シルバー夫婦のお隣ではクリーム夫婦もこの時子育てをしていて、はなぶさ堂では絶えずヒナの声が聞こえています。


10月からの子育てを経て、12月に入ったある日の事「すず(錫♀)」は二回目の卵を産み始めました。

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それから12月29日には、また小さな命が誕生しました。
卵は5つ抱いていたのだけど、孵ったのは2羽だけ、でも、すっかり親の役目を果たせるようになった「ぎんこ(銀呼♂)」と「すず(錫♀)」。
もともと、お迎えのなかった荒鳥の2羽、こうしてしっかりと人間の下で卵を孵して、本来自分たちのやりたい事に夢中でいてくれてます。

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1月9日、もう目が開きそうなチビたち。とっても元気です。
この子達にもまた幸せな未来が訪れる事を祈りつつ、今回のおはなしはここまで…。


さて、次回のおはなしは。

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小さな小さなキンカチョウのヒナのおはなしを綴ろうと思います。
生後0日のヒナの命を繋ぐのも人の役目になってしまう場合があります。
しかしこれは容易い事ではありません…。
成功者は多くを語るけど、失敗した者は口をつぐみます。
だからこそ、幸せな事もそうでない事も「はなぶさ堂」なりの言葉で書き綴って行きたいと考えています。

++++++++++++はなぶさ堂からのお知らせ+++++++++++++

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只今、池袋東急ハンズで開催中の「インコと仲間たちトリトブ部屋2017酉」に「はなぶさ堂/cotorikatta」の鳥雑貨を出展させて頂いております!

たくさんの鳥作家さんたちの作品がずらりと並ぶイベントの詳細は↓こちら。
2017.1月7日(土)~29日(日)まで


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 はなぶさ堂の鳥たちが紹介されました!
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